黒柴スポーツ新聞

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クールな人の熱いしぐさ~ソフトバンク、牧原ダイビングキャッチで首位陥落の危機脱出

「セカンドにスーパーマンがいましたね」
解説の松沼博久も脱帽だ。9月1日の西武戦。ソフトバンクが牧原大成のスーパーファインプレーで首位陥落の危機を乗りきった。

 

2点差に詰め寄られた8回裏、ツーアウトながら二、三塁のピンチ。モイネロの投じた球は外崎にうまくとらえられ、低い弾道で右中間目掛けて飛んでいった。同点か……と思った瞬間、牧原大成が倒れ込むのが見えた。起き上がる牧原。グラブには打球が収まっていた。内川聖一は両手を高々と突き上げ、モイネロはしゃがみこんだまま笑顔になっていた。

 

捕ったこと自体にグッときたが、さらにその後の牧原の動作に感動した。牧原は起き上がりながら、打球の入ったグラブでグラウンドを叩いたのだった。気合がにじみ出ていた。

 

あくまでもテレビで見る限り、なのだが牧原大成はクールだ。打てなくてもガムをクチャクチャしている一方、打っても浮かれる表情は見せない。わざとそうしているのだろうか。1番バッターとして結果が出ていない時期、見ているこちらは正直なところイライラしてしまった。初球から積極的に打ちにいくのはいいが、もう少しチームバッティングに徹してほしい。そういう思いがあった。だからこのブログでも厳しいことを書いた。

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だが、守備の面では牧原は今シーズン、本当に献身的な働きぶりだ。それはもっとクローズアップされていい。レフト、センター、ライト。ショート、セカンド。こんなにこなせる牧原はすごい。牧原がいるからこそ、ソフトバンクは日替わり打線が組めると言っていい。セカンドならセカンドに集中していれば、不動のスタメンになれているかもしれない。だが、牧原は忍者のように複数のポジションと打順をこなしている。

 

一つのポジションならば覚えることが少なく済む。もちろんその分、絶対的な存在感を出さねばならないから、そこは牧原はまだまだ足りない。だが、これだけ故障者が出ながらソフトバンクが首位をキープし続けられたのは、牧原を筆頭に福田秀平や川島慶三、周東佑京らスーパーサブが機能したからだ。複数ポジションをこなす人の大変さ、フォローする側の大変さは、やった人にしか分からない。

 

この西武戦、牧原大成はスタメンではなかった。明石健志が自打球により交代し、途中からセカンドに入ったのだった。そこでファインプレーが出るのだからドラマチック。明石も球際には強いから外崎の打球には食らいつけていたかもしれない。だが、この日牧原がファインプレーできたのは、絶対に勝つんだというチーム全員の気持ちが牧原大成の体に乗り移ったからのように思えた。同じ回、ライトで森友哉の打球を処理した周東も身を呈して、打球がフェンスに到達するのを防いだ。この隠れたファインプレーも付け足しておきたい。

 

クールな牧原が見せた熱いしぐさ。ヒーローインタビューは確かにこの大事な一戦を6回無失点と粘った武田翔太が選ばれて順当だけれども、牧原大成のダイビングキャッチはシーズンの行方を左右するワンプレーだったと思う。思いの強い者が勝つ。そんなことを再認識させてくれるスーパープレーだった。


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