黒柴スポーツ新聞

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内川聖一までのみ込む打撃の奥深さ~17年ぶり開幕2軍という事実

前回はチャンスをつかんだ二保旭を称える記事を書いたが、逆に働き場所を失った選手もいる。内川聖一。何と17年ぶりの開幕2軍だという。むしろその間ずっと開幕1軍だったことに驚いてしまうが、何せ史上最高の右バッターとも称される内川である。2軍調整がニュースになるのはやむを得まい。

ホークスが、結果を出した人を使うというのは規定路線。上林誠知が復調、栗原陵矢が猛アピール、長谷川勇也も元気いっぱいときたら、ますます内川の出番はない。だが周りよりも内川自身が打撃不振なのだからどうしようもない。練習試合では21打数でわずか1安打というから絶不調だ。どうしたことだろう。

2019年シーズンも内川は好調とは言えず、ダブルプレーの多さが指摘された時期も。曲がりなりにもバットに当ててしまうからゲッツーを食らう気もしたが、私はヒットを量産していた頃のままバットを振っていることが、今のコンディションとの間にギャップを生じさせているように見えた。そのことはブログにも書いたのだが、今は当時よりもっと深刻かもしれない。

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内川が素晴らしかったのは打撃不振の中でも守備がしっかりしていたこと。実は2019年、一塁手としての守備率が10割だった。これはパ・リーグ初。19年目の初受賞は史上最も遅い記録となった。普通は打撃で精細を欠いたら守備にも影響する。それが10割なのだから、打撃は打撃、守備は守備と切り替えて、きちんとやるべきことをやる姿勢は素晴らしい。

好打者が晩年、代打の切り札になることは過去にもあった。代打若松、代打立浪、代打桧山。もう名前からして相手ピッチャーに圧をかけられる。内川とて現役通算最多の安打数を誇る稀代のヒットメーカー。代打で出てきたら警戒されるだろう。だが今の内川ならばどうだろう。内川不振のイメージのままでは「抑えられるかも」となりはしないか。そういう意味では一度2軍で自分本来の打撃を取り戻してもらうのは意味がある。

「あれだけの選手がこういう状況になる。我々の想像を絶するところがあると思う」(2010.6.15日刊スポーツ、ソフトバンク内川が17年ぶり開幕2軍 移籍後は初 より)とはソフトバンク森ヘッドコーチの言葉だ。同感だ。あの内川がこうなる。あの内川ですらこうなることが打撃の奥深さでもある。そして恐ろしさでもある。その淵から這い上がれないものを球界は生かしておかない。本当に厳しい世界だ。いま内川はどんなことを考えているのだろうか。私は順風満帆な人生ではないから、こういう逆境の人がどんなことを考えているのか、ものすごく興味がある。特に内川の場合は絶好調の時に比べるとすさまじい落差があるわけだ。そこをどうやって埋めるのか。うまくいってもいかなくても、ファンとしてはしっかり見届けたいと思う。

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