ライバルに評価された平石洋介~ソフトバンクが1軍打撃コーチに招聘
2019年シーズンに楽天を率いた平石洋介がソフトバンク1軍打撃コーチに招聘された(full-count記事、ソフトバンク、楽天前監督の平石氏の招聘を発表 1軍打撃兼野手総合コーチに就任 より)。日本シリーズ3連覇を圧倒的な強さで成し遂げたソフトバンク。コーチ人事の面でも抜かりがない。この辺りが強さの秘訣である。
この人事を見る時、捨てる神あれば拾う神あり、というフレーズが頭に浮かぶ。捨てるなんて言葉は乱暴だが、実際、楽天は前年最下位から3位に浮上させた平石洋介を「切った」。三木肇を1軍監督に据えたのだが、三木とて1軍監督としては未知数だ。これって結局、石井一久GMがヤクルト時代の後輩の三木肇に監督をやらせようということじゃないのか?と勘ぐりたくもなる。社会人は結果がすべてであるのと同時に人脈がものを言う面もある、その典型的な例に見える。
もっとも、三木肇はコーチ経験が豊富で、現役時代は野村克也監督の指導も受け、山田哲人を育てた実績もあるからただの好き嫌いで選ばれた訳でもあるまい。だが繰り返すが平石洋介は決して厚みがあるとは言えない戦力をやりくりして西武やソフトバンクとつばぜり合いを演じた。皮肉にも楽天はそれを評価せず、苦しめられたソフトバンクが平石を評価した。
ここ最近の野球はだいぶスマートになり、因縁の対決といった煽り方は少ない印象だ。ゆえに2020年シーズンのソフトバンク対楽天戦は見もの。平石洋介が重厚な戦力を使って、自分を切った楽天にリベンジを挑むのだ。楽天を叩くのに平石の自尊心と野球脳を使おうというソフトバンクが一番したたかではある。しかし平石にしてみたらこんなにうれしい評価はあるまい。自分なりに結果を出したのにはしごを外された。そこへ手を差し伸べたのがライバル球団なのだ。コーチ就任受諾を即答しなかったのは今まで支えてくれた楽天ファンへの気配りだったのかもしれない。PL学園時代からずっとユニフォームを着ていたわけで、監督退任を機に一度充電する選択肢もあったが、必要とされる場があるならば勝負してみたいと思うのが野球人。平石のソフトバンク入りは至極まっとうな選択に見える。
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レギュラーシーズンは終盤に失速したソフトバンクだが、ポストシーズンは打撃絶好調。立花打撃コーチは留任だから平石洋介は育成や作戦面に期待されているのかもしれない。2019年シーズンはスクイズやら強攻策やらダブルスチールやら、ソフトバンクは楽天に苦杯をなめた。その頭脳が仲間入りする。しかも古巣への対抗心を持って(表面的には見せないかもしれないが)。個人的には「松坂世代」を読んでから平石のことは気になっており、ソフトバンクファンの私は打撃コーチ就任を本当にうれしく思う。平石の加入はまさに鬼に金棒。慢心してはいけないが、平石がソフトバンクの戦力を使ってどんな野球を見せてくれるのか楽しみで仕方ない。2020年のソフトバンク対楽天は白熱必至だ。