黒柴スポーツ新聞

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いいチームの条件とは~ソフトバンク甲斐野がデビュー10戦無失点のプロ野球タイ記録

「本当にいいチームに入りました」

プロ野球タイ記録となるデビューから10試合連続無失点を達成した甲斐野央の言葉だ。サンスポの見出しでこれを見つけた時、思った。そりゃうれしいだろう、こんなに打線の援護が期待できるチームに入れたんだから、と。しかし甲斐野は違う意味合いで発言していた。

 

「記録はうれしいけど、自分のレベルが上がる要素を頂いて、毎日発見がある本当にいいチームに入れました」

そう、もっと深い意味で「いいチーム」だと言ってくれていた。これ以上の詳しい説明はなかったのだが、想像するに、さまざまな助言があったり、考えた起用をされているから日に日にレベルアップできていると言いたいのではないか。

 

東洋大学からドラフト1位で入団。いきなり開幕カードから登板し、以後抑えの一角で結果を出し続けてきた。24日のオリックス戦を見ていたが4番メネセスから外角いっぱいのストレートで三振を奪い、マウンドを降りる際はこれで当然くらいの自信があふれていた。もはやルーキーとも思えない。

 

 

自信はどこから来るのか。やはり結果だと思う。結果を重ねることで信頼が高まる。信頼が磐石になればちょっとくらい失敗しても信頼は揺らがない。この日は守護神の森唯斗が1点のリードを守りきれず逆転負けを喫したのだが、工藤公康監督は「いやもう、森君で負けるなら…。彼には100パーセントの信頼を置いている。これまで何度もチームを救ってくれている」(西日本スポーツ記事より)と森を責めなかった。そして、なるべく早くリベンジの機会を与えたい、とも。

 

これが信頼感を得た人の扱いである。対照的に、信頼感のない人はかばわれもしないし、リベンジの機会も与えられない。ピッチャーならばまずはビハインドのある場面から抑え、同点の場面で抑えることで信頼感を高め、勝ちゲームで使ってもらえるようにレベルアップしていかないといけない。

 

甲斐野が言うように、いいチームとは自分をレベルアップさせてくれる環境が整っているチーム。助言をもらえるだけでなく、刺激、例えばライバルの存在もあろう。ソフトバンクで言えば同じくルーキーに奥村政稔や泉圭輔がおり、早くも結果を出している。甲斐野は頭一つ抜け出した感もあるがよい刺激になっていることだろう。

 

森唯斗が同点にされた直後、睡魔に襲われて、気が付いたらオリックス中川がヒーローインタビューを受けていた。え?  森唯斗が打たれたってこと?  ソフトバンク打線が追い付けなかったってこと?  一瞬訳が分からなくなった。だが私の気持ちも工藤監督と同じ。森唯斗が守護神代行から押しも押されもせぬ守護神になってから安心して最終回が見られてきた。弘法にも筆の誤り、だ。次はきっと抑えてくれるだろう。

 

甲斐野もますます成長して、いずれ森唯斗クラスの信頼感を得てもらいたい。単に強いチームに入ったと思わず、自分を高めてくれるいいチームに入ったと思える感性は素晴らしい。登板過多には気を付けてもらいながら、ぜひ新人王を目指してもらいたい。

 

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