黒柴スポーツ新聞

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よい結果をイメージする~ソフトバンク明石が16年温めたバック宙ホームイン

平成最後のヤフオクドームでの主催試合でスーパープレーを二つ見た。明石健志のサヨナラ3ランからのバック宙ホームインと今宮健太の空中スローイング。いずれもエアー系というか、めったにお目にかからない超絶技巧(特に今宮)。何度見ても素晴らしい。

 

「明石、日焼けしています」

ヒーローインタビューをダグアウトで待つ明石を実況アナウンサーがそう表現した。そう、明石は腰を痛めて手術を決断。復帰まで2カ月はかかると見ていたから4月の復帰は経過が良好だったのだろう。ソフトバンクはけが人続出であり、明石は早速試合で使われた。が、ヒットがなかなか出なかった。ようやく初安打が出たのだが、それが今夜のサヨナラ3ランだった。

 

「苦労して、頑張ってリハビリした結果がこういうものになったと思いますよね」

解説の柴原洋が明石をそう評した。痛めた腰について、明石はインタビューで「手術してもよくなるかは分からなかったがそれしかなかった」と話していた。そう、決断したとしても、うまくいかないかもしれないのが人生。だったら割りきって決断して、思いきってやるのがよいと思う。答えは行動次第で変わるのだから。

 

明石の打球はライトのポールを直撃。明石は一塁を回りながら、赤い手袋をはめた右手を高々と突き上げた。そしてホーム直前でヘルメットを投げ捨てた。まさか!  やるのか?

 

やった。秋山幸二ばりのバック宙ホームイン。秋山幸二に憧れ、サヨナラホームランを打ったあかつきには同じことをやろうと、16年間温めていたそうだ。よい結果をイメージするのは素晴らしい。喜び方を考えておくなんてなかなかオシャレである。

 

ちょっとだけ勢い余って、バック宙の明石は一歩分ベースを空過した。その瞬間、待ち構えていたソフトバンクナインは一斉にホームベースを指差した。ぜひ見返していただきたいがダチョウ倶楽部の「どうぞどうぞ」ばりのリアクション。ナインのハイテンションが伝わってくる。

 

 

 

サヨナラホームランを打った明石はもちろん素晴らしいのだが、チャンスはチームメイトがコツコツ作った。まずはこの回デスパイネがヒット。上林誠知が代走に出た後、内川聖一が技ありのヒットエンドランで一、三塁とチャンスが拡大したのだった。このあたりも忘れず書いておきたい。

 

そしてその流れを作ったのは何と言っても今宮健太。前夜救援失敗の森唯斗が10回、またもやタイムリーを許した!と思った瞬間外野に抜けかけた打球に横っ飛びで追い付き、立ち上がらずに無理やり体を反転させながらセカンドにストライク送球。セカンド牧原大成もよくあのタイミングで二塁に入った。西村徳文監督がリプレー検証を求めるほど微妙なタイミングだったが判定通りアウト。セーフだった場合は、もともとセカンドにいたランナーの本塁生還が認められて1点入っていたので大きなプレーだった。

 

ファンからしたら森唯斗が本調子でないことを不安視してしまう。しかし明石がヒーローインタビューで言っていたように森唯斗は5年連続50試合以上投げてチームに貢献してきた。守護神だから打たれてはいけないのだが、自信を失うのもよくない。今回は今宮のスーパープレーに命拾いしたのだが、そうやってもり立ててくれるチームメイトに、森唯斗なりに報いていけばいい。

 

森もまずは明石を見習って、うまくいった時をイメージしたらよい。そう、喜び方の想像を含めて。取らぬ狸の皮算用になってもいけないが、成功を想像できるということはシミュレーションができるということ。本当に実力がある人はそのゴールに向かって着実に歩んでいけばいい。

 

もちろんサヨナラホームランくらい高めの目標設定だと実現に日数を要するのだが、どうせ想像するなら胸が躍る結果の方がチャレンジのしがいがある。私も明石を見習って、想像した喜び方を実現できるように、まずは準備段階で日焼けするほど努力するところから始めよう。さて、皆さんが想像するなら、どんな素敵な結果で、どんなオシャレな喜び方ですか?


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