谷佳知、友に捧げたホームラン
※写真は2004年版ベースボールマガジンの野球カードを使わせていただきました。
本日付は何で行こうか少し迷った。
世間的にはマエケン。
しかし、黒柴スポーツ新聞は独自目線で勝負する。
今回は2015年シーズンをもって引退した選手の中から、谷佳知をピックアップする。
ユーティリティープレーヤー逝く
昨日も触れたが、谷は相当な数の安打を放っている(1928本)。
その中から一本選ぶとしたら、やはり木村拓也追悼試合での一発だ。
木村拓也ー。
どこでも守れるユーティリティープレーヤー。
しかしそれはいろんなことができなければ試合に出られない、その裏返しとも言えた。
捕手も経験しているから、巨人時代は急きょマスクをかぶるということもやってのけた。
素晴らしい選手だったが、コーチとなり広島への遠征中、しかも試合直前にグラウンドで倒れ、そのまま帰らぬ人となった。
後日、巨人ナインは球場で円陣を組んだ。
「タクヤー!」
原監督はどんな思いで絶叫したのだろうか。
高橋建との好勝負
そんな木村と同僚だったのが同級生の谷。
かつて木村が在籍した広島と、巨人とでの追悼試合が行われ、スコアは2-3と広島が1点リード。
しかし8回裏、巨人は一死満塁のビッグチャンスを迎えた。
ここで代打・谷。
2ボール1ストライクからの高めの球を引っぱたくと、打球はスタンドに飛び込んだ。
代打逆転満塁ホームラン。
確認のためYouTubeを見ていたのだが、一瞬でも気を許すと涙が出てきそうだった。
本紙が見たその動画は85万回以上再生されていた。
みんな同じ思いになったことだろう。
喪章をつけて直球勝負を挑んだ広島・高橋建も男である。
それにしても、谷はそれまで一本も満塁ホームランを打ったことがないのだから、もはや木村が打たせてくれたと言うしかない。
谷は惜しくも2000安打には届かなかったけれど、きっとファンは喜んでいる。
なぜなら、谷は友のために85万回もホームランをかっ飛ばしたのだから。
惜別球人 プロ野球 時代を彩った男たち 山本昌、谷繁元信、谷佳知、関本賢太郎、東出輝裕、木佐貫洋
- 作者: 松田裕司,長谷川晶一,五反田康彦,宇佐美圭右,松下雄一郎,矢崎良一,津川晋一
- 出版社/メーカー: ミライカナイ
- 発売日: 2015/12/10
- メディア: 単行本(ソフトカバー)
- この商品を含むブログを見る