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黒柴スポーツ新聞

ニュース編集者が野球を中心に、心に残るワンシーンやプレーヤーについて綴ります。

仕事ができる人は道具も感覚も大切にする~筒香嘉智のバットと山田久志の爪

筒香嘉智が打点王とホームラン王の2冠王目前である。技術論はともかく、今季からバットをジュラルミンケースで保管していると知り、こうした気遣いが成長への確かな一歩と見た。


バットは木でできている。湿気があれば重くなるのだが、筒香いわく、重さを感じるのは疲れのせいだと思っていた。が、計ってみたら重くなっていたという。筒香のジュラルミンケースの中にはバット専用の乾燥剤が入っていた。


仕事ができる人は道具を大切にする。大切にしているからこそ仕事ができるのかもしれない。


阪急のエース、山田久志の数々の秘密を収めた、矢島裕紀彦氏の著書「山田久志 投げる」によると、山田久志はグローブを「球の握りや手首の角度から球種を見破られることのないよう、やや大きめとし、弾き手の反動をより有効に活用するために、人よりも重いものを使っていた」。


山田久志投げる (小学館文庫―野球花伝書)

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重いグローブは村田兆治も使っていたという。いや、過去形ではない。今も現役時代のグローブが「現役」。手入れも怠っていないという。重いものを使う理由は「テークバック時に右膝が沈み込む」→「体が開かない」→「右腕が楽に使える」ので力のあるボールが投げられるそうだ。
※NEWSポストセブン記事「村田兆治が現役時代最後に使っていたグローブは今も現役」http://www.news-postseven.com/archives/20160927_451157.html


哀愁のストレート―もっと速い球を!

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山田久志は重いグローブを使ってはいたが、うならされたのは春・秋用と夏用を変えていたこと。夏用の方が少し軽い。「吸い込む汗の量」と「体の疲れ」を考えての策だった。


この細やかな心遣いだけで山田が284勝できたわけではないが、自分の仕事にそこまでの神経を使う姿勢にうならされた。



肉体の面では、山田は現役時代に爪切りで爪を切ったことがなかったという。毎日のようにヤスリで磨いていたという。繊細な指先の感覚を、まさに「砥ぎ」澄ませていたのだ。


そう、山田は爪を砥ぎながら心も磨いていたのだ。ほんのわずかな狂いさえ許されない感覚でバッターと対峙するのだから、山田は「そこまで神経配るのは当然と思いますよ」と事もなげに語っていた。


当然。黒柴スポーツ新聞編集局長は耳が痛い。仕事道具も生活用品ももうちょっと大切にせねば…。神経も研ぎ澄ませ、これからも日々のスポーツシーンが持つ意味合いを深く捉えよう。


きょうの1枚は山田。しっかりグローブも指先も写っているのでこれにしよう。グローブはミズノの赤カップかな。赤いアンダーシャツもかっこいい。黒いラインもアクセントになっている。いまや2ケタ勝利で1人前扱いだが山田はそれを17年連続でやってのけた。山田のピッチングの極意に興味がある方はぜひ「山田久志 投げる」をご一読ください。

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