我が道を行き結果を出す~箱根駅伝、創価大の嶋津ミズノ履きヴェイパーフライ封じ
「創価大9位初シード 嶋津、ヴェイパー無双阻止!ミズノ社製シューズで区間新」というデイリースポーツ記事の見出しについ指が伸びた。箱根駅伝を席巻したヴェイパーフライに注目が集まる中で、それではない靴で結果を出した創価大学の嶋津雄大、何てカッコいいんだキミは。
高校駅伝、ニューイヤー駅伝、そして箱根駅伝。ピンクやらオレンジのシューズが目立った駅伝シーズン。ナイキのヴェイパーフライが大注目だ。天候に恵まれたとはいえ、これだけ好記録が続出したらシューズ効果と見るのは当然。そんな中で創価大学の嶋津はミズノ製シューズで区間新。最終10区の記録更新は13年ぶりとか。いかに嶋津の記録がすごいかが分かる。
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- メディア: ウェア&シューズ
デイリーの記事が面白かったのは嶋津がライトノベル小説を書いていることに注目した点。つい先日、陸上競技と異世界をテーマにした作品を書き上げたと紹介していた。何それ!面白そう……。何せ現役ランナーだからなぁ。記事によれば、目標設定用紙に「自分がシード圏内でゴールテープを切る瞬間までを物語に仕立てて」提出。嶋津は実際、9位でゴールしたので記事にある通り「ノンフィクション」になった。面白いエピソードだ。
嶋津は網膜色素変性症だという。初めて聞いたが「暗いと見えづらい」ため、練習に支障をきたしてしまう。それで嶋津はどうしたのか。何と高校時代には電気のついた廊下を走ったのだという。しかも何十往復も。単調な練習をしたこともすごいなと思うが、それをやろうという執念に胸を打たれる。
病と言えば5区を走った日体大の藤本珠輝は全身脱毛症という。初めて見た時は今時ハチマキなんて古風だなと思ったが、これはウィッグを止める工夫だった。実況のアナウンサーがそれを披露した時は、とんでもない個人情報の暴露と思ってしまったが、暴露も何も藤本は病を公表していた。自分が頑張ることで勇気を与える。その思いは箱根駅伝での力走で十分伝わったことだろう。
Number(ナンバー)992「HAKONE EKIDEN 1990-2020 箱根駅伝最強の襷。」 (Sports Graphic Number(スポーツ・グラフィック ナンバー))
- 作者:
- 出版社/メーカー: 文藝春秋
- 発売日: 2019/12/12
- メディア: 雑誌
少しでもタイムや勝利にこだわろうと道具を積極的に求める姿勢は素晴らしいと先日記事を書いたが、嶋津のように我が道を行き結果を出すのもカッコいい。ヴェイパーフライ旋風が吹き荒れた第96回箱根駅伝だったが、ミズノのシューズで区間新。厚底シューズの記事が目立つ中で嶋津に注目したデイリーのファインプレーもよかった。わが黒柴スポーツ新聞も、アクセスをいただく工夫は世間並みにこだわりつつ、個性を大切に書いていこう。