黒柴スポーツ新聞

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プロが選ぶ走塁1位は周東~その人らしさを生かして輝く

S-PARK恒例のプロ野球100人分の1位が発表中だ。11月24日放送分は走塁部門だったが、1位はもちろん周東佑京。その脚力で侍ジャパンにも選出された、今をときめくスピードスターである。

スタジオにいた立浪和義いわく「トップスピードにのるのが早い」。何だかスポーツカーのような表現だが、「塁間を走る姿が美しい」ともコメントしており、こちらの方がソフトバンクファン的にはうれしかった。

データ的には2019年シーズンの3塁到達最速タイムが10秒55(S-PARK調べ)。野間と金子が10秒66、源田が10秒68、近本が10秒69だから、このあたりが相場なのだが周東は0.1秒速い。最高の技術同士がぶつかり合い、ギリギリのタイミングで勝負するプロ野球だから、いかに周東に優位性があるかがうかがえる。

盗塁でも周東はすごいのだが、周東の魅力を高めているのが走塁。ヒット1本で二塁から生還する。高校野球かよとツッコミたくなるがそんなエキサイティングな走塁を見せてくれる。そしてチームに貢献してくれる。しかも試合の勝敗を左右する、終盤の大事な局面で。

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周東自身、一番の走塁に選んだのが7月21日の楽天戦。1点リードの9回表、一塁から二盗。代走で登場したら100%走ってくるとバッテリーが警戒する中で成功するのだから、まずそこが素晴らしい。そしてバッター甲斐の浅いレフト前ヒットで二塁から一気に本塁を陥れた。レフトが捕球する時点でまだ三塁に到達していない。それでもセーフになるのだからやはり速さが尋常じゃない。

とまあ、番組の組み立ては至極その通りなのだが、周東の魅力はプロ野球の常識を実力で覆している点だと思う。楽天戦のシーンでは普通突っ込まない(1点リードしていることもある)。侍ジャパンで話題になった源田のスクイズでは捕球したピッチャーがタッチに行くも、周東が速すぎてタッチできなかった。周東の登場で野球の走塁のレベルがまた一つ上がったのは間違いない。

鈴木尚広の走塁バイブル

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数字に表れにくいが周東は足が速いから守備でも貢献している。外野フェンスに行く前に何とか捕ろうという姿勢がうかがえる。単打で終わらすか、二塁打にするかはまったく違う。クッションボールの手際よい処理も外野手の見せ場だが、周東にはそもそもフェンスに届かせないというアグレッシブな守備を高めてもらいたい。そしてまた常識を覆してほしい。あの当たりで二塁打三塁打にならないのかよ、と。

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周東が支配下登録されたのは2019年開幕直前。プロ入りはドラフト育成2位であり、学生時代から注目されていたわけでもない。それでも今光り輝いているのは一芸に秀でているからだ。突き抜ければこれだけ名前が売れ、評価される。打つ、守る、走るが野手に求められる三拍子だが、まず脚力をアピールして光の当たるところに行った。そうした周東も、そうさせたソフトバンクも素晴らしいと思う。甲斐の強肩、千賀の速球&お化けフォーク、周東の俊足。育成出身でも武器を磨けばトップ選手にのしあがれる。周東の活躍は育成出身選手にとっても希望であることだろう。おまえの代わりなんていくらでもいる、なんて悲しい言葉は言わせたくないし聞きたくもない。誰にだってその人だからこそできる仕事は一つくらいあるはずだ。その人らしさを生かして光り輝く。周東の活躍は個性を生かして活躍する素晴らしさをあらためて教えてくれている。

 

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