黒柴スポーツ新聞

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ストロングポイントに賭ける~ソフトバンク交流戦優勝を決めた強気の用兵、特に福田。

13時から試合開始。DAZNに接続したら、ん?  福田秀平がダイヤモンドを回っている?  何とエース菅野智之から先頭打者ホームランを放っていた。勝てば交流戦優勝を決める大一番で福田がソフトバンク打線に点火。満塁と攻め立て坂本勇人のエラーを誘う松田宣浩の内野安打に甲斐拓也のスクイズ。いきなり4点を奪ってソフトバンクが試合の主導権を握った。

 

今季未勝利の和田毅が1回裏に巨人を三者凡退に抑えたのとは対照的に、菅野は立ち直れなかった。2回先頭打者の和田に四球を与えたことが原監督の逆鱗に触れプロ最短1回3分の0でマウンドを降ろされた。確かに原監督が最も嫌いそうな展開ではあったが、公開説教的な降板はエースに対していかがなものかと、わが黒柴スポーツ新聞は指摘しておく。そしてあえて打ちに行き四球を勝ち取った和田毅の男気に拍手を送りたい。

 

険悪でピリピリムードの巨人を尻目に和田毅はすいすいアウトを重ねていく。4回に岡本和真にソロホームランを浴びるも、5回1失点でまとめて後輩たちに後を託した。7回には椎野がランナー2人を背負ったが救援したモイネロが丸を討ち取り2イニング無失点。最後は甲斐野が締めて交流戦優勝を決めた。

 

 

 

和田は今季初勝利かつ651日ぶり勝利。交流戦優勝に花を添えた。ヤフオクドームなら確実に和田&福田のWヒーローインタビューであるが、この日は交流戦優勝監督インタビューとして工藤公康監督がお立ち台に上がったのみだった。巨人との3連戦中のソフトバンクが勝った試合はヒーローインタビューが終わるとさっさとDAZNは中継終了。日テレの制作と思われるためやむを得まい。

 

福田秀平の先制パンチも和田毅の好投も勝因なのだが、黒柴スポーツ新聞的には福田のプロ初セカンドでのスタメン起用に象徴される攻撃的オーダーとしたい。決して守備が磐石ではない「レフト」デスパイネ、「ライト」グラシアル、そして「セカンド」福田秀平。プロ野球選手だから打力も守備力も求められるが、この日に限っては菅野智之を打ち崩して勝つ。とにかく打ち勝つんだという意思を感じるオーダーで、特に外野を守ることが多い福田を内野で起用したことを見た篠塚和典は「工藤監督の強い気持ちを感じる」と解説していた。福田はこれに応えて7回にもダメ押しホームラン。巨人戦では初戦に森福から放った代打勝ち越し満塁ホームランと合わせて東京ドームに3本もアーチをかける大活躍だった。

 

大事な試合だからこそ経験のある明石をセカンドに起用する策もあった。だが守りに入ってはいけない。そんな考えがあったのかもしれない。セ・リーグの本拠地で行われる、指名打者制のない試合で打線に厚みを生もうとした。それがうまく機能したのが勝因と見ている。

 

少々の弱点があってもそれを上回るストロングポイントを生かす。多少の短所には目をつぶって長所に懸ける。勝ったから言えることではあるが、用兵がはまってソフトバンクは8度目の交流戦優勝。これで2年に1度は交流戦を制している計算となった。毎回毎回短所に目をつぶるのはハイリスクだが、ここぞの時にはポテンシャルに賭けてみる。個性的な部下を抱える指導者クラスにはぜひ応用していただきたい、鮮やかな勝ち方だった。

 

なお、全日程が終わってから発表されるのか交流戦MVPが待てど暮らせど発表されない。打撃成績ではロッテの鈴木大地が好調だったがソフトバンクが優勝しているだけに、黒柴スポーツ新聞としては共に交流戦ホームラン7本のグラシアルと松田宣浩を推す。どちらかに絞れと言われたら相当悩むが打率が3割台の松田か。交流戦首位争いに限れば文句なしで福田。Twitterでは福田を推すファンがおり、コツコツ努力してきた福田が報われる姿も見てみたい。ソフトバンクでは同じくスーパーサブ城所龍磨がかつて交流戦MVPに選ばれたこともあり、発表が注目される。


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