黒柴スポーツ新聞

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耐えて流れを持ってくる~ソフトバンクと日本ハム、勝負を分けたリリーフ陣

負けている時に投げるピッチャーでも流れを持ってこれる。それが実感できる試合だった。6月30日の日本ハムソフトバンク。終盤逃げ切ったソフトバンクは4連勝。先行されながらも引っくり返せた裏には、ダメ押し点を与えなかったリリーフ陣の粘りがあった。

試合展開からすると継投で流れを作ったのは日本ハムだった。いつもはリリーフの浦野を先発に持ってきて初回は三者凡退にできた。しかしリズムが悪く、せっかくチームがソフトバンク先発の松本裕樹の立ち上がりをとらえて先制したのにすぐ追いつかれてしまった。

 

流れの悪さを引きずらないためと思うが、栗山英樹監督は浦野から金子にスイッチ。これが見事にはまり日本ハムは逆転に成功。悪い流れを丁寧にならしていった金子の落ち着いたピッチングは両チームの若いピッチャーたちのよいお手本になった。粛々とうち取っていく。さすがのマウンドさばきだった。

 

一方のソフトバンクは松本が5回3失点と何とか最低限の責任は果たした。ここからは継投。1点ビハインドの状態でまずは椎野が6回に3奪三振。7回は嘉弥真がヒットを許しなお4番の中田翔というところで、前日4年目でプロ初勝利を挙げた高橋純平がマウンドへ。「このバッターで終わらせる」と強い気持ちで対戦し、見事見逃し三振で追加点は阻止した。

 

日本ハムが追加点を取れなかったのと対照的に、ソフトバンクは8回ついにグラシアルのタイムリーで同点に追い付いた。細かいことだがレフトの王柏融のクッションボール処理はホームグラウンドの野手の動きとしては、いただけない。もたつく間に一塁ランナー明石は一気にホームイン。前夜上林誠知の逆転ランニングホームランを「アシスト」した村松コーチがまたも的確に判断して明石をよく走らせた。さらには松田宣浩のショートゴロを日本ハム石井一成がファンブル。三塁に進んでいた、グラシアルの代走周東が本塁を陥れた。相手のミスにつけこんでいるだけに流れは完全にソフトバンクペースになっていた。

 

いつもいつも自分たちのペースで事が運べばこんなに楽なことはない。しかしそうではないからこそ、流れが悪い時は何とか耐えたい。何とかこれ以上悪くさせない。実はこれが大事で、踏ん張っているうちに「あれ、これなら何とかなるかも」なんて思いだす。人間、都合がいいものだ。実際、同じ6月30日のDeNA対広島は9回ノーアウト満塁を無失点でしのいだDeNAがその裏ワンチャンスをものにして同点に追い付いた。まずは、何とかなるかも、と思えるようになるかが勝負の分かれ目だ。

 

ソフトバンクが逆転勝ちしたことにより高橋純平は球団初の「プロ初勝利から2日連続で白星」投手となった。まだまだ薄氷の勝利だが高橋純平にとっては結果が大事な時期。ビハインドで登板したらそれ以上の失点は防ぐ。勝っていたらその差は守りきる。そうやって流れは作られていく。

 

日本ハムは前日上林に土壇場でホームランを喫した石川といい、この日逆転を許したロドリゲスといい、踏ん張りきれなかった。こういう負け方は梅雨と同じでじめじめする。流れは悪くなる一方だ。30日の試合ではダブルスチールからの本塁突入があったが三盗を試みた中島に比べて二塁を狙った清水はスタートが悪かった。わざとワンテンポ遅れさせたのか。とにかく甲斐は素早くセカンドに送球し、ランナーを挟み撃ちにする間に中島が本塁突入。バックホームの球が高めに浮いたが甲斐拓也が上手に中島のヘルメットにタッチ。流れは渡さなかった。

 

日本ハムは9回に杉谷がバント失敗でさらに流れを悪くした。リリーフ陣の結果はもろに試合に反映する。30日の試合に敗れこれで6連敗。4連勝のソフトバンクとはあまりにも対照的だ。勝ちに結び付かなかったが金子のような粘りのピッチングをすることでいいリズムや流れは作ることができる。それができたソフトバンクは結果が残せている。劣勢の中でも挽回のきっかけは作れる。少々うまくいかないことがあっても、慌てず目の前のアウトを一つ一つ重ねていくとしよう。


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