黒柴スポーツ新聞

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ミスターユーティリティー川島慶三~初の4番で先制打、バレンティン意味深投稿もフォロー

2017年日本シリーズソフトバンク日本一を決めたのは川島慶三だった。その試合もブログで触れたのだが、「川島の引退が延びただけ」的な反応があった。ああ、そうですともそうですとも。川島慶三は別に億単位の年俸をもらう選手ではないし、そもそも日本ハム、ヤクルトと渡り歩いた外様。生え抜きのスターでも、元ドラ1でもない。だから川島慶三は毎年記憶に残る活躍をしなければ生き残れない。でもそうやっていま川島は15年目のシーズンを戦っている。

それどころか15年目で初の4番。radikoで「4番の川島」と聞こえて「?」と思いつつも先発が日本ハム上原だったから納得した。川島はなぜか上原には通算打率約5割と滅法強いのだ。にしても4番とは……どうやら平石コーチのアイデアらしい。これがズバリ的中。初回川島が先制タイムリーを放ったのだ。もしもこの日川島が不振で敗れ、ロッテが勝っていたら「川島慶三4番とは、工藤監督ご乱心」と間違いなくバッシングされただろう。しかしソフトバンクは鮮やかに日本ハムに逆転勝ち。しかもロッテが西武に競り負けたためゲーム差が2に広がった。工藤監督としてはウハウハだ。勝率わずか1厘差まで詰め寄ったロッテとしては、この2ゲーム差はカウンターパンチのように感じているに違いない。川島慶三はその後も四球やヒットで出塁。4番起用は大当たりであった。

川島慶三はサイコーだなと思ったのにはもう一つ理由がある。試合前の声出しは、昇格ホヤホヤのバレンティンだったのだが、川島慶三が機転を利かせて奇跡の同時通訳(詳しくは球団公式Twitterを参照)。バレンティンのインスタグラム意味深投稿を突き放したり断罪するのは簡単。だが川島流の激励の方がバレンティンの更正につながると思う。川島慶三はオトナである。

 

明日も4番、あるかなぁとヒーローインタビューでおどけた川島慶三だったが、われわれ川島慶三フリークとしては本当に心に残る試合だった。守備固めや左キラーなど、ユーティリティープレーヤーとして重宝される川島慶三が2020年シーズンはしょっちゅう試合に出てくれてうれしい限りだ。そして彼のような移籍選手がまるで生え抜き選手のようにチームの中心にいること、若手のフォロー役もしてくれていることも素敵だと思う。4番を経験し、これで3番を打てば全打順制覇の川島慶三。内野も外野も守れ、チームメイトのフォローもこなす。川島慶三はミスターユーティリティーと呼ぶにふさわしい。


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