黒柴スポーツ新聞

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千賀が初ずくめのノーヒットノーラン~甲斐との育成出身バッテリーで快挙

ソフトバンクのエース千賀が9月6日のロッテ戦でノーヒットノーランを達成した。令和初、育成出身初、育成出身バッテリー初、ソフトバンクホークス初、ホークス福岡移転後初と「初」ずくめだ(ほかにもあったら教えてください)。

 

ホークスとしては1943年南海の別所昭(後に毅彦)以来76年ぶり。最も達成から遠ざかっていた球団だったそうだ(歴史が浅い楽天を除く)。工藤公康斉藤和巳和田毅も攝津正もやっていない。

 

単純に、ノーヒットノーランをやっただけでも素晴らしいのだが、やったタイミングがよかった。千賀自身は3連敗中で、チームに勝ちを付けられていないことに忸怩たる思いがあった。やり返す、という意味ではこれ以上ないリベンジだ。

 

ホークスファンとしては甲斐拓也との育成出身バッテリーという点にフォーカスしてもらいたい。この二人が入団時、3桁の背番号だったなんて……今や知名度は全国区だ。育成出身投手によるノーヒットノーランはこれからもありそうだが、育成出身バッテリーによるノーヒットノーランは少しハードルが高そう。しかし、甲子園経験者でもなく、大学時代にタイトルがなくてもプロ入りして結果は残せる。そんなよい事例だから、プロを目指す豊かな才能たちに希望をもたらすことだろう。

 

甲斐は甲斐で心中機するものがあっただろう。正捕手ながらここ2試合は先発マスクを高谷に譲る形。しかも高谷はリード面と勝負強い打撃でチームに貢献した。甲斐にはよい刺激になったに違いない。

 

リード面では早速高谷の配球の影響かもというシーンがあった。藤岡だったと思うが左打者のインコース、ストレートで三振を奪った。前日、高谷が甲斐野に左打者のインコースにフォークを投げさせて見逃し三振に仕留めたシーンがよみがえった。甲斐野のフォーク、千賀のストレート。得意球をインコースに決めて見逃し三振を奪うリードはどちらも見ごたえがあった。

 

甲斐野のフォークに関しては、甲斐は空振りを奪うために使っている印象だから、見逃し三振を奪うために投げさせた高谷の組み立ては非常に参考になると思う。なんて偉そうに語ってしまうが、単純に、近くに思考の幅を広げてくれる存在がいることを、素晴らしいと思う。

 

ノーヒットノーランなんて明るい話題があるのだから首位固めは磐石、と言いたいが西武がなかなか脱落しない。さすが2018年クライマックスシリーズ終了後に辻監督が涙しただけのことはある。執念を感じる。現役時代、西武の黄金期を知っているだけに勝ち方を心得ているのだ。

 

となるとソフトバンクと西武の直接対決(11、12日)が本当に本当の天王山になりそうな……。その時千賀は投げるのか分からないが、最終盤、ノーヒットノーランとはいかなくてもまたチームに勢いをもたらす好投をしてもらいたい。


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