黒柴スポーツ新聞

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モチベーションをあえて上げない~オリックス田嶋大樹のIH投法に期待

新しい年度が間近に迫ってきた。新しい目標を立てる人もいることだろう。そんな中、Full-Countに面白い記事を見つけた。「オリ田嶋が2年目の今季『目標を立てない』理由 『昨年は10勝したいと言って…』」。あれ、田嶋大樹は目標を立てないの???

私はソフトバンクファンながら密かに、2018年のパ・リーグ新人王は田嶋大樹ではないかと予想していた。社会人からの即戦力。期待通りに前半戦で早くも6勝と上々だったが、肘痛でのリタイアだったらしい。これがなければ2けた勝利&新人王だったのではなかろうか。

2019年シーズンを前に田嶋大樹があえて目標を立てない理由はどうも、有言実行ではなく不言実行というニュアンスらしい。去年は「10勝する」と言ってできなかったし、もしかしたら、前のめりになったことがけがにつながったのかもしれない(あくまでも推測だが)。

「上がるものは下がる。モチベーションを上げずに、感情を抑えていつもフラットで投げる。『絶対勝つぞ』と気持ちを上げすぎないように」(Full-Count記事より)
なるほど。モチベーションは上げる方がよいとばかり思っていたが、こういう考えもあるのかと新鮮だった。上げないイコール下げるではなく、キープ。気持ちが乱高下するよりはいいかもしれない。特に田嶋はピッチャーだから。



ガスの火をイメージしてみよう。強火でガッ!とやるだけが料理ではない。中火で一定の熱量をキープする。もはやガスというよりはIH調理である。

あれ、IHって何の略だっけとPanasonicのサイトを見てみたら「Induction Heating」で電磁誘導加熱のことだという。「鍋底自体が発熱」するため、「エネルギーのロスが少なく、スピーディーに立ち上がって、強い火力が得られます」とのこと。立ち上がりがスピーディーだなんて、先発投手にはもってこいの表現である。

昭和の野球ならガスの強火で一気に仕上げる投手がよしとされたが、平成も終わり新元号ともなれば、田嶋のような「IH投法」もありかもしれない。ムダなエネルギーを投入しない、働き方改革にも合致しそうだ。何より鍋自体(自分自身)が発熱するというのがよい。うん、すごくいい。

田嶋が言うように、モチベーションは上がることもあれば下がることもある。ならば一定の熱量を保つことを意識するのはすごく意味がある。エースの金子弌大や西勇輝が抜けた今、田嶋にかかる期待は大きい。田嶋のIH投法が結果を出すのか楽しみにしよう。


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