黒柴スポーツ新聞

ニュース編集者が野球を中心に、心に残るシーンやプレーヤーから生きるヒントを探ります。

さらばイチロー。世界中が愛した稀代のバットマンついに引退

19時過ぎにスマホが振動した。何かのプッシュ通知だろうと放っておいたらまさかの「イチローが第一線を退く」知らせ。30分たって見つけて思わず「あっ」と声が出た。日テレのマリナーズ戦中継を見ていたから本当にまさかの知らせだった。

しかしファンたちからしたら寝耳に水ではない。あのイチローがヒットを打つのに苦労している姿を連日見せられているのだから。メジャーで3000本以上、日米通算で4000本以上ヒットを打ってきたあのイチローですらこんなになるんだ、とある種の驚きすらある。



本当にこれでイチローは見納めになるのだろうか? だとしたらよくぞ菊池雄星は間に合わせてくれた。メジャーデビュー戦がイチローにとっての大事な試合になるとは。あと一人で勝ち投手の権利を得たのだが、惜しくも交代になってしまった。とはいえ上々のデビュー戦だった。
メジャーをかなえた 雄星ノート

メジャーをかなえた 雄星ノート



ここを踏ん張れば、という瞬間は人生にたびたびある。菊池雄星はあと1球制御できていたら、メジャー初登板初勝利もあり得た。だが、デビュー戦であらためて1球の大切さを学んだという意味では価値ある初登板だった。
菊池雄星 原点

菊池雄星 原点



そしてイチロー。もし開幕戦で、もしくはオープン戦なり練習試合でヒットが出ていたらここまで事態が深刻化しなかったのではないか。イチローはヒットを量産してきたから、凡退が続くと大不振に見えるのは皮肉なものだ。

そして20時半、ついに日テレ中継の中でもイチローか試合後に会見を開くことが伝えられた。そんな気持ちの中でイチローはどう第3打席に立つのか。そして目の前にイチローがいるのにイチローの重大発表が予定されていることも知っている東京ドームのファンはどんな気持ちだろうかと想像してしまった。

第3打席は見逃し三振だった。最後の変化球を見送ったのも象徴的だったが、ツーストライク目の振り遅れというか、慌てて振っているようなスイングはイチローがまさかと思ってしまった。そう、もはやイチローはヒットを量産していた時のイチローではなくなっていた。

第4打席にいく前に日テレ地上波の中継は終了。遊ゴロに倒れたことは、スマホで確認した。この調子だと、イチローの会見をリアルタイムでキャッチするのは難しそうだ。寝るまで探しまくることになるのか。


試合は延長戦になってしまった。イチローは途中交代した。その際チームメイトと抱擁。菊池雄星は泣いていた。泣くと思っていた。まさか自分のメジャーデビュー戦がイチローの節目になろうとは……という感じではなかろうか。十数年この日のために準備してきたという菊池雄星には意味がありすぎる1日になってしまった。あまりにもドラマチック。


黒柴スポーツ新聞は毎日更新のため、そろそろ締め切り時刻が近づいてきた。イチローの会見を収容するのは難しいかもしれない。そして23時半過ぎ、マリナーズイチロー現役引退を発表とニュースzeroで伝えられた。日本でのラストゲーム、ではないようだ。一縷の望みが絶たれた。


そしてイチローが会見場に現れた。
「きょうのゲームを最後に、引退することと……」
ニュースzeroが終わってしまった。
続きは明日また……


福岡ソフトバンクホークスランキング