黒柴スポーツ新聞

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劣勢の中でも踏ん張る~ソフトバンク椎野が好救援で今季初勝利

7月22日の日本ハム戦。完封負けするかと思われたが7回裏、松田宣浩の逆転タイムリーでホークスが試合をひっくり返した。だからお立ち台に松田宣浩が立つのは順当なのだが、黒柴スポーツ新聞的には、ビハインドだった6回、7回に投げた椎野新の頑張りにフォーカスしたい。

いわゆる勝ちパターンのピッチャーはリードしている状態でマウンドに上がる。そしてリードを守りきればチームは勝つ。では負けている時は? そう、それ以上点を取られないことで反撃ムードを作る。だから、ビハインドの時こそテンポ良く、例えば三者凡退に封じられたら最高だ。椎野は開幕後、少し間をおいてからチームに合流したものの、力強い球を投げ込んでいた。それが評価されたのだろう。この日も2点負けている状況で登板し、6回は三者凡退。7回はランナーを背負ったが最後は中田翔から三振を奪って切り抜けた。ホークスが逆転したのはその裏の攻撃だった。

1年前の7月、私は京セラドームで椎野の登板を見た。好投していた先発の松本が終盤捕まり、嘉弥真や椎野が救援したのだが、オリックスに逆転された。椎野はマレーロに走者一掃のタイムリーを浴びた。抑えピッチャーは酷な商売だ。抑えて当たり前、打たれたら戦犯扱い。それから逃げていては仕事にならないのだが、責任重大な大変なポジションだと思う。それに比べたら負けている状況での登板はいくらか気が楽かもしれないが、この日の椎野は196センチの長身からバンバン直球を投げ込んでいた。それで無失点だったのだから、この試合まだまだ分からないぞと、チームが前向きになれたのではないか。

松田宣浩の逆転タイムリーのおかげで椎野が勝ち投手になった。登板した後に逆転してもらったらリリーフに勝ちが付く仕組みではあるのだが、特に今回は、負けている状況でも自分に課せられた仕事をやりきった椎野に対する報いだったなぁと思わずうれしくなった。8回モイネロ、9回森唯斗というリレーは堅いから、あとはその前の7回が鍵になりそう。先発が7回を投げきれたら楽なのだが、毎回そういう訳にもいくまい。岩嵜が離脱してしまったから、左なら川原や嘉弥真、右なら泉や板東あたりか。椎野はそこに加わりそうだ。リードしたまま椎野につながればなおよいが、負けていてもあのように力強い球を投げ込めるなら諦めムードも出なそうだ。劣勢の中でも全力を尽くす。その先にチームの勝ちがある。椎野の力投に、中継ぎピッチャーの価値をあらためて感じた。


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