黒柴スポーツ新聞

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自分を信じる~10.8巨人VS中日でなぜ桑田真澄は好投できたのか

平成至上最高の試合はやはり10.8だと思う。鷲田康著「10.8  巨人VS中日  史上最高の決戦」を読んでからは特にそうだ。ではその試合の中ではどこが見どころだったかと言えば、個人的には桑田真澄のピッチングを挙げたい。

 

10・8 巨人vs.中日 史上最高の決戦 (文春文庫)

10・8 巨人vs.中日 史上最高の決戦 (文春文庫)

 

 

 

郭源治山本昌を投入しなかった(あるいはできなかった)中日に対して巨人の長嶋茂雄監督は先発三本柱の槙原寛己斎藤雅樹桑田真澄を惜しげもなく投入した。最終試合だからこその起用法かもしれないが、この試合には絶対勝つ。そんな長嶋茂雄の意気込みが伝わってくる。

 

知られた話だが桑田真澄は前夜、長嶋茂雄の部屋に呼ばれてこう言われている。

「明日はシビレる場面で行くぞ」

どうだろう、このざっくり感。ミスターでなければ指示としてはむしろダメな方に分類されるかもしれない。だが結果的には桑田真澄は追いすがる中日を食い止める、まさにシビレる場面でマウンドに立っていた。

 

 

 

ではなぜ桑田が中日の反撃を断ち切れたのか。「10.8」には桑田が説く「自分を信じる」ことの大切さが紹介されている。何万もの巨人ファンが応援してくれていても、監督やコーチが応援してくれていても、自分自身を信じられなければ結果は出せない。私はこの桑田の考え方にシビレた。

 

 

 

じゃあどうすれば自分を信じられるのかと言えば、普段からコツコツ努力することだ、という。しかしそれは練習量の問題ではなくむしろ質。いろんなことを考えてコツコツ積み上げていくしかないのだ、と。さらには食事や節制といった自己管理、体調の把握、スコアラーからもたらされるデータをインプットするという準備も大切なのだそうだ。

 

完本 桑田真澄 (文春文庫)

完本 桑田真澄 (文春文庫)

 

 

 

そしてそうした準備から生まれる閃きや第一感を信じられることが能力を発揮できるかどうかの分かれ目なのだという。桑田真澄のこの考え方を知ると、彼のピッチングはまた一段と深みを増す。最近は豪速球や多彩な変化球で抑えるピッチャーが多いと感じるだけに、もし今桑田のような組み立て型のピッチングを見たら相当のめり込んで見てしまいそうな気がする。

 

Number PLUS 桑田真澄 完全復刻版 (Sports graphic Number plus)

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また、桑田は自分の気持ちのバランスを保つことが大切だとも言っている。緊張とリラックスと自信。それをほどよくミックスさせる。調和させる。それができたからこそ桑田真澄はあのシビレる場面で最高のピッチングができたのだ。このあたりは本当に勉強になった。

 

野球の神様がくれたもの

野球の神様がくれたもの

 

 

 

というわけで、スポーツ選手ではないにせよ自分も自信を付けるためには何をしたらよいのかと考えてみたが、まずは「規則正しい生活」から。暴飲暴食も深酒もしないからちょっと意識したら早寝早起きして規則正しい生活はできる。心技体という言葉もあるし、やはり健全な精神、健全な体から前向きな言葉が出てくるはずだ。まずは体調を整えて、シビレる場面で自分に自信が持てるようにしたい。


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