黒柴スポーツ新聞

ニュース編集者が野球を中心に、心に残るシーンやプレーヤーから生きるヒントを探ります。

選んで乗りたくなるタクシーの話と金子千尋の日本ハム入団

タクシーなんてどれも一緒だろうと思っていた。だけど、これからは選んで乗ろう、と思った話をする。


職場は定期的に飲み会があり、そんな夜は最寄り駅からタクシーのお世話になる。ところが、いつもより遅い時間帯になってしまったため、駅前のタクシー乗り場に1台も残っていなかった。


ならば呼ぶしかない。看板の電話番号にかけてみた。

「ちょうどお客さまをお迎えに出たところで……(駅前に来るには)だいぶかかります」
「どのくらいですか?」
「30分くらいは……それも、分かりません」


都市部と違って時間をつぶせる店もなし。待機時間30分も確証がない。別の区間ではあるが1時間くらいなら歩いたこともあるしなと、タクシーを諦めた。


で、20分歩いたが3分の1も消化できず。しかし歩くしかない。と、向こうからタクシーが! 遭難者ばりに手を振ってみたが「予約車」の表示。万事休す。


その時思い出した。もうちょい歩いたら、タクシーの待機所があったな。看板は明かりがついているが……車庫をのぞくと、1台、車内外を清掃しているタクシー&運転手さん発見。けど洗車してたら、乗せてくださいって言えないよな……歩くかな……けど、このままでは帰宅が日付変わってからになる。ダメ元で頼んでみよう。


「すみません、もう終わりですか?」
「終わり」
やっぱダメだよな、と思った瞬間、
「呼んじゃろか?」


神が舞い降りた。何やら無線で応援を頼んだ様子。
「2、3分待って。来るから」
待ちます待ちます! 待たせていただきます。ホッとしながら待っていると向こうから1台のタクシーが。ネコバスに乗るサツキとメイばりにいそいそと乗り込んだ。


「実は駅前でタクシーがなくて……」と言うと「えっ、うちは駅裏にありますよ」。そう言えば、このタクシーは駅前で呼んだタクシーとは違う会社だった。ふと思った。電話したタクシー会社の人が、近くに別のタクシー会社もありますよと教えてくれてもいいのになぁ、と。


まあ、ライバル会社をわざわざ勧める人もおるまい。ここで「お隣のタクシー会社には聞かれましたか?」と教えてくれていたら株が上がったのだが、電話の際には「申し訳ありません」で終わってしまった。

一方のネコバスタクシー(仮称)は道中で「うちはどこそこで乗れます」「何曜日と何曜日は何時までやっています」「これからは寒くなりますから、待機所でお待ちいただければ」と親身になって説明してくれる。こりゃ次から乗るタクシーは決まりだな、と思った次第。


まだまだモノを売る経験が浅く、哲学も持ち得ない。だけれども今夜はとてもよいヒントをタクシーの運転手さんにもらえた気がする。


で、スポーツブログゆえに無理やり話を展開するのだが、日本ハムに電撃入団した金子千尋はまさにタクシーにようやくありついた自分の面持ちと重なる気がする。

金子千尋の変化球バイブル ハンディ版

金子千尋の変化球バイブル ハンディ版



そう、とにかく「無理だ、難しい」とだけ言ったタクシー会社がオリックス。そして「こんなやり方もありますよ」と提案してきたタクシーは、さながら日本ハム。そりゃ日本ハムに行くよなあ、と。働き場所を与えてくれた組織のために頑張ろうと思うのは自然なことだ。日本ハムの人心掌握術はいつ見てもレベルが高い。モノを売ったり人を成長させたりするにはやはり心が大切だよなと再認識した。


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