黒柴スポーツ新聞

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勝つことで自分の殻を破る~小原怜、大阪国際女子マラソンで惜しくも2位

大阪国際女子マラソンで小原怜(天満屋)が2位になった。レースを見て、勝つことを知っているのはアドバンテージだということ、そして勝負勘を鍛えるのは場数を踏むしかないということを再認識した。

天満屋女子陸上競技部の寮ごはん

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小原は五輪代表選考のMGCに出場する権利を持っている有力選手。名古屋ウィメンズマラソンで1秒差で3位となり、オリンピック代表を逃したことはあまりにも有名だが、都道府県対抗駅伝では岡山県代表で快走したことがある。力があるのはだれもが認めるところであり、あとは「勝つ経験」をするだけだ。

そんな小原怜にとって大阪国際女子マラソンは願ってもない展開ではなかったか。ペースメーカーが外れて30キロ、アフリカ勢との計3人で先頭を形成していた小原が先に仕掛けた。

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レース前に「自分の殻を破る走りをしたい」と語っていただけに、この積極的な姿勢は解説の増田明美高橋尚子も評価した。

だが、30キロでのスパートは爆発力はなく、バイクリポートの千葉真子の懸念が的中。アフリカ勢のペースメーカーのようになってしまい、35キロまで膠着状態が続いてしまった。

ケニア! 彼らはなぜ速いのか

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恐らく小原自身も「このままではこれまでと一緒だ」と思っただろう。35キロで再び仕掛けるも、優勝したサドを振りきれなかった。逆にジリジリとサドに差を付けられ、7秒及ばず2位でゴールした。

今までは周りにレースをコントロールされる中で走っていた印象だから、自ら2度も、しかもきつい30キロ、35キロと2回も仕掛けたのだから、そこは評価されるだろう。しかし、仕掛けて離せなかったのは心のどこかに、逃げ切れないのでは?という自信のなさがあったのではないか。

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私はマラソン未経験だが小原怜の気持ちがすごく分かる。一番になる、というのはやはり特別な経験だから、それを経験してこそ自信が芽生える。その積み重ねが風格になっていく。私は一番になるという経験が少ないから、そこはもっと貪欲に狙っておけばよかったかなと思っている。

だからこそ、ついつい小原怜に感情移入してしまった。頑張れ、小原。このまま逃げ切ってくれ。あるいは、何とか追い付いてくれ。そう何度も願ったがかなわなかった。小原にほんの少し、もう少し自信があったなら勝てた。願望も込めてそう見ている。

小原怜自身が「不完全燃焼」と言っているので、仕掛けたら逃げ切れるだけの脚力を付けるなど課題は見えたと思う。あとはそこを補うのみだ。

では、マラソン選手みたいに大きな勝負がない人が自己肯定感を高めるにはどうしたらよいのだろうか。考えてみたが、できることを一つ一つ積み重ねていく。それに尽きると思う。積み重ねていくことで小さな自信を付けていくのだ。

この際、自己満足でもいいかもしれない。まずは自己肯定感を高める。自己顕示欲を高めるわけではないから周りにも害がないだろう。

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小原怜の所属は天満屋。過去4大会連続でオリンピック選手を出した実績のあるチームだ。スーパースターというよりは地力のある選手を鍛え、結果を出す印象。コツコツ頑張る人に目がいく黒柴スポーツ新聞向きである。ピンクのユニフォームも黒っぽいラインがあるのがいい。浮わついた感じがない。地に足が付いた感じだ。

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小原怜はMGCという舞台が残っている。東京オリンピックの時は29あるいは30歳くらいだろうか。年齢的にも落ち着いてバッチリではなかろうか。過去惜しいレースを何度も見ているだけに、どうしても気になる。ぜひMGCでまた殻を破って代表の座を射止めてもらいたい。

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