俺が潰した…野村克也元監督の伊藤智仁氏への酷使謝罪を語る
野村克也氏が、俺が潰した、とか、謝罪、とかいう話になればあの人しかいない。伝説のスライダーを投げていた元ヤクルトの伊藤智仁氏(両氏とも以下敬称略)だ。正月の番組「消えた天才~一流アスリートが勝てなかった人大追跡SP」(TBS系)の話だが、録画しておいたものを見た。
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いよいよ身辺整理
25年の時を経て野村克也が謝罪、という筋書きだがプロ野球ファンは、そしてヤクルトスワローズのファンはどう見たであろうか。黒柴スポーツ新聞編集局長は、野村克也がいよいよ身辺整理を始めた、と受け止めた。鎧を脱ぎ、一人の老人になったんだなと。
それに付き合わされた伊藤智仁も気の毒だが、酷使により選手生命が短命に終わったことを謝罪された伊藤智仁が「そんなこと思ってほしくない」と言ったのは、どんな意味だったかなと考えしまった。
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そんなこと思ってほしくない、とはどんな意味?
普通に考えたら「気にしてませんよ」という意味だ。実際、「けがしたのは自分が悪い」とまで言っていたし、投手はマウンドに上がったら投げきるものだとも言っていた。だから悔しさはあっても後悔はしてなさそうに見えた。
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しかし、「そんなこと思ってほしくない」は見方を変えれば、過去を否定することにつながるからこそ今さら謝罪はしてくれるな、とも見えはしないか。
宝くじを買う球団
何が言いたいか。そう、謝るくらいならやるな、という話。プロ野球は美談だけでは成り立たない。プロ入りは球団からしたら、選手の人生に大金を投じて「買う」行為だ。スターになれば球場が賑わいチームも強くなり「おつり」が来る。一方でモノにならない場合もある。前評判通りに活躍する選手もいるが実際は宝くじ=夢を買うような感覚ではなかろうか。選手自身も夢をかなえる立場だから、「おれの人生を金で買いやがって」とは思わないだろう。
選手は打ったら生き残れるし、打たねば価値を見出だしてもらえない。投手は抑えたら評価されるし、抑えられなかったら必要とはされない。分かりやすい弱肉強食の世界だ。
謝罪しなくてよかった?
だから、ヤクルトの野村克也監督が「チームを勝たせる」職務を全うすべく惜しげもなく伊藤智仁をつぎ込み続けたのは、ある意味必要なことだった。ならばノムさんも今さら謝罪はしなくてもよいのでは。黒柴スポーツ新聞編集局長はそう考えたのだった。番組でも再現されていたがそもそも伊藤智仁の獲得は野村克也の主張で実現したという。2017年の清宮幸太郎と同様、伊藤智仁が指名されたドラフトでは松井秀喜が目玉だった。そこで伊藤智仁を欲しいというのだから、やはり野村克也はよほど伊藤智仁を買っていた、ということになる。
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プロ野球選手にとって、細く長く生きるのが幸せなのか、短くとも太く、鮮烈な印象を残すのが幸せなのか。当人にしか分かり得ないが、本人が納得してさえいたら周りがとやかく言うものではないと思う。
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稲尾も酷使がなかったら…
野村克也も「稲尾和久か伊藤智仁か」と言っていたが、稲尾和久は名将・三原脩が自身を起用しまくったことについては酷使とはとらえていなかったようだ。稲尾和久の体を優先に起用していたら少なくとも300勝はしていたと想像する。
稲尾和久は1958年の日本シリーズで西鉄が3連敗から4連勝した時の立役者で、7戦中6登板4完投、5連投ありの4勝とまさに獅子奮迅の活躍。今ならこれを酷使と言うのだろうが、稲尾は結果を残しただけに「神様仏様稲尾様」と評された。結果が出たからかもしれないが、三原脩監督が「酷使した」という批判は見たことがない。ましてや三原監督が稲尾に謝罪した話なんて…。
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もし謝罪していたら西鉄ファンはどう思っただろうか。1958年に感動しまくっただけに、きっと興ざめしたに違いない。
皆さんのご感想は?
だから、やっぱり野村克也氏は今さら伊藤智仁に謝罪などしなくてもよかった、との結論に達したが読者諸氏はいかがだろうか。どうしても引っ掛かるものがあり、一言すまんな、と言いたかったのならカメラ抜きで謝ればいいのになと思う。もしかしたら番組の企画があればこその謝罪実現だったかもしれないが。
結論
カメラが回っていて、野村克也が隣にいて、伊藤智仁がどれだけ本音を語ったか分からないが、酷使を謝罪した野村克也に「そんなこと思ってほしくない」と、現役時代のスライダーばりのキレで潔く言い切った伊藤智仁はカッコよかった。それだけは間違いない。
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