黒柴スポーツ新聞

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単純ではないソフトバンク二塁手~オールマイティー山田哲人VS周東、牧原、明石、川島

プロ野球が開幕しないうちから、というか開幕できないからなのだろうが、AERA.dotがさらっと山田哲人の動向どうなる記事を紹介していた。「巨人? ソフトバンク? 山田哲人が移籍したら“最もフィット”するチームは…」という見出しだったので、ソフトバンクファンの黒柴スポーツ新聞編集局長は反応してしまった。そして反論したくなった。確かに山田哲人はいい選手だし、ソフトバンクも獲得に動く可能性はあるけれどもソフトバンクのセカンドはそんなに単純なポジションではないのだ!と……

 

山田哲人二塁手。格別守備がうまい印象はないが、過去3年間は菊池を上回るリーグトップの補殺数を記録している、と記事に書いてあった。山田哲人といえばトリプルスリーが代名詞。走れるのも魅力だ。まさに走攻守、三拍子そろっている。トリプルスリーといえば柳田悠岐も記録したから、山田哲人ソフトバンク入りしたら同じフィールドに同じユニホームの二人のトリプルスリープレーヤーが立つことになる。これは史上初ではなかろうか? このように、山田哲人がいい選手であることは間違いない。

 

でも、である。確かにソフトバンクのセカンドは週替わり、あるいは日替わり的なポジションかもしれない。しかし近年のソフトバンクの野球は全員野球であり、その弾力的な選手器用を可能にしているのはセカンドが固定化されていないイコール可変であるからだとは言えまいか? 例えば川下慶三。左殺しの異名を持ち、代打や代走で入りそのままセカンドへ。明石は2019年シーズン、チーム最多の62試合でセカンドのスタメン出場を果たしたが他の選手を使う場合は代打に回る。

さらに2019年、離脱者やけが人続出のソフトバンクを支えた一人に牧原大成がいる。牧原が内外野を守れることで、例えば明石や川島がセカンドに入るなら牧原が外野に回るなど、効果的に人材が活用できた。不動のスタメンがいればチーム力が安定するのだが、ソフトバンクの場合は出る人出る人が活躍することでチームに勢いが出ている。そんな印象があるのだ。

デスパイネやグラシアルという実績ある外国人選手がいながらまだバレンティンを獲得したソフトバンク。3年連続で日本シリーズを制したとはいえ実はレギュラーシーズン、2年連続で西武の後塵を拝したのも事実。球団が遮二無二勝とうとするならばサクッと山田哲人争奪戦に参加しそうだが……黒柴スポーツ新聞編集局長は密かにソフトバンクのセカンド争いフェチなので、山田哲人が不動のセカンドになってしまったらスタメン発表いや、スタメン予想から楽しむというルーティンがなくなってしまう。

大事なことを忘れていた。セカンドといえば売り出し中の周東がいるじゃないか。周東にしてみれば2019年に代走でブレイクしたが、バッティングはまだまだ。セカンドの定位置を奪うことで「走」以外をアピールしていかねばならないわけで、周東にしてみれば一刻も早くプロ野球が開幕してまずはスタメンに定着したいと考えているのではなかろうか?

オールマイティーな人が職場にやってきた時、一芸に秀でた人々はどうやって生き残ろうとするのか。山田哲人ソフトバンクに来たら来たで、個性的なプレーヤーたちがどうアピールしていくのか。興味深いなと思う。


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