黒柴スポーツ新聞

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敗因を整理する~ソフトバンクがギャンブルシフト失敗で楽天に連日のサヨナラ負け

うまくいかなかったことを振り返るのはしんどいことだ。しかし整理しておかないと、ただの失敗に終わってしまう。大事なのは糧にできるかどうか……ということで5月9日、連日のサヨナラ負けを喫したソフトバンクの敗因を探ってみる(順不同)。

 

【敗因の可能性1】ギャンブルシフト

9回ノーアウト一、二塁なら攻撃側はバントをしてくる可能性がある。実際、楽天の銀次はバントを試みたがファウルになった。ソフトバンクは一塁の内川聖一が猛チャージをかけ、セカンドが一塁に回ったのだがそのぽっかり空いたエリアに、強攻した銀次の打球が転がっていった。通常ならセカンドゴロだったが外野に達するサヨナラタイムリーになってしまった。だがこれは結果論。シフトを敷くかどうかは采配の問題だから監督の責任である。まだ工藤公康監督のコメントにたどり着けてないのだが、「救援陣は責めない」というスタンスではなく「僕の采配で負けた」と言うのが筋だ。

 

【敗因の可能性2】内川のチャージのタイミング

内川聖一のチャージは少し早すぎたか。救援の甲斐野央がモーションに入るだいぶ前から仕掛けている。銀次は「(相手が動いてきたら)打とうと思っていた」からバットが出た。平石洋介監督も「極端なシフトを敷いてくるのは分かっていた」と話しており、楽天が備え万端だったのに対してソフトバンクは次善の策まで用意できていなかったように見える。バントしてくるに違いない、という先入観はなかったか、強すぎなかったか。もちろんギャンブルなのだから思いきって突っ込まねばならない。内川聖一に責任を負わせるのは違うと思う。

 

【敗因の可能性3】バッテリーミスの可能性

ソフトバンクは一球外すことができた。実際、甲斐は外角に動き、逆をつかれたように飛び付くように捕球しようとしているようにも見えた。外角に動いたのは素早く三塁封殺するために動いたのか、様子見で外したかったのか。外すつもりだったらストライクゾーンに投げた甲斐野の投げミスということになる。

 

【敗因の可能性4】森唯斗を使わなかった

打たれた甲斐野どうこうではなく、そもそも森唯斗が登板していない。確かに同点では守護神を投入しないケースもある。だが楽天は同点で松井裕樹を投入し多少もたつきながらもしのいだ。ソフトバンクも森を投入してもよかったが、逆転負けを喫したことが尾を引いていたのか。だとすると森が登板しなかったことは根が深い。そして守護神でもしんどい場面でルーキー甲斐野というのも酷だと思うのだが……首脳陣としては、このところ甲斐野がホームランを喫してはいてもまだまだ信頼できるということか。

 

【敗因の可能性5】追加点が取れなかった

これは今宮健太が言っていた。思えば7点差を引っくり返された前日も初回にポンポンと得点しながらだんだん尻すぼみ。この日も楽天救援陣を打ち崩せなかった。決して油断してはいないだろうが、今宮健太が言うように常に1点取りに行く姿勢がないと、救援陣の負担が増すばかりだ。逃げきりよりも中押しダメ押しでいきたい。

 

【外的要因】楽天が結果を出した

ベテラン渡辺直人が起死回生の同点ホームラン(今季初安打)を打ったのは両チームとも想定外だったが、ソフトバンクとしてはモイネロが捕まったのは誤算だった。楽天救援陣が追加点を許していないことも大きい。救援陣の差が連日のサヨナラ劇につながっているとも言える。また、最後は銀次がうまく打ったということに尽きる。前の試合5安打ということを考えても調子がいいということだろう。

 

いかがだろうか。あの時こうしていたらと考えていたらキリがないのだが、後悔するということはほかに選択肢があったということ。無策でお手上げな訳ではないのだから、はるかにマシである。甲斐野はデビューから13試合無失点を記録しながら、その後は3試合連続失点。初黒星にもなり、今が踏ん張りどころだ。森唯斗もしかり。やられたらやり返す。そうでないと救援なんかやっていけない。モイネロも含め、救援陣の奮起に期待しよう。


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