黒柴スポーツ新聞

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納得いくまで「ありたい自分」を追求する~阿部慎之助、捕手復帰という終活

日経新聞のコラムで、巨人の阿部慎之助の捕手復帰が取り上げられていた。コラムの締めでは沢村を「公開説教」した場面を引き合いに出し、「叱れる」稀有な人材なので捕手復帰を肯定していた。黒柴スポーツ新聞も阿部の捕手復帰を肯定している。

 

 

  

阿部はこのまま一塁手のまま終わってしまったら、後悔すると思ったらしい。確かに年齢的には選手生活のしまい方を考える時期である。年齢を軸に考えること自体はイチローには批判されてしまうかもしれないが。

 

 

しかし、みんながイチローではないからこそ、きちんと終わり方や過ごし方のビジョン、プランを持った方がいいと思う。周りが何と言おうと、本人が納得するキャリアを残すことが一番なのだから。

  

イチロー 262のメッセージ

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プロ野球は守備で言えば九つしかポジションがない。選手の特徴を生かして当てはめられるべきだが、世代という観点も重要だ。徐々に若返らせていかないとかつての阪神や中日のように、気付いたら主力が高齢化して、若手の台頭までしばらく間があく恐れがある。

 

 

その意味ではコラムにも書いてあったが小林誠司や大城が捕手として一本立ちする方がチームとしてはバランスがよい。阿部もそれは承知しているだろうが、捕手に未練を残したまま終わるわけにはいかないということだろうし、ファンとしても不完全燃焼の選手は見たくない。だから、やりたいようにやればいいと思う。

  

  

 

日経新聞のコラムでは同じくキャッチャーだった谷繁元信が紹介されていた。谷繁は1年という軸の中で、投げさせる球を決めていたという。何と奥深い世界だろう。そう、やはりその仕事の醍醐味や、やりがいは、やった人にしか分からない。

  

谷繁流 キャッチャー思考 (当たり前の積み重ねが確固たる自信を生む)

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阿部は2018年シーズンを終えて399本のホームランと2085本の安打を放っている。実績が十分なのだからもう後輩に道を譲るべき、なのかもしれない。しかし、捕手に執着することがモチベーションになるのならとことんやってみたらよいと思う。それによって選手生命が伸びる可能性だってある。後輩は後輩で、はいどうぞとポジションを与えられるのではなく、阿部から力ずくで正捕手の座を奪い取ればいいのだ。むしろそれがプロのあるべき姿だろう。

 

 

  

2019年シーズンは阪神鳥谷敬も再びショートの定位置を奪還しようと奮闘しているという。ベテランの「終活」といったら鳥谷や阿部のファンには怒られてしまいそうだが、遠慮なく後輩と争う姿勢はカッコいい終活とも言える。ぜひ納得いくまで「ありたい自分」を追求してもらいたい。私は鳥谷からも阿部からもとてもよい刺激をもらっている。


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