人的補償の長野久義、広島移籍騒動に垣間見られる終身雇用制度至上主義
丸佳浩の人的補償で広島に移籍した長野久義の背番号が5に決まった。これがニュースになったことで確信した。やはりまだまだ日本では終身雇用制度が崩壊してはいないのだな、と。
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私が持っている野球カードに、ノーラン・ライアンのセットがある。若き日のライアンのカードはメッツのユニフォーム。エンゼルスのものは記憶がないのだが、アストロズやレンジャーズのユニフォーム姿は覚えている。ノーラン・ライアンほどの人が移籍したらさぞ話題になったと思うが、ライアンは4球団に所属したので、そこまでの悲壮感はなかったのではと推測する。
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そう、悲壮感。長野は球団を通じて「3連覇中のカープに選んでもらって、選手冥利に尽きる」と優等生的なコメントを発したが、世間の目はどうか。プロ野球ファンなら長野が2度のドラフト指名を拒否して巨人入りしたことは知っている。プロテクトしないなんて巨人は何と冷たいのだ、という反応は当たり前だと思う。
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だがもっとアメリカのように移籍が日常茶飯事ならば、あるいは日本社会で転職や他社への就職や独立が当たり前であれば、ここまで長野久義の人的補償移籍がクローズアップされなかったのではないだろうか。
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長野の背番号については、丸の移籍に伴い空いた9も選ぶことができた。が、長野は将来が期待される野間がいずれ付けたらいいと、譲った形だ。これを男気と見る向きもあるがどうだろう。これこそが外様の悲哀ではなかろうか? 広島がどれだけ温かく迎えてくれようとも、長野は遠慮するだろう。だって少し前まで生え抜きの人気選手が付けていて、生え抜きの若手でそれを付けてもいい選手がいるのだ。
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ファンの目も気になるだろう。特にカープファンは地元びいきなのだから。そう、これが広島東洋カープに移籍するということなのだ。
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という状況を見ると、奇しくも選んだ背番号5はぴったりかもしれない。国貞泰汎や高代延博といった移籍選手、もしくはギャレットやバークレオ、ルナら助っ人がよく付けていた番号なのだ。それを長野が知っていたかは定かではないが。
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そしてカープの背番号5は、町田公二郎や栗原健太といったパンチ力のあるバッターも付けていた。長野はそれに巧さを加えた打者だ。勝負強さもある。逆転のカープにはぴったりかもしれない。
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長年の功労者を大切にしないことと、人材の有効活用はイコールではない。もちろん巨人がどんなに意図で長野をプロテクトしなかったかは重要だ。若返りを図りたかったならそう言えばいいのだが、「申し訳ない」みたいに言うから余計に長野がかわいそうだ。中島宏之を獲得しているから説得力もない。一体巨人は何がしたいのか。
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巨人を出るというのは特に注目され、波風を立ててきた。反骨心を見せた代表格は西本聖だろう。中尾孝義とのトレードで中日に移籍したが初年度の1989年に20勝で最多勝に輝いた(前年は4勝)。今よりもはるかに終身雇用制度かつ生え抜きを重要視する時代だったから、西本の「倍返し」は鮮烈な印象を残した。
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では、30年たった現代の長野久義はどうだろう。やはり巨人戦では燃えるのだろうか。長野はさほど意識しなくとも周りは煽ってしまうのか。だとしたらやっぱりまだまだ、一つの組織で勤めあげるのがよい、という風潮に感じられる。
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その意味では2018年~2019年にかけて西武や広島が行った、遠慮なき「生え抜き」の獲得は慣習にとらわれない補強として評価されるものだった。頻繁にチームを移られても困るけれど、能力のある人が、必要とされる所に呼ばれ、結果を残すという流れがもう少しあっても構わなくないか。
近年はベテランが戦力外からそのまま引退を迎えるケースが多いように感じる。選手によっては愛着のあるユニフォームで引退したい人もいるだろうが、1年でも長く現役でいたい選手ならば積極的にトレードの舞台に上がってほしい。若手も戦力外にする前にトレードを検討してもらいたい。たまたまそこで輝けなかっただけかもしれないのだから。そう、輝けるならば別に終身雇用じゃなくてもまったく問題はない。
ちなみに私の知り合いに、所属先が変わっても着実にスキルアップ、ステップアップしている人がいる。大事なのは受け身で生きることよりも、能動的に生きることではないだろうか。私は半沢直樹が大好きだからきっと巨人戦で長野久義が活躍したらほくそえんでしまうだろう。だがまずは長野が生き生きと背番号5を背負っているかを確認しようと思う。
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