アリかナシかはやった人による~阪神近本球宴サイクル安打へのアシストに賛否両論
阪神の近本光司がオールスターで5安打の大暴れ。史上初のルーキーによる先頭打者ホームランだけでもすごいのに球宴史上二人目のサイクル安打まで記録した。しかしその打席となった三塁打にパ・リーグのアシストが見受けられ、それをめぐって賛否両論が渦巻いているという。
ざっと見た感じ、アリの方が多そうだ。球宴だから許されるという意見には素直にうなずける。オールスターはお祭りだ。オールスターを球宴と表現した人はさすがだな、と思う。まさに宴なのだから、エンターテイメント性はむしろあってしかるべきなのだ。
また、舞台となった甲子園は阪神の本拠地。近本光司のホームグラウンドである。そもそもパ・リーグ外野陣が前進守備を敷いたのはファンが「前で守れ」と圧をかけたという話も。それでもプレッシャーのかかる場面で大飛球をかっ飛ばした近本のバッティングや勝負強さは大したものだし、躊躇しながらも三塁に向かう走塁はいやらしさがなく、近本については全く責められる要素はない。120点、いや、200点満点だ。
これをアシストしたと見られているのは頭上を越された秋山翔吾、ふんわり返球の源田壮亮、派手な空タッチの松田宣浩のパ・リーグ3人と、近本光司の進塁を促す本塁突入をした坂本勇人だ。これについては特定の誰かを追及する書き込みは見当たらない。むしろ坂本勇人や、特に松田宣浩の株価が上がっている。
そう、結局アリかナシかは誰がやったかによるのだ。秋山翔吾、源田壮亮、松田宣浩、坂本勇人は実力者だし普段から目一杯のプレーをしている。そういうブランドがあるから責められたりしないのだ。「アウトだ!」とグラブを高々と挙げてタッチをアピールする松田宣浩を千両役者とかゴールデングラブ賞と評した人がいたが、まさにそうなのだ。あれは常にはつらつプレーでファンを楽しませる松田宣浩だからこそ成立すると言ってもよい。
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結局、このサイクル安打の価値は近本光司自身に託されたと言っていい。このままスター街道ばく進ならサイクル安打でパ・リーグ勢が粋な立ち回りをしたことは「愛嬌」で終わるのだけれど、並の選手で終わってしまえば、やっぱり自力ではサイクル安打無理だったよねと記憶は都合よく書き換えられていくのだ。
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それは決して重い十字架ではない。オールスターの5安打なんてなかなかできることではない。前回の達成者はペタジーニというから近本も打撃をさらに磨けばとんでもないことになるかもしれない。盗塁もできるしこれにスター性が加わればもっともっと人気が出そう。オールスターで名前が売れたから、後半戦で活躍すれば新人王レースも優位に進められる。阪神ファンは楽しみで仕方ないことだろう。
近本光司がこのままスターになったら、パ・リーグの先輩たちはとんでもないプレゼントをしたことになる。そして、近本の活躍で多くのプロ野球ファンが胸を熱くさせるようになっていったら……近本にはぜひサイクル安打を大きなきっかけとして球史に残る名プレーヤーになってもらいたい。