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黒柴スポーツ新聞

ニュース編集者が野球を中心に、心に残るワンシーンやプレーヤーについて綴ります。

糸井嘉男「自分を奮い立たせ」阪神移籍を選択~新しい環境が成長をもたらす

敵チームの一員として糸井嘉男にバッターボックスに入られる恐怖を味わったことがあるだろうか。打ちそうな気配がハンパない。べアークローを持ったウオーズマンのような印象を勝手に持っている。




糸井嘉男の通算成績を調べてみた。2016年終了時点で10シーズンを過ごしたが実に3割以上が7度。素晴らしきヒットメーカー、そして安定感である。
npb.jp




2016年は史上最年長盗塁王にも輝いた。53盗塁はなかなかだ。ただしオリックスが上位争いに絡めなかったので残念ながら盗塁の価値は半減して見えてしまう。まあそんなこと言ったら個人記録は楽しめないか。




糸井嘉男は投手としてプロ野球をスタートした選手の中でも成功した方だろう。投手と野手。両方出来る人が絞る場合もあるが、糸井嘉男の場合は当初、守りはからっきしだったらしい。この記事で初めて知った。
www.sanspo.com



さすがサンスポ。高田繁とはまた渋いが糸井嘉男の外野手転向を促したのが高田繁だったという。



打撃不振でサードへのコンバートを打診された高田繁。打撃は不振だったかもしれないが高田繁はレフトとしてその時まで4年連続のダイヤモンドグラブ賞(現在のゴールデングラブ賞)。長嶋茂雄監督でなければこのコンバートは成立しなかっただろう。

www.sponichi.co.jp



だが上記スポニチ記事を読んで感動する。高田繁の頑張りに、だ。努力努力で5年連続のダイヤモンドグラブ賞。打率も自己最高の3割5厘だった。




糸井嘉男も努力を重ねたのだろう。ゴールデングラブ賞を7度も取っている。ピッチャーだったから強肩というのは分からないでもないがマウンドから投げるのとはわけが違うし、外野手は脚力も判断力も必要。投手出身だからといって守備の名手になれるかというと大間違いである。




それにしても日本ハム時代にオリックスへのトレードが決まった時は仰天した。こんなスター選手を出すの?と正気の沙汰とは思えなかった。もめたのか?とも思った。2016年の陽岱鋼もそうだったが日本ハムは時々主力がポンと外に出る。後が育っているから何とかなっているのかもしれないが。




35歳という年齢を考えると阪神が最後の球団になるのか。膝を傷めているという。ふと思った。糸井嘉男は人工芝ではなく天然芝、つまり甲子園を選んだのではないかと。膝への負担を減らすことで、ちょっとでも長く現役を続けたいのかもしれない。




阪神タイガース公式サイトものぞいてみた。糸井嘉男のコメントが載っていた。
hanshintigers.jp



「自分を奮いたたせ新しい環境でチャレンジする事により、更に成長できるのではないか」




金本知憲監督を男にする、というのはある種リップサービスであり、黒柴スポーツ新聞的にはこの「新しい環境」「チャレンジ」というのがキーワードの移籍と見ている。




35歳と言えばプロ野球選手としては若くない。環境を変えることはリスクを伴うわけで、しかも残留するなら4年総額18億円とも言われた年俸を手にすることができる。すでに実績があるので守りに入ってもおかしくはない。だが糸井嘉男は新しい環境を選んだ。この姿勢は好感を持った。




移籍コメントの中の「自分を奮い立たせ」というくだりは糸井嘉男の率直な心境の表れと見た。やはり怖さはあるのだろう。糸井嘉男クラスでもそうなんだなあと、何だかほっとした。誰だってチャレンジの時には勇気が必要なのだ。




オリックスからの提示額はちょっと行き過ぎに思えたが、いい選手であるのは間違いない。阪神戦ならテレビ・ラジオ中継も充実している。糸井嘉男のすごさをセ・リーグ球団のファンも見るチャンスが出来た。オリックスファンには申し訳ないが糸井嘉男にとっては全国区になるラストチャンスである。移籍が吉と出るか凶と出るかなんてやってみないと分からない話。ぜひコンディションを整えて甲子園で暴れまわってほしい。




きょうの1枚は高田繁。浪商で甲子園優勝、明治大では最多安打記録。ドラフト1位で巨人に入ったエリートですら必死の努力でポジションをつかむ。プロ野球とは華やかさの裏ですさまじい生存競争が行われている。その「すごみ」もまたファンを引き付けて離さない。
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