黒柴スポーツ新聞

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4.5差でも抱くソフトバンク逆転優勝の希望〜手応えを感じた4つの理由

ソフトバンクが連敗を3で止めた。この1勝は希望である。もし負けていたら今季最大の首位から6.5ゲーム差。いくらまだ前半戦とは言え、赤信号が灯ったと言えるゲーム差だった。それが4.5に縮まったわけだ。この試合、まずは勝てたことが大きいのだが、他にいくつも、収穫があった。

 

まずはモイネロの復帰だ。オリンピックのキューバ代表として予選に挑むも敗退。とっくに終わっていたのだが、コロナですぐチームに合流することはできなかった。調整も必要だから1軍合流にはさらに時間がかかった。思えば8回のモイネロも、守護神の森唯斗もいなかったわけで、むしろ投手陣はよく持ちこたえていたと思う。モイネロは復帰登板から僅差のタフな状況だったが、無失点で切り抜けたのはさすが。勝ちパターンが少し整ってきた。これは大きい。

もう一つはダメ押し点の取り方が「つながり」だったこと。ソフトバンクが調子よかったころは自然とやれていたのだが、きっちりランナーを貯めるあるいは進めて少ないチャンスでもモノにしてきた。特に交流戦以降はチャンスがつくれてもあと1本がなかなか出なかった。5月も6月も打率が2割1分台なのは痛かった。打線が上向くまでは少ないチャンスをモノにするしかない。今日も柳田が逆転ホームランを打ったがその打席は前の三森がツーアウトからヒットで出塁したからこそ。また、点差を2点に広げたダメ押しは中村晃のしぶとい犠牲フライ。これも「4番」川島慶三がきっちり四球を選んで1死1、2塁が満塁になったからこそ。川島は初回にランナー三塁というチャンスで得点につなげられなかったから、力が入ってもおかしくない場面。しかしここで無理をしない、その代わりに何をしたら最もチームに貢献できるかを考えて実践するのが川島慶三である。個人的には大好きな川島がタイムリーを打ってお立ち台…というシナリオを書いていたのだが、川島が四球を選んだことがすごくうれしかった。そして、チームの思いを背負った中村晃が犠牲フライを放ち、柳田がホームに突っ込んできたのがすごくうれしかった。つながりが得点に結びついたことがうれしかった。

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三つ目は世代交代が感じられるスタメンだったこと。ソフトバンクファンでもなければ気づかなそうだが、ソフトバンクはシーズンを苦戦しつつも世代交代を図っている。1番三森大貴はすっかり定着。打率は3割近辺を保っている。また、真砂勇介も出番が増えた。谷川原や佐藤直樹がスタメンの日もあった。そして今日は3年目の野村がスタメンに抜てきされた。その結果というか、最初からその方向だったのか、松田宣浩がスタメン落ちした。野手の世代交代はもう何年もソフトバンクの課題であったが、ようやく何人もの才能が花開きつつある。育てながら勝つのは難しい。ソフトバンクがBクラスにおりながらも収獲があるのは世代交代が進んできている面だ。ここはそもそも全体的にチームが若いオリックスと一番異なる点だ。ソフトバンクはいま過渡期なので多少もたつくのは仕方ない。

四つ目は岩嵜翔が締めたこと。オリックスを調子づかせたターニングポイントはズバリ、京セラで岩嵜が宗に逆転サヨナラタイムリーを浴びたあの試合だと思っている。オリックスは途中まで競り合いながらも地力の差でソフトバンクにねじ伏せられてきた。が、宗のタイムリーはその呪縛から解放したという意味でターニングポイントだった。今日最終回、先頭バッターを岩嵜が出塁させた時、悪夢が一瞬よぎった。もし宗まで回ったらひょっとすると…。しかしその手前で岩嵜は締めた。少なくとも森が復帰するまでは、岩嵜は最終回を抑え続けねばならない。だから今日岩嵜が無失点で抑えたことは、嫌なイメージを薄められた意味で大きな収穫だった。モイネロー岩嵜という勝ちパターンが戻ってきた。

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打つ方にしても、投げる方にしてもようやく、勝てていたころのソフトバンクに少し戻れた気がする。やはり結果を出す人(チーム)は自分の形やパターンを持っている。ソフトバンクのいいところはベテランだろうがユニフォームを汚すほどのハッスルプレーとチームプレー。チームメイトの活躍を我がことのように大喜びする姿勢。何より明るく元気…。まずはそこから、強かったソフトバンクを取り戻してもらいたい。


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