黒柴スポーツ新聞

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常に道具を大切にする~ソフトバンク内川聖一、4安打3打点2ホームランの大活躍

朦朧とした意識の中で、朗らかな声に気が付いた。誰かがヒーローインタビューを受けている。radikoKBCホークスナイターを聴いていたのだが、山から吹き下ろす風が心地よく、うとうとしてしまったようだ。インタビューへの歓声が大きい。ああ、ヤクルトが勝ってしまったんだな。4-4まではうっすら覚えていたのだが……と思ったらソフトバンクが6-5で勝っていた。ヒーローインタビューを受けていたのは勝ち越し2ランを放った内川聖一だった。

 

稀代のヒットメーカー、異常な勝負強さを誇った内川聖一が2019年シーズンは苦しんでいる。打率は2割5分あたりをうろうろ。特に好機でのダブルプレーが目立ち、それを揶揄する造語まで現れた。打てない、期待に応えられない。この日のインタビューでも内川は「悔しい思いをした」と語っていた。

 

内川家。

内川家。

 

 

 

さすがに4安打3打点2ホーマーだから早速内川に関する記事がネットに出ていた。速い。しかし試合展開をなぞり、内川のコメントを上手に絡めたありきたりな記事ばかりだな、と思った。そんな中、日刊スポーツ記事「工藤監督『まだまだ いける』4安打内川に今後も期待」に素晴らしいくだりがあった。

 

「打撃職人はベンチでバットを常にきれいに磨き上げている。打球跡や土などを拭き、常にきれいな相棒と打席へと向かう」

 

いかがだろう。内川いわく、結果と気持ちがうまく噛み合わない状態が続く中でも、バットを磨き上げている。常に前向きに打席に向かおうという姿勢、そして結果が出なくても諦めまいという闘志が伝わってくる。サムライが静かに刀を手入れしているかのようだ。筆者は石橋隆雄氏。細かな描写がグッときた。

結果が出ないとついイライラしてしまう。こんなにやっているのに何で、とこぼしてしまうこともある。だが、そんな時こそ道具を手入れする時間は大切なのだろう。心を整える。そんな意味合いがあるのかもしれない。私は残念ながら、そのあたりをなおざりにしてきた。だから愛用の道具がものすごく少ない。バットを大切に扱う内川聖一とは大違いだ。

 

結果が出ない時こそ道具を大切に扱う。心を整える。それでも相手のあることだから、野球でもビジネスでも常に好結果が出るとは限らない。しかし道具を大事にできない人が結果を出せるはずがない。自分と向き合い、現状を把握する。そんな意味でも、道具を大切に扱うことからやり直してみよう。


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