黒柴スポーツ新聞

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7回の男に休息を〜スチュワート加入で泉圭輔ら中継ぎの負担は分散するのか

ソフトバンクが西武に一矢報いた。開幕からの対戦成績は4連敗だったが、ようやく1勝をもぎ取った。それを喜ぶ一方で不安に思う。今年は「7回の男」が離脱することはないのだろうか。2021年の場合は泉圭輔。4月17日終了時点でもう11試合に登板した。

岩嵜翔、加治屋蓮、甲斐野央、そして板東湧梧。いずれもソフトバンク日本シリーズ進出に尽くしたリリーフピッチャーである。もちろん成績は年俸に反映されるがピッチャーの体は消耗品である。登板数を振り返ってみよう。
岩嵜72試合(2017年)
加治屋72試合(2018年)
甲斐野65試合(2019年)
板東15試合(2020年)※シーズン途中で離脱、先発も含む。
ズバリ、投げ過ぎである。

でも森唯斗やモイネロは大丈夫じゃないかという人もいるだろう。確かにタフな人もいる。が、当時10年選手だった岩嵜を除いたメンバーはまだ経験が浅かった。かつ、これからアピールして自分の場所を作らねばならない。必要以上に無理をしかねない。だからこそ私は登板数をチームとしてもっとコントロールしてほしいと思っている。

しかし勝ちパターンという言葉が示す通り、今年ノリに乗った活きのいいピッチャーはこの選手なんだとなれば、惜しげもなく投入される。だからおのずと登板数が増えていく。同時に体への負荷と疲労が蓄積されていく。故障のリスクは高まる一方だ。ピッチャーの肘、肩は消耗品という。でもピッチャーの選手生命、いや、もっと言えばピッチャーの人生を消耗させてほしくはない。

今年で言えば泉が心配だなあと思っていたところ、メットライフドームブルペンが映った。あれ、スチュワートじゃない? ついにベールを脱ぐらしい。ソフトバンク打線が攻撃の手を緩めず試合は6点差のまま9回裏に。そしてスチュワートがマウンドに上った。長身から投げ下ろすストレートは威力抜群。記念すべき第1球から150キロを超えた。

スチュワートが1軍に定着すると誰かが2軍に行かねばならない。今回はローテーションの都合があり武田翔太が抹消された。だが本当の意味で外される可能性があるのは、まず杉山だと思う。なぜなら力投型という投球スタイルが丸かぶりだからである。スチュワートのデビュー登板は四球もあったが1イニング無安打無失点2奪三振。果たして杉山はスチュワートの初登板をどう見ていただろうか。

いずれにせよ、工藤監督はスチュワートを中継ぎで起用するようだ。となると中継ぎは厚みを増す。このところ津森や高橋純平も安定感が出てきたから、泉ばかりの負担にはならなそうだ。中継ぎはアピールしていかないと使ってもらえないが、使われすぎると故障のリスクは高まろう。登板がなくてもブルペン待機をすれば体を休めていることにはならない。リリーフ投手は地味ながら大変な職務である。だからこそ、首脳陣には若い中継ぎピッチャーを大切にしてもらいたい。7回の男たちに休息を。スチュワートの加入で負担は分散するのだろうか。中継ぎ陣には体を十分ケアしながら、それぞれがポテンシャルをMAX発揮するよう願っている。


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