黒柴スポーツ新聞

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悔しさを忘れない~ソフトバンク川瀬に見せたい名手・今宮健太の涙

ソフトバンクの川瀬晃が7月30日の西武戦でタイムリーエラーを犯した。すでにソフトバンクは1点負けていたし、その後追いつくこともできなかったので、川瀬がエラーしてもしなくても負けは負けだったかもしれない。ただし勝負どころで傷口を広げるタイムリーエラーだったから、やはり責めを負わねばならない。そのことは川瀬自身も分かっているはずだ。

そんな川瀬にぜひ見てほしい映像がある。今宮健太の涙だ。2018年4月18日のオリックス戦。1点ビハインドのソフトバンクは1死満塁のピンチ。ここでショート今宮健太の前に打球が飛んだが今宮はホームへ悪送球した。打球をつかみ損ねて焦ったか。ランナー二人が生還し3点差になってしまった。悔しさがこみ上げた今宮は泣いていた。

それが3年目の今宮健太の姿だ。一生あのプレーは忘れないと言っていた。誰もが諦めそうな当たりでも超人的な反応や強肩でアウトにする今の今宮健太からは想像できない失敗。しかしその裏には悔しさや向上心、そしてたゆまぬ鍛練があった。

今宮健太は脚の常態がまだまだ万全ではないのだろう。1軍に復帰はしたものの、試合終盤に引っ込むケースが見られる。その代役の1人が川瀬なのだが、まだまだ今宮健太に比べると見劣りしてしまう。そもそも実績も経験も違うのだが、プロの選手として試合に出る以上、経験が足りないからできませんとは言えない。それに光るものがあるからこそ1軍に呼ばれ、試合で使われているはずだ。

幸い、川瀬のエラーはダブルプレー狙いで前にギャンブル気味に突っ込んだ上でのもの。惜しくもバウンドに合わせきれなかった。あれを安全に処理しすぎていても、プロのショートとしては評価されないだろう。過去のインタビューを見たが今宮健太も攻めた結果のエラーは割りきっていた。川瀬が攻めた捕球態勢をとったことは評価したい。

対戦相手の西武のショートには名人の源田壮亮がいる。この日もセンターに抜けようかという当たりを難なくさばいていた。今宮といい源田といい、ショートにはハイレベルなレギュラーがいる。川瀬はそこに挑むのだから大変だが、引きずる意味ではなく悔しさを忘れない意味でこのエラーをとらえ、鍛練に励んでもらいたい。


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