黒柴スポーツ新聞

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なりたい自分をイメージする~手品バーのトリックと柳田悠岐の逆転満塁ホームランに受けた衝撃

プロ野球開幕の夜、私は職場の歓送迎会だった。スマホ全盛の今時、リアルタイムで結果が分からないようにすることのほうが難しい。せめてスポーツニュースを見ることで、結果をその時に知るようにしたかった。しかし二次会がばらけた時に先輩があっさり言った。「ソフトバンク勝ったぞ」。ま、いっか。しかし先輩はこうも言った「山賊(西武)つええな」

 

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は? ソフトバンクが勝ったんじゃないの? ま、いっか。それをニュースで見ればいいのだから。しかし職場軍団は若干ばらけつつも三次会に突入。日付をまたいでしまったためついに開幕日のスポーツニュースを見ることはなかった。

 

 

その代わり、私はとんでもないものを見た。といってもいかがわしいものではなく、マジック。三次会が手品バーだったのだ。アラフォーにして初体験。どうせテキトーにして客から金を巻き上げるのだろうと偏見満載で店に合流した。別にそのお店がというよりも、私はマジックというものをナナメからみてしまうタチ。自分で言うのもなんだが、面白みのない人間である。

 

 

それを私は大いに反省することになる。先輩が選んでテキトーなマークを書いたカードが一瞬にして私の手元に置かれていたり。私が選んだフォークが先輩のにぎったこぶしの中でどんどんあられもない姿になったり。あんまり書きすぎるとネタバレになるので自重するが、私のマジックに対する偏見は面白いように覆されていった。

 

 

そして男気上司が代表してお勘定をしたのだが、みんなを楽しませたマジシャン店長をうろたえさせることが起きた。男気上司が「つりはいらない。代わりにおまけのマジックを」とリクエストしたのだった。マジシャン店長は正直に「マジシャンってアドリブに弱いんすよ…」と苦笑しながら「えっとえっと…」とトランプの箱を物色。そしてそのうちの一つをわれわれの目の前に置いた。

 

 

そしてカードを出すことなく、トランプをもっている「てい」でカードをきるしぐさをした。そして「お客さんもきってください」と先輩に透明のトランプを渡した。先輩は首をかしげながらもカードをきるしぐさをし、マジシャン店長に返した。いったい何をしているのか分からない。そして男気上司には「数字をイメージして」、先輩には「マークをイメージして」とリクエストした。

 

 

では、とマジシャン店長が置いてあったトランプの箱を持った。これ、ずっと皆さんの目の前にありましたよね?と。そして男気上司に問うた。イメージした数字は? 「キング」。さすが男気上司。王様である。次は先輩が問われた。イメージしたマークは? 「スペード」。それを聞いたマジシャン店長は箱からトランプを取り出して扇形に広げた。すると一枚だけカードがひっくり返っている。まさか。

ひっくり返すとスペードのキングが現れた…。

 

 

からくりはまったく分からなかった。しかしイメージしたものが形になるというのが心に残った。イメージするのは大事だな。その思いを強くしたのはマジックに心を奪われた約14時間後、開幕第2戦で柳田悠岐の逆転満塁ホームランを見たからだった。2-4と劣勢に立たされる中でギータが打席に入る時、ソフトバンクファンは思ったはずだ。「ここで一発出れば逆転だ。打てギータ!」。私もそう願った。そして西武の今井達也が投じた初球をギータは力強く引っぱたき、打球はライトスタンドに突き刺さった。

 

 

 

いやいや、イメージしたものが形になるのはこんなに気持ちがいいものか。もちろん結果ができすぎなのも分かっている。しかしこうも思った。自分はいつも「物事はそんなに甘くない。いつもいつもうまくいくはずがない」と思い込んでいないか?と。いいイメージをする前に、うまくいかなかった時の備えをしてしまっている。だから「大けが」はしないけれども「大成功」もしていない。典型的なミドルリスクミドルリターン人生である。

 

 

性格的にハイリスクハイリターンが向いていないことも分かっている。だから今後も無理しようとは思わない。だけれども、せめて「なりたい自分」くらいはもっとリアルに思い描くようにしようかと思う。思うだけならリスクはないからだ。これができるようになりたい。こう見られたい。こう評価されたい。そう、前向きに自分の未来をイメージするのだ。

 

ひょっとしたらスペードのキングが現れるかもしれないじゃないか。

 

 

 

思い返せば、私の周りにいる仕事ができる人は明確な目標やビジョンを持っていた(持っている)印象だ。編集職場にいた時もそうだ。紙面のレイアウトをする時、美しい紙面を作ることで知られていた先輩が「絶対こうする」と自分に言い聞かせていたのを見たことがある。そう、明確なビジョンとは信念だ。私はそのあたり、努力する余地がある。

 

 

何やら浮かれたようなことを書いているような気もするが、私はまだ手品バーでかけられた魔法がとけていないのか? だとしても、まあいい。しばらくは魔法にかけられている「てい」で、強気で「なりたい自分」をイメージしてみよう。今までできなかったことが少しだけ、できるようになるかもしれないから。

もうすぐ新年度。皆さんも一緒に「なりたい自分」をちょっと強めに意識してみませんか?

 


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