黒柴スポーツ新聞

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ソフトバンク石川柊太の配置転換はアリ?〜仕事ができる人が不調になったら

工藤公康監督が石川柊太の配置転換を示唆した、という記事が相次いで配信された。配置転換の理由は、日刊スポーツによると「今は先発するよりも、中(リリーフ)に入ったほうが良かったり、短いイニングで投げて、自分を取り戻すのも1つの方法」(ソフトバンク石川柊太の中継ぎ配置転換も 工藤監督「本人と話して決める」より)という。私は反対の立場からこれに言及したい。

石川は開幕投手であり、毎週金曜日にエース級と渡り合うしんどさはあった。しかしそれを逃げていてはエースにはなれない。いや、別に石川は逃げてはいない。いわゆるクオリティースタートは11度と12球団随一だ。それで未だ3勝止まりなのは援護に恵まれていないことを物語っている。

しかし、同時に7敗というのも気になる。特にこのところは先に失点してしまい、援護のなさがさらに露呈している気がする。エースとは負けない投手である。援護がないなら失点しなければいい。そのくらいの気概がエースにはほしい。また、気になるのはホームランによる失点。見た目的にダメージが大きい。繰り返すが石川は開幕投手、今年は石川を軸に投手ローテーションが組まれる主軸である。パカパカ本塁打を打たれてはいけない。はっきり言えば石川が3勝しかできていないことがソフトバンクの順位に影響している。オリックスの宮城はもう8勝だ。石川は今からでも必死のパッチで取り返さねばならない。

一つ気になっていたのは、石川を開幕投手にしたら、ずっとカードあたまを石川にしなきゃいけないのかという点。ぼちぼち安定しているマルティネスを先に投げさせて、石川はその後など、順番を少しずらしてもいいかなと思っていた。一度決めたらそれでいく。年度主義の悪いところである。柔軟性がない。調子を崩しているならケアが必要だ。そう思っていたら、登板間隔を開けることに加えて配置転換ときた。これは振れ幅が大きすぎないか? そこまで石川は重症なのだろうか。

また、今の中継ぎはリフレッシュの場にふさわしくない緊迫感だと思う。短いイニングだから楽、というのは確かに長いイニングを投げる先発に比べたらそうだろうが、決して津森や嘉弥真や泉や板東や岩嵜らが楽をしているわけではあるまい。石川をリリーフでつぎ込んでまたホームランを打たれて負けたりしたら余計やばいのではないか? それよりも石川はあくまでも先発を続けながら何とか勝っていく。やはり長いイニングを安定的にこなせるピッチャーは稀有な、貴重な存在である。簡単に手放してはいけないと思うのだが。

配置転換については石川本人と話して決める、という。しかし上司からの打診はイコール指示である。石川に選択権はあるのだろうか。あるならここはもう1度、いやしばらく先発でやらせてほしいと言ってもらいたい。ここが踏ん張り時だからだ。どのみち石川が復活しないとペナントレースはきつくなる。であれば一刻も早く石川に勝ちを付けることが一番の薬になると思うのだが…。仕事ができていた人が不調だから軽作業をする。それはあくまでも気分転換や体調管理にはよかろうが根本的には何ら解決しない。石川に先発一本でいってほしい理由はそこにある。


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