黒柴スポーツ新聞

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ソフトバンク崖っぷちで育成出身トリオがお立ち台〜甲斐、牧原そしてリチャード

「全員元育成選手」
アナウンサーが言うまで気がつかなかった。4日のオリックス戦。お立ち台に上がったソフトバンクの面々…甲斐拓也、牧原大成、そしてリチャードは育成から1軍のポジションをつかんだのだった。お立ち台の3人とも育成出身は珍しい。と同時にソフトバンクの素晴らしさを感じた。

この育成出身者が、負ければ自力優勝の可能性が消える崖っぷちでお立ち台に上がる。何とも胸が熱くなる。今日勝ったからといってもまた、自力優勝消滅の危機はなくならない。しかしまずは一つでも勝つ。そして可能性のある限り諦めない。それが求められる。このところソフトバンクの調子が良くなく、正直なところグッとくるシーンが少なかった。基本的に、湧き上がってくるものがないとブログを書こうという気持ちまで持ってこれない。職業として、勝とうが負けようが何かしらネタを見つけて書くライターの人とは違う。別に負けてもグッとくるものがあれば書きたくなるのだが、今シーズンのソフトバンクは史上最多ペースの引き分けや取りこぼしが多い。工藤監督になってから初めて後半戦でも負け越しを経験。このチームのもたつきとブログの執筆ペースが上がらないのは無関係ではない。

お立ち台に上がった牧原大成は13球だったか粘るシーンがあった。エンドランのサインが出ていたようでそのたびにランナー甲斐は走りヘトヘトになった。だが解説の坊西いわく、「体にキレが出た」。その後の逆転タイムリーといい、良いリフレッシュになっていたら最高だ。リチャードは待望のプロ初安打を放ったが甲斐の逆転打につながった四球が印象的。何とか打ってアピールしたいところだがよく見極めてチャンスを拡大した。

オリックスはすっかり自信を付けて劣勢でもひっくり返せそうなムードを持っている。逆にソフトバンクは追いつかれたりひっくり返された経験からすぐ「またか」といった雰囲気になりがちだ。ゲーム差が6まできたらもう思い切ってやるだけ。リチャードは初安打の次は初ホームランを打ってほしい。昇格した上林にも結果を期待したい。守護神・森唯斗が戻ればまだファイティングポーズは取れるのではないか。そんな可能性を感じた試合だった。


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