黒柴スポーツ新聞

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感情をコントロールできる人に~栗山監督が託した日本ハム開幕投手は上沢直之

日本ハム栗山英樹監督が、開幕投手上沢直之を指名した。先日、この黒柴スポーツ新聞でも注目の開幕投手争いだと書いたが、元ネタの新聞記事に書いてあった通り、最有力の上沢が選ばれた。
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スマートニュースで日本ハムの記事を漁っていたら、JBPRESSで「開幕投手・上沢、真のエースへと踏み出した『ある試合』」という記事を見つけた。栗山英樹監督の近著「稚心を去る 一流とそれ以外との差はどこにあるのか」からの再構成だった。

稚心を去る

稚心を去る

詳しくは元記事を読んでいただくとして、ある試合とは2018年クライマックスシリーズ、ファーストステージ第1戦だった。2戦先勝だから先発投手の責任の比重は大きい。栗山監督の、上沢に対する期待の大きさが伝わってくる。

ゲームプランとしては「誰かの2ランで得点し、上沢がソフトバンクを1点に抑えて勝つ」。そのホームランも、テラスに入るイメージまでしていたそうだ。リアルである。

伝える。

伝える。

実際、日本ハムは近藤のホームラン(何と本当にテラス弾だった)で先制した。しかし、上沢はソフトバンクの先頭、上林にヒットを許す。しかもレフトが打球の処理をもたつく間に上林は二塁を陥れた。

決してよい当たりでなかっただけに、上沢にはモヤモヤが残っただろう。続く明石健志は四球。3番中村晃は内野安打と流れはソフトバンクに。そして4番柳田悠岐がタイムリー、5番デスパイネが満塁ホームランで上沢は一挙5点を失った。

結局、日本ハムは初戦を落としたのだが、栗山監督は短期的な評価をしなかった。短期決戦だから結果がすべてなのだけれど、大人になり、感情をコントロールできるようになることの大切さを上沢が学んだのならそこに意味があるのだという。

育てる力

育てる力

こんな考えの人が上司なら部下は刺激を受けるに違いない。今は何かにつけて効率性重視。人材育成も例外ではなく、促成栽培できるならそれにこしたことはない、という流れになっていないか。だから部下は挑戦したくてもしにくいし、上司は上司で、失敗を許したくても許せないのではないかと思う。

「最高のチーム」の作り方

「最高のチーム」の作り方

栗山英樹監督自身、日本ハムに長い目で見られている。実に監督就任後7シーズンが経過。2年契約で結果が出なければ即解任というパターンもある監督業で、2019年は8年目を走っているのだ。日本一になった実績もさることながら、日本ハムは栗山監督の育成力、人心掌握術を買っているとみている。


栗山監督の著作「稚心を去る」のタイトルが気になった。これは幕末の福井藩士、橋本左内が15歳くらいで書いた「啓発録」にある言葉だという。

稚心とは幼い心。誰かに頼りたくなる依存心やついつい遊んでしまう慢心も含まれるだろう。稚心があるようでは大成しないぞ、という戒めのようだ。橋本左内は今でいう中2くらいで自分を律しているというのに私は何をしているのか……とちょっと恥ずかしい。

幕末・維新人物伝 橋本左内 (コミック版日本の歴史)

幕末・維新人物伝 橋本左内 (コミック版日本の歴史)



今年は年末年始に長谷部誠の「心を整える。」、城山三郎の「少しだけ、無理をして生きる」といった本で自分をメンテナンスして調子がいい。この流れで栗山監督の本か、橋本左内に手を出してみようか。ひとまず「買い物かご」に入れることにする。昨日も書いたが、アンテナを張っておくといろいろな刺激を受けるものだ。感度を鈍らせないよう、基礎正しい生活にも気を配ろう。


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