黒柴スポーツ新聞

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出番がないなら自分でつくる~ソフトバンク栗原が捕手以外のポジション模索

レフト線の観客席に果敢に突っ込み、ファウルフライがキャッチされた。捕ったのは誰かと思ったら栗原陵矢だった。本職はキャッチャーである。

 

栗原は打撃が買われてDHで使われたこともある。キャッチャーで起用されないのは正捕手に甲斐拓也が鎮座しているからだ。栗原は打った上で、守りでも結果を出さないと甲斐の座は奪えない。

 

ここで考え方は大きく二つ。あくまでもキャッチャーとして甲斐拓也に挑戦するか。はたまた別のポジションに活路を見いだすか。プロ野球選手は試合に出て初めて評価されると言っても過言ではない。栗原の意思も大事だが首脳陣の考え方にもよる。

 

阿部慎之助のようにキャッチャー経験者が一塁を守ることがある。これについて解説の岸川勝也が言っていた。一塁は外野からの返球でカットマンにもなるし、そんなに簡単ではない、と。キャッチャーと同じく捕球が大きなウエイトを占めるが根本的に働き方は異なる。

 

そんなことは分かりきっており、栗原の場合は2019年シーズンに波のあるソフトバンク打線のてこ入れになるので首脳陣が使おうとしているのだ。栗原はプロ初ホームランを打ったりタイムリ三塁打を打ったりと、結果が出始めた。ソフトバンクは後半戦は打線が上向かない。栗原の打力を生かすなら今なのだ。

 

そう考えるとコンバートというよりは栗原はキャッチャーだけれども外野もできなくはない、と複数ポジションを考えてもよいのかもしれない。栗原にとって今は試合に出続けることが大事に見えるからだ。

 

甲斐拓也も今季は打撃が好調。交流戦での意表を突くスクイズも印象的だったし、何より甲斐には強肩という武器がある。日本シリーズクライマックスシリーズの経験もあるし、まだまだ栗原は太刀打ちできまい。

 

栗原はキャッチャーにこだわりがあるのかもしれないが、まずは打力を生かすことでチームに貢献すればよいと思う。そのために外野の守備力を上げる必要はあるが、ちょうどグラシアルが不在だから、その間だけでも栗原のライト代行は面白い選択だと思う。

 

出番がないなら、別の実績で別の出番をつくる。本職にこだわりすぎるのもよくないのかもしれない。こだわりはチームに貢献してこそ胸が張れる。成長株の栗原はソフトバンク後半戦のキーマンになるかもしれない。


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