黒柴スポーツ新聞

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FA補強成功で生まれたロッテ鳥谷敬

ロッテが3月10日、元阪神鳥谷敬獲得を発表した。コロナウイルスの混乱のさなか、 さすがにタイガースファンも鳥谷敬の動向からは関心が薄らいでしまっていたのではないか。結果的にはプロ野球の開幕延期が決まったとはいえ、開幕を控えたこのタイミングまでどうなる鳥谷敬記事にお目にかかった記憶もない。記事がなかったのか?かくいう私も鳥谷敬のことを忘れていたようで記事をスルーしていただけなのか。他人のことはとやかく言えない。そんな感じだったので鳥谷敬のロッテ入りを知った時、ああまだ所属は決まっていなかったんだ、と少々驚いた。そして、あのまま引退せずに済んでよかったな、と思った。

にしても阪神で一時代を築いた選手。2000安打も果たしたレジェンド。本来ならば縦じまのユニホームのまま引退……というのが本人にもファンにも一番だったのではないか。しかしそこは結果がすべてのプロ野球。2019年、鳥谷敬の出番は限られてしまったし(74試合)、安打はたったの19、本塁打に至ってはゼロに終わった。タイガースから肩たたきされても仕方なかった、のかもしれない。

いやいや、鳥谷敬は出番さえ与えていたらもっと結果を出せているはずだよと見る人もいるだろう。しかしどのギョーカイでもまずは出番を勝ち取るまでが勝負だ。打席に立つまでがなかなか大変。もしすべての人に機会が均等に与えられるのであればチャンスに一本打てばよい。本当に力があるならば数少ないチャンスに結果を残せるはずだ。だがどのギョーカイにも厚遇される人と冷遇される人がいる。また、組織には年齢構成という要素もある。そもそも年齢構成がいびつになる組織は計画性のなさを露呈するだけなのだが、タイガースの場合はどうなのだろう。鳥谷敬を置く枠の余裕はなかったのか。確かにベテランが居座れば若手一人の芽は摘まれる。

枠以外でネックになるのは年俸。高い評価がのちのち自らの首を締めるのがプロ野球の恐ろしさだが、4億円もらっていた鳥谷敬の処遇は確かに難しい。どれだけ打たなくなっても鳥谷敬というネームバリューとブランドがある。功績が色褪せることもない。かといってもはや億単位の年俸は出せない。だから引退勧告という選択肢はなしではないと思う。さすがに移籍はどうですかとは球団からは言えまい。

で、鳥谷敬に手をさしのべたのはロッテだった。井口監督との関係、かつて似たような動向となった今岡誠が入った球団であるロッテ入りはプロ野球ファンなら予想の範疇だった。それでも結論を出すのがこんなに遅くなったのはロッテも獲得の意思が最初はなかった、と見てよいのではないか。そこは一兵卒になった野村克也にソッコー手を挙げた金田ロッテの時とは違う。

鳥谷敬獲得に至ったのはこのシーズンオフの補強がうまくいったから生まれた「余裕」のなせるわざと見た。ソフトバンクからはユーティリティプレーヤーの福田秀平、楽天からは先発ができる美馬が加入。涌井や鈴木大地が去ったが戦力的にはマイナスにはなっていないだろう。そこでふと内野を見た時に、ベテランがもう一枚いたらなおよいかな、しかも練習熱心で実績も経験もあるベテランが……と考えた時、鳥谷敬がいたなと。しかももうこのタイミングなら1600万円という一軍最低保証の年俸でも違和感はない。あの松坂大輔も確かこのくらいで中日入りしている。ロッテにしてみたら「損はない」という判断かもしれない。

鳥谷敬はロッテ入りに際し「感謝しかない」と謝意を表した。素直な気持ちだと思う。もはや年俸など二の次なのだろう。ユニホームが着られる。野球ができる。それが一番。惜しまれ、慣れ親しんだタイガースのユニホームのまま引退する道もあったが現役続行を模索した甲斐はあった。さまざまな要素や思惑がロッテにもあっただろうが、現役続行ができるなら鳥谷敬にはあまり関係ないことだろう。鳥谷敬はとにかく結果を出すことに集中するはずだから。

結果的にはまた縦じまのユニホームを着ることになった鳥谷敬。あ、今気が付いたがパ・リーグに来るのではないか。これはソフトバンクファンの私には一大事。どうぞソフトバンク戦だけは打ちませんように。福田秀平も同じ。福田もできればソフトバンクのまま現役を終えたかっただろうけど、出番を求めたり自分の評価を聞いてみたかったりと福田なりの考えはあった。そこはソフトバンクファンも理解している。きっと阪神ファンもそうだろう。今からでも楽しみなのが、甲子園での交流戦阪神対ロッテ。終盤に鳥谷敬が代打ででも出てきたら地鳴りのような歓声が沸き起こりそうだ。そうなるためにもプロ野球はどうにか春先に開幕してもらわねばならない。コロナウイルスの沈静化とともに、ちょっとしたことに幸福を感じられる日常が戻ることを願おう。

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