最悪の状況下でベストを尽くす~故障を押して強行出場した川内優輝の福岡国際マラソン激走に学ぶ
何かやってくれると期待してしまう男、川内優輝。12月4日の福岡国際マラソンでは魂の走りで3位に食い込んだ。日本勢トップで、2017年8月にロンドンで行われる世界選手権の日本代表候補に前進した。
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11月に右ふくらはぎを痛め、レース2日前には左足首も痛めた。じゃあ福岡国際マラソンも回避したら?という意見は正論である。
しかし川内優輝は言った。「全力を尽くすのが責任」と。ただしなぜかこの人の言動は挑発的に見えてしまう。そうやって自分をあえて追い込む主義なのかとさえ思ってしまう。
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とはいえ出るからには結果も求めるのが川内流。トップには立てなかったがタイムは2時間9分11秒。優勝はイエマネ・ツェガエ(エチオピア)で2時間8分48秒だったから23秒差と善戦した。
ゴール後、川内優輝はさめざめと泣いていた。最悪の状況の中でベストを尽くせた安堵感があったようだ。普段が強気に見えるからこういう一面もあるんだなと新鮮だった。
この「切り替え力」は見習いたい。先ほども書いたが川内優輝には出場回避という選択肢もあった。だが、まず、出ることを決めた。このあたりの腹のくくり方がすごい。
次に、出たからにはと最善を尽くした。もはや言い訳は一切しない。ポケットには痛み止め薬が入っていたらしいが気合もねじ込んでいたのだろう。先頭を、優勝したツェガエと2位になったパトリック・マカウ(ケニア)が争っていたが川内優輝は歯を食いしばって追い続けた。「顔はきつそうですが、行けますよ」と解説の瀬古利彦にも言われていた。
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そう言えば黒柴スポーツ新聞編集局長もテレビ中継を見ていたが、瀬古利彦は「男を上げた」「120点の出来」「若い人は見習ってほしい」と川内優輝を手放しでほめていた。
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川内優輝は福岡国際マラソンで64回目のマラソンという実践主義。たたき上げ。雑草魂全開である。
瀬古利彦、宗兄弟の本を読んで1日100キロ走までこなしたという。いろいろ取り入れようという姿勢も素晴らしい。すべて自己流では成長が鈍化する。
もちろん根性だけで何とかなるほど世の中は甘くない。だが根性さえなかったら何とかなるものもならないのも事実。いままではとげとげしい川内優輝の言動があまり好きではなかったが、一か八か懸けてやり切った川内優輝の涙を見た時に、「こういうのもありかな」とすがすがしさを感じた。そして、いろいろあってもスパッと切り替える力を持ちたいと思った。そう、アクシデントを呪ってももう時間は巻き戻せないのだから。
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