黒柴スポーツ新聞

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箱根駅伝、新興勢力と伝統校~青山学院大を追った東京国際大

第96回箱根駅伝が1月2日に行われ、青山学院大学が3年ぶり4度目の往路優勝に輝いた。青学の地力の強さを感じた大会だったが、黒柴スポーツ新聞的には2位の国学院大学にも、3位の東京国際大学にも注目した。この2校で箱根を走ろう、勝とう、という志が素晴らしいからだ。

 

筆者は伝統とか名門に力強さを感じるタイプ。歴史は一朝一夕では作れない。だからこその価値を感じる。もし幸運にもたぐいまれな脚力を授かっていたら、箱根駅伝の常連校に入ることで箱根駅伝を目指していたと思う。また実際そうしている人もたくさんいる。

箱根駅伝出場校や優勝校はひと昔前から様変わりした感がある。筆者が箱根駅伝にハマりだしたころは山梨学院やら早稲田、順天堂大学が強かったし、神奈川大学駒沢大学の時代もあった。近年は青山学院大学東洋大学などが牽引した。帝京大学上武大学なども定着した。しかしもはや毎年言われる気もするが戦国時代の様相で、山梨学院も上武大学も今回は出られなかった。名前だけで箱根駅伝には出られない。

箱根駅伝公式ガイドブック2020 2020年 01 月号 [雑誌]: 月刊陸上競技 増刊

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とはいえ伝統校にはノウハウやら経験があるから新興大学よりは若干有利だと思う。その意味では東京国際大学が伝統校を抑えて一時首位を走ったことは本当に素晴らしい。そして筆者はあることを思い出した。そういえば東京国際大学の選手、前に見たなあ、と。2017年の関東学生連合で幻の区間賞だった照井明人選手(当時4年)だ。

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当時の記事でも書いたが学生連合の選手には貴重な経験を出身大学に持ち帰るという、もう一つの重要なミッションがある。規定により照井選手には区間賞が与えられなかったが、箱根駅伝の貴重な経験を後輩たちに託すことができた(東京国際大学箱根駅伝初出場自体は照井選手が3年の2016年)。あの「東京国際大」というユニホームの文字をアピールしながらゴールした場面は、これから歴史を作ってくれよという先輩からのエールに思えた。

東京国際大学 (2020年版大学入試シリーズ)

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そうした先輩たちの思いに後輩たちは見事に応え、2020年の大会は予選会トップ通過で参加決定。からの本戦3位だから関係者も学生たちも本当にうれしかっただろう。往路最終5区では一時4位に後退したが、4年の山瀬が驚異の粘り。ゴール前で東海大学を抜き返した。何という根性。正月からいいものを見せてもらった。 

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箱根駅伝のテレビ中継や東京国際大学のWebサイトによれば、部員3人からのスタート。箱根駅伝を目指すだなんて、笑う人さえいたかもしれない。箱根駅伝目指すなら実績ある大学だろう、と。しかし新興勢力には歴史を作るという楽しさがあったことだろう。伝統をつむぐにはつむぐなりのプレッシャーがあり、やりがいがあることだろう。どちらが優れているとかいいとは言わない。ただ、歴史は自分たちで作るんだという気概は見ていて気持ちのよいものだな、と思った。それは新興勢力がチャレンジャーである時期ならではの感動なのだけれども。

箱根駅伝ガイド決定版 2020 (YOMIURI SPECIAL 127)

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予選会で危うく出場権を失いかけた早稲田がきっちり10位以内に入ったのはさすが。こういう伝統校の粘りも素晴らしい。筆者の母校、法政大学は1区から最下位と苦しかったが山のスペシャリスト青木の踏ん張りで16位まで盛り返した。往路を制した青山学院大学の優勢は間違いないが東京国際大学がどこまで粘れるか。昨年覇者の東海大学はどこまで巻き返せるか。2位国学院大学、3位東京国際大学、4位東海大学まで往路新記録というスピードレースだったが、新興勢力も伝統校も復路で、日頃の練習の成果を十分発揮してもらいたい。

 

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