黒柴スポーツ新聞

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雨の日に運命を変える公文克彦〜甲子園降雨コールド負け回避、日本ハムから西武にトレード

またしても雨の日だった。公文克彦日本ハムから西武にトレードされることが8月12日に発表された。2009年、夏の甲子園で当時高知高校のピッチャーだった公文は如水館相手に史上初の2日連続降雨コールドゲーム。もしかしたら負け、という状況を2日連続でしのいだ公文は「三度目の正直」で如水館に勝った。雨は公文にとってまさに恵みの雨となった。

勝った試合で公文は14奪三振の力投。これが好印象となったのか前から決まっていたのかは分からないが、公文は高校卒業後、大阪ガスに進む。そして何と巨人にドラフト指名された。ただ、いわゆる本格派ではないため、リリーフでいい結果を出して、1年でも長くプレーしてもらいたいなと思っていた。だが他球団も同じかもしれないが選手層が厚く、登板は2016年までの計2シーズンでわずか15試合。2014、15の2年間は1試合も投げられなかった。公文はこのまま埋没して戦力外になる可能性があったかもしれない。その状況を打開したのはトレードだった。

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大田泰示とペアでの日本ハム行き。知名度で言えば大田。だから大田プラス公文という印象だった。だが日本ハムで覚醒した大田に負けず劣らず、公文はいきなり41試合登板を果たす。繰り返すが巨人在籍中はたったの15試合にしか出ていなかった。これは大ブレイクと言っていい。一度一塁方向に踏み出した、と思いきやすぐさま反転して右打者にズバッと投げ込む。ワンポイントで使いたくなるというものだ。球も決して遅くない。公文はしっかりと日本ハムで戦力になった。そして初登板からの無敗記録を更新し、182試合連続無敗のプロ野球新記録まで作ってしまった。

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公文は2019年には61試合に登板するなど通算200試合以上に投げた。だが、2021年は日本ハムの調子自体が悪かったこともあろうが公文の登板もわずか10試合。大丈夫だろうかと思っていたところに西武移籍のニュースが飛び込んできた。そしてその日は奇しくも同じ高知県勢の明徳義塾が、夏の甲子園で雨天順延となった。あの日もし雨がひどくならなかったら高知高校は負けたかもしれない。その後の公文の球歴はどうなっていただろうか。もしも日本ハムに移籍していなかったら。もしも今回西武へのトレードがなかったら…。西武は左投手が手薄な印象だったから、きっと公文は弱点を補うために白羽の矢が立ったのだ。公文にとって、雨の日に何かが変わるのは縁起がいい。降雨コールドしかり、182試合連続無敗しかり。公文には不思議な力があるように思えてならない。雨の日のトレード発表に公文の新天地での活躍を祈った。


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