黒柴スポーツ新聞

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2度目の引退試合はアリなのか~岩瀬仁紀と荒木雅博が3月に再登場

水を差すのは承知している。だが言いたいことを書かねば、ブログをやる意味がない。それをご理解いただいた上でお読みいただきたい。中日が誇るレジェンド、岩瀬仁紀荒木雅博引退試合が3月にある(2日=岩瀬仁紀、3日=荒木雅博)が、「2度目」の引退試合は必要なのだろうか?

 
というのも、2018年10月13日に岩瀬仁紀荒木雅博は公式戦に出た上で、引退セレモニーを行ったからだ。冠を付けたかどうかは別として、これは引退試合である。 
公式戦での引退試合はさまざまな成約がある。いわゆる暗黙の了解。少なくともピッチャーは奪三振で花道を飾らせる。これを試合に支障のない場面でやらねばならないから、起用する監督も大変だ。
 
岩瀬仁紀の場合は盟友の福留孝介が打席に立った。そしてきちんとスイングして三振に倒れた。福留は役者だった。きちんと切られた。岩瀬仁紀の引き立て役に徹したのはさすがである。
 
荒木雅博の場合は何度か打席は保障されており、荒木らしいヒットを放ってファンを喜ばせた。盗塁を試みて刺されたのはご愛敬である。引退試合だからといってすべて花を持たせてもらえるわけではない。公式戦ならなおさらだ。
 
その点、オープン戦での引退試合は気が楽だ。調整期間だから影響は限定的。球団としても客足が見込めるから興業的にもメリットがありそうだ。
 
理想で言えば功労者には真剣勝負で終わってほしい。その意味では中日の二人のレジェンドは美しく終わったはずだ。
 
それがまた3月に引退試合ときた。公式戦で一役買った阪神ナインって一体……ちびまる子ちゃん風に言えば「顔にタテ線」ではなかろうか。
 
やはりオープン戦での引退試合というのは、諸事情により真剣勝負の公式戦で引退を飾れなかった功労者へのはなむけでやるのがよいと思う。
 
例えばソフトバンク。一時代を築いた攝津正と、スーパーサブ城所龍磨のセレモニアルピッチが3月にある(2日が攝津、3日が城所)。ソフトバンクの主な戦力外通告日本シリーズ制覇翌日というまさかのタイミングだったため、攝津も城所も引退試合どころではなかった。二人とも現役続行を模索したが願いはかなわなかった。
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ゆえにファンはもう一度、攝津と城所のユニフォーム姿を見たいのだ。その思いは、岩瀬仁紀荒木雅博を愛するドラゴンズファンとて同じなのだろうが、岩瀬と荒木は引退試合を飾れた。今回はその違いを言いたいだけだ。
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まあ、これが中日の流儀なのかもしれない。あの山本昌も引退シーズン翌年3月に引退登板。その日のための1日契約だった。ということは岩瀬仁紀荒木雅博も……
山本昌という生き方

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私は特に荒木雅博は好きだからまた姿を見られることはうれしい。何が言いたいかと言えば、引退試合がうまくいった場合はそれで終わった方が価値があるし、引き立て役を引き受けてくれた人もやったかいがあるのではないかと思うということだけだ。
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ソフトバンクのセレモニアルピッチと言えば元エースの斉藤和巳。現役晩年は故障でマウンドに立てなかった。もはや引退試合どころではなかった。そして、メモリアルピッチ。キャッチャーは城島健司だった。
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見慣れたダイナミックなフォームは健在だった……はずだったが、力んだか、投球は大きくワンバウンド。これでは終われない。2球目、またもバウンド。3球目もバウンド。届かない。これが現実であり、だれもが斉藤和巳のリハビリとの激闘に思いを馳せた。そして、ようやく4球目が城島健司のミットに収まった。
 
引退試合ができる選手は幸せだ。引退を自分で決断できる選手はそうそういない。最後をグラウンドで迎えられる人は幸せだ。それに立ち会えた人も感無量だろう。引退を生で見られるのは格別だ。私は2018年、中継を通じても何度も涙した。後藤武敏小谷野栄一。どちらもいい雰囲気だった。それだけに、もし松坂大輔が涙ながらに花束を渡した後藤武敏がまた引退試合をやったらどう思うかな……と言いたいのだ。ちょっとケチ臭いかもしれないが。
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なお、引退企画はその選手の記念グッズをゲットできる貴重な機会である。岩瀬仁紀荒木雅博のは分からないが、攝津と城所はTシャツがある。攝津は投球フォーム、城所は笑顔のイラスト。ちゃんと作り分けしているのが素晴らしい。
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何やかんやと書いてしまったが、日程も決まってファンも楽しみにしてやるからには、岩瀬仁紀荒木雅博には有終の美を飾ってもらいたい。心からそう願っている。


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