黒柴スポーツ新聞

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熱い気持ちがあるうちは~ソフトバンク和田毅、グラブ叩きつけから切り替え勝利

それは目を疑う光景だった。あのクレバーな和田毅が降板直後にダグアウトでグラブを叩きつけていた。8月5日、涌井との投げ合いの中、先に崩れた。5回3失点。自分へのいらだちか。うまくいかなかった悔しさか。降板前、決まったかに見えた投球をボールと判定された時には何かつぶやいていた。歯車が噛み合わない時はすべてがうまくいかないものだ。

 

しかし和田毅が素晴らしいのは次の登板できっちり勝ったことだ。8月12日のオリックス戦では7回途中まで無失点。今季4勝目を挙げた。その原動力になったのは、グラブを思わず叩きつけていた、あの熱い気持ちだったという。
自分にもああいう気持ちがあるんだなと。普通に悔しがるんじゃなくて、あれだけ腹立たしく思えるのは悪いことではないのかな。冷めるよりは熱く
西日本スポーツ記事にはそのように、和田毅の気持ちが紹介されていた(2020.8.13 白星挙げたソフトバンク和田が1週間前の“事件”振り返る「自分にもああいう気持ちが」鎌田真一郎記者)。そう、そんな熱い気持ちをアラフォーだって持っている。

 和田毅は39歳。いわゆる松坂世代だ。球界を彩った彼らもベテランの域、あるいは引退し、平石洋介のように監督まで務めた人もいる。その中で和田毅はまだローテーション投手である。人を年齢で判断してもいけないが、和田毅はまだまだやれそうだ。自分でも気付いていなかった熱い気持ち。それがあるうちはまだマウンドを降りられない。エース千賀とも、柱の石川とも勝ち星を張り合えている。ベテランであっても気持ちがあるうちは……。老け込むのはまだ早いぞ。和田毅のグラブ叩きつけは、アラフォーたちへの叱咤激励にも見えてきた。


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