黒柴スポーツ新聞

ニュース編集者が野球を中心に、心に残るシーンやプレーヤーから生きるヒントを探ります。

好きなことに熱中できる幸せ~ソフトバンクホークスとオンラインゲーム

新年度初日は新元号発表に伴う号外配り。まさか2日目もイレギュラーなことが起きるとは。会社が発行する新聞にオンラインゲームの全面広告が掲載され、この日の新聞を手に入れたい方からの問い合わせが殺到した。実に5時間半、受話器が手放せなくなった。

 

 

お客さまにしてみれば「なんでこんなにつながらないの?」と思われたかもしれない。だが私たちはもう必死のパッチ。部署の電話は着信を示すボタンが軒並み真っ赤に点灯。おひとり対応し終わり受話器を置くや否や着信音が鳴る。出る。その繰り返し。お待たせしたこと、すべてのリクエストにお応えできなかったことは大変心苦しいのだが、やれることはやりました。

 

 

そんな中、ちょっとほっこりさせられたのが感謝の言葉。「お忙しいところ、ありがとうございました」。電話を切る間際、なんと、お客さまからお礼が。なんて丁寧な方だろう。いや、この方ばかりではなかった。このオンラインゲームのファンの方々は電話の受け答えがとても丁寧だった。

 

 

ゲーム界隈にはほんとうに疎くて恐縮なのだが、正直に言うとゲームに熱中する方々は「少々とんがっている」と偏見を持っていた。いやいや、実に丁寧な方ばかり。それはほしかった新聞が手に入った安堵感、安心感から醸し出された余裕だったのかもしれないが、姿かたちが見えない電話からでも人柄が伝わってきた。

 

 

そんな方々との通話でもれ聞こえたノイズ。そこまでクリアに聞こえたわけではないが、風が吹く音だったり、周りの人の声だったり。一日の中の、すき間時間をぬって電話してくださったようだ。きっとオンラインゲームをやる時間もそんな感じで、一日を形成するピースなのだろう。それは紛れもなく、その人には欠かせないピース。好きなことに費やせる時間って本当に貴重だな、と思う。

 

 

私はオンラインゲームをたしなまないけれど、きょうのゲームファンの方々のようにどうしても手に入れたいものを手に入れようとしたり、好きなことに熱中する、没頭する楽しさは分かる。私にとってのそれは野球観戦であり、ブログ執筆だ。

 

帰宅の道中、電話応対で枯れ気味ののどを気にしながら、カーラジオのダイヤルを無理やり九州方面のラジオに合わせる。ソフトバンクオリックスが中継されていた。すぐにソフトバンクがチャンスをつくり、柳田悠岐が打席に立った。「うわ、また打った!」。ギータ早くも今季3号。ラジオだから見えないのだが、大きなストライドでダイヤモンドを一周する柳田の姿が浮かんできた。

 

 

 

 

帰宅後は食事をしながらDAZNで追いかけ再生。ラジオで聞いたセカンド牧原大成のファインプレーのあたりから見た。確かにこれが抜けていたら今夜のオリックス戦は難儀したことだろう。なんて振り返られるのはDAZNという有料サービスに入ったからである。そう、楽しみにはそれなりに投資が必要だ。きょうオンラインゲームの全面広告が掲載された新聞を申し込まれたお客さまと、値段は違えどやっていることは同じである。

 

 

みんな毎日忙しい。好きなことばかりやるのは難しい。そんな中で、好きなことをやるのはアクセントであり、リズムでもある。癒しでもある。好きなことがある、好きなことに熱中できるのは幸せだ、ときょうはつくづく思った。きょうもまたソフトバンクが勝った。ソフトバンクファンはそれが明日への活力になっている。もちろん、裏を返せば負けたらエネルギーを吸い取られる。2018年、メットライフドームでの西武との天王山でまさかの3連敗を喫した時は本当に心が折れたのだが、その時、ああ、自分はこんなにこのチームのことが好きなんだなと再認識した。ファンとはそういうものである。

 

 

きょう新聞を申し込まれて近日中に手に入れられた方は、その新聞に載ったオンラインゲームの広告を見てまたそのゲームに愛着がわくことだろう。購入の目的は新聞広告だったかもしれないけれど、もしたまたま別のページを見かけて私たちの住む地域に興味を持っていただけたら、私はとてもうれしい。今後このオンラインゲームと私たちの地域がどのように絡むのかは見当もつかないのだが、ぜひいつか「リアル」な場も楽しんでいただければと思っている。


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