黒柴スポーツ新聞

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横浜DeNAで輝け伊藤光~オリックスまたも生え抜き放出

今、気になっている選手がいる。DeNAの捕手、伊藤光だ。今月オリックスから移籍したばかりだが、オールスター明けから即スタメン。最初の2試合は連敗したが3試合目にようやく勝ちに貢献した。

伊藤光メッセージBOOK クールに熱く

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春先から伊藤光が気になっていた。攻守に精彩を欠き、2軍に降格。懲罰交代とも報じられた。もし事実であるならば、このような措置はやっても短期であるべき。反省なり改善が見られたら戻さねばならない。罰だけでは人は成長しない。伊藤光はキャッチャーとして入団し、主力へと成長した。選手会長も経験した。プロ通算10年を超え、オリックスでは生え抜きとしての地位を固めたとみていた。それがDeNAにトレードだという。昨シーズン、捕手ではなくサードも経験。出場試合数が増えたとしても、捕手としてこの世界に入っただけにうまく消化できたかは疑問だ。こうした起用や2軍降格を経ての、トレードである。別にトレードを否定しない。むしろ適材適所の観点からもっとトレードが増えてもよいと思う。戦力外にする前に、環境を変えてもうひと勝負する、させる。そんな流れを定着させてほしい。その意味では伊藤光のトレードはどんな意味なのだろう。ちなみにDeNAからオリックスに行った1人は高城。伊藤光と同じくキャッチャーだ。同一ポジションだから弱点を補強し合う意味とは違うように見えてしまう。そう、もうオリックス伊藤光を必要と見なさなかったのではないか、と。このトレード、言い出しっぺがどちらかで意味合いは異なる。オリックスならば伊藤の「放出」。DeNAなら伊藤の「獲得」。DeNAは伊藤を即スタメンで起用しており、期待の高さがうかがえる。
横浜DeNAベイスターズオフィシャルイヤーマガジン 2018 ([テキスト])

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なお、即起用された最初のカードのヤクルト戦ではもう「伊藤光」の文字入りの応援タオルをファンが掲げていた。この辺りの機動力が、DeNAの球団経営方針なのだろう。ファンが増えるのもうなずける。育ててくれたオリックスに恩義はあるだろうが、あえて伊藤光にはDeNAで活躍することでオリックスを見返してもらいたい。定期的に生え抜きを放出し、FAで大物を獲る。この辺りがオリックスにいつまでも伝統が生まれないゆえんと見ている。オリックスからトレードされた大引啓次自由契約となった坂口智隆選手会長経験者。こんなにリーダー格が他球団に行くチームは珍しい。オリックスは社会人野球から毎年のように好投手を獲得しながら上位に定着しない理由を今一度考えたらと思ってしまう。後ろ向きの話はよそう。伊藤光はこのチャンスをものにしなければならない。さい先よく移籍後初打席ではヒットを放った。一塁を守っていたヤクルトの坂口智隆伊藤光の気持ちが日本で一番分かる男かもしれない。記念の初安打のボールを回収し、DeNAのベンチに向かって放った。伊藤光とは何か言葉を交わしただろうか。交わさなくとも心は通じあっただろうけれど。組織に生きるものならば、必要とされることを意気に感じるものだ。「かっ飛ばせ~、ヒ、カ、ル!」の声援を聞く限りファンも受け入れてくれているようだ。もちろんオリックスに行った高城のファンは悲しんだだろうけれど、高城は高城でオリックスで頑張ってもらいたい。球団には球団なりの思惑があるだろうが、選手にも人生がある。トレードはそこまで見据えて行ってもらいたい。同じ捕手というポジションではあるものの、チームメイトはがらりと変わり、相方となる投手陣の特色を把握するのも一朝一夕にいかないだろう。ある意味ぶっつけ本番的な、暗中模索的な働き方になりそうだが、早く同僚たちと打ち解け、新天地で伊藤光がその名の通り光り輝くことを願わずにはいられない。2014年シーズン最終戦ソフトバンクに敗れ涙を見せた伊藤光。果たしてハマスタ歓喜の涙を流す日は来るのだろうか。


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