黒柴スポーツ新聞

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変えざるを得ないんだよ~王貞治がソフトバンク内川聖一にエール

「変えざるを得ないんだよ」
世界の王貞治はやはりすごいなと唸ってしまった。元ネタは西日本スポーツ記事、王会長「変えざるを得ないんだよ」名球会で正面に座った内川へのゲキ。内川を叱咤激励する内容だ。

 

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発言を詳しく振り返る。
「打撃フォームも何年型、何年型とあっていい。当然体だって変わってくるし、相手だって変わってくる。変えざるを得ないんだよ」
内川聖一は2020年、38歳のシーズンだ。王さんは同じ年齢の時、打率3割、39本塁打だったそうだ。王貞治クラスだとそれは才能で打ったのだと思われがち。もちろん天性のものもあったに違いないが、やはり裏では相当の努力があるに決まっている。ここで注目したいのは努力の仕方。王さんと言えば一本足打法だから、それを追求していけばよさそうだが、発言から深読みすれば一本足打法にも何年型、何年型とマイナーチェンジを積み重ねていたとも受け止められる。確かに年齢だけ考えても毎年違うのだから、何歳なりの、というのがむしろ自然だ。

 

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定番にこだわるのが職人と思いがちだが、型に固執してはむしろ可能性を狭めてしまう。また、年齢や環境に応じてやり方を変えていかないと結果は出せないし、出せても無理が重なるのではないか。2019年、内川聖一は不振に陥ったが本人的にはいつも通りのバッティングをしただけかもしれない。でもとらえられない。とらえきれない。とらえたと思ってもほんの少し芯からずれている。素人には分からないほどのズレだろうが、その誤差、狂いが命取りになった。そういうことだろうと思う。

そして内川はバットやタイミングの取り方を改善しようとしている。そのことは以前書いた。私は稀代のヒットメーカーの内川聖一がなお結果を求めて努力しようとしている姿に感動するのだが、今回王さんの「変えざるを得ない」を読んで、自分の甘さをあらためて感じた。私は変化を極度に恐れているな。だから成長しないのだ、と。変わらずにいられるならそれが一番楽。でも王さんが言うとおり、相手(環境)は変わるのだ。ならば順応していくしかない。適応力なきものは生き残れないのだ。すぐに変われるはずもないのだが、意識は変えられる。変わりたいとか変わりたくない、じゃなくて変えざるを得ない。今の自分の姿に迷う時は、王さんの言葉を噛みしめよう。


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