セ・リーグも指名打者を取り入れるべきか~ソフトバンクは日本シリーズでセ6球団全倒
NHKが開幕前恒例のプロ野球監督談義をやっていた。先にセ・リーグ。前年優勝でトークも滑らかな原辰徳監督がいきなり、指名打者制について切り込んだ。皆さんはどうお考えかと。
印象に残ったのは導入に慎重な考えも示した高津新監督。継投という野球の奥深さに影響があろう、という考え方は抑え経験者からすれば当然だ。ごく稀にヒットが打てるピッチャーもいるが、普通、ピッチャーの打順は打線の切れ目。ゆえに今投げているピッチャーに打席が回るのであれば、続投させるか交代させるかは考えねばならない。
指名打者制はその逆。セ・リーグではウイークポイントのその打順は、パ・リーグなら強打者を配置できる。原辰徳が言うように打線に(ピッチャーが)一息つける所がないからピッチャーはずっとそれなりの力や気配りで投げなければならない。それがパ・リーグのピッチャーのレベルアップにつながっていると言いたいらしい。大リーグを見ても田中将大、ダルビッシュ、大谷翔平、菊池雄星、平野と並ぶとパ・リーグ出身者が目につく。マエケンはセ・リーグ出身で頑張っているが。この辺りも指名打者制の副産物なのか。大リーグには行っていないが千賀や有原もいかにもパ・リーグで鍛えられた感がある。いいピッチャーがいるからか、交流戦は2019年にパ・リーグが10年連続勝ち越しを決めた。これまで15度の開催で、セ・リーグが勝ち越したのは2009年の1度だけ(元ネタはfull-count記事)という。
日本シリーズではソフトバンクがこんなことも。
「05年に親会社がソフトバンクとなって以降、日本シリーズで11年に中日、14年に阪神、15年にヤクルト、17年にDeNA、18年に広島を破っており、今年の巨人でセ・リーグ全6球団に勝利となった」(ソフトバンク日本一 日本シリーズでセ全球団に勝利、毎日新聞2019年10月23日)。しかも直近の2019年日本シリーズはソフトバンクが巨人に「4タテ」。セ・リーグで勝ち上がってきた巨人を、である。
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圧倒された原辰徳が熱く指名打者制導入を支持するのも理解できる。全体のレベルアップにつながるならやりましょうという考えならば。だが私は継投を見たり考えたりするのが好きなので、セ・リーグはこのままでもよいのでは……なんて思っている。パ・リーグとて継投はあるが、セ・リーグ式の継投はその時投げているピッチャー続投の可能性もまあまああるパターンなので、もう1イニングいきますかいきませんかの「悩ましさ」を見たい、というのが趣旨である。この辺りになるともはや分かる人にしか分からない面白さかもしれないが。最近はイニングまたぎなる言葉も定着するくらい、抑えピッチャーすら続投の場面はどんどん減っていて「あ、続投です、続投です」とアナウンサーが高揚しながら伝えるフレーズが聴けずちょっとさみしい。
ソフトバンクファンの私は破壊力のあるパ・リーグが栄えつつ、セ・リーグには愚直に伝統文化を継承してもらえればという非常に都合のよい考えで恐縮なのだが、そこそこ投げきれるピッチャーも育てるようにしておかないと、完投数も選考基準となる沢村賞ピッチャーも出せなくなるわけで。それぞれのリーグなりの面白さを併存してもいいんじゃないかなと思うのだが、皆さんはどう思われるだろうか。