黒柴スポーツ新聞

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最小の傷で乗り切る男~日本ハム宮西尚生が最多タイ273ホールド

日本ハム宮西尚生が6月30日のオリックス戦で、山口鉄也(巨人)の持つプロ野球記録の273ホールドに並んだ。ちょうどこの日は600試合登板。これは現在プロ野球39位タイでもある。上には上がいるものだ。

とはいえ新聞記事によると宮西尚生は入団した2008年から2017年シーズンまで10年連続で50試合登板。タフである。中6日だ5日だと登板間隔のある先発とは違い連日出番があるのだから疲労もたまることだろう。けがしない点も素晴らしい。球団からしてもコスパのよい選手である。何より素晴らしいと思ったのは日本ハム吉井理人投手コーチによる宮西評。「どうしたら最小の傷で乗り切れるかを考え、その作戦を実行できるのがすごい」。そう、完璧な人間はいない。ミスなく過ごせればいいがそんな時ばかりではない。だとしたらどうやって最小の傷で乗り切るかを考えたらいい。

宮西尚生はそれを考えるだけでなく、その作戦を実行できるという。ホールドのタイ記録を作ったこの日も実はいきなり盗塁を許し、得点圏に走者を背負ってしまった。が、残り二つのアウトをセンターフライとサードゴロで取った。

ピンチになればついつい取り返そうという気持ちになる。責任感が強い人ほどそうだ。しかし、あるあるなのは深追いしてますます傷口が広くなるケース。社会人的には大概、ミスは帳消しにならないことを考えると、人が作ったピンチだろうが自分で招いたピンチだろうが、いかに最小の傷で乗り切るかを考える宮西的な考えの方が合理的である。思えば、仕事のできる人ってミスをしないのではなく、リカバリーできる人なんじゃないか。アクシデントがあったら、どうしたら相手方に迷惑をかけずに済むか。あるいは迷惑を最低限にとどめるかが想像できる。そして実行できる。もちろん、実行の前には「すみません」と言える…。

まだまだ現役を続けてほしいがリスク管理できる点ではそのまま日本ハムのコーチにもなれると思う。作戦面でも監督に助言できるだろうし、育成面なら中継ぎや抑えに対して危機管理のやり方を伝授できそうだからだ。

完璧に、ではなく最小の傷で。それこそが日本最多ホールド男たるゆえん。宮西尚生の思考は何かと面倒な仕事が多いアラフォー世代の参考になりそうだ。