福田秀平のフルスイングを肯定してしまう私~プロ野球選手が見せる激しい生存競争
雨の中、イベントのブース運営に出動。帰ってからDAZNでソフトバンク戦を堪能するつもりだったが、一緒にソフトバンクを応援している方のFacebookページが一瞬見えてしまった。瞬時に目を背けたが「福田」「怪我」の文字が!うそだろ?
見間違いであってくれ。そう思いながら飛ばし飛ばし試合を見ていった。福田秀平はセンターにもライトにもレフトにもヒットを放ち連日の3安打。全然大丈夫じゃないか。いやいや、福田は盗塁もするし外野の守備もできるから打撃以外でけがをするんじゃないか。DAZNを見る前にFacebookを見てしまったがために、もはや楽天対ソフトバンクを見ているのか、福田がけがをするのかどうかを確かめているのか分からない。
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試合は甲斐の3ランをベースにソフトバンクが得点し6-1と終始ソフトバンクペース。そして最終回になった。福田が出てきた。そしてファウルを打った瞬間脇腹を押さえた! でた、これか!
中村晃、柳田悠岐、そしてグラシアル。いかに層の厚いソフトバンクとてこんなに離脱するのはどうかしている。もし福田秀平まで故障したら本当に呪われているんじゃないかとさえ思ってしまう。
だが福田は打席に立ち続けた。しかしファウルを打つ度に顔をしかめた。明らかに異常がある。だが福田は交代できなかった。なぜなら後輩たちが激しく追い上げているからだ。釜元豪が昇格。次は真砂。そして美間。きのうは栗原陵矢が決勝タイムリー。どんどん若手が頭角を現そうとしている。
そんな中で結果を出しているから福田は使われているのだ。しかもスタメンで。この2日間の福田の3安打はアピールであり、意地と見た。若手の可能性を見るのもいいがオレを忘れないでくれ。そんな気持ちの表れに見えて仕方がなかった。
だからこそ福田は交代を望まなかった。それは立花コーチも分かっていた。だがどうやら福田に「スイングするな」と声を掛けたらしい。福田は3ストライク目をスイングせずベンチに帰ってきた。
金本知憲ばりに片手で気合でヒットを打つのも美しい。しかし福田秀平にはあれ以上無理をしてほしくなかった。せっかくつかんだチャンスを逃したくない。その一心は痛いほど伝わってくる。守備固めや代打、代走。福田は常にチームのために働いてきた。それが積もり積もっていつの間にか、スタメン起用が少ない選手になってしまった。そこへ主力のけが。真っ先に福田の名前が挙がるタイミングで先に釜元が使われた。私は福田の胸中を察した。
だから脇腹を押さえながらスイングする福田を見て泣きそうになった。これはスタメン人生を歩んできた人には分からない感情だ。そして控え人生を歩んできた人には痛いほど分かる感情だ。やっとつかんだチャンス。簡単に手放せるわけがない。
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ソフトバンクは強いなと思う。それは首位争いをしているという意味ではない。相手と戦いながら自軍の選手を競わせている。そうしながら勝っている。本当に強いチームだと思う。福田の顔を歪めながらのスイングは、ソフトバンク野手の出番争いの激しさを何より物語っているのだ。
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プロ野球選手はなるだけでもすごいのに1軍昇格争いもある。1軍になってもレギュラー争いがある。ポジションは一つずつしかなく、先に守備のうまい選手が鎮座していたらなかなかポジションは奪えない。先に似たタイプの選手が結果を出してしまったら、控えに回るしかない。ソフトバンクの選手起用を見ているとあらためてプロ野球が生存競争の社会であることを再認識させられる。
いま福田秀平はどんな気持ちだろうか。結果を出さねばという気持ちが強すぎて力が入ったのだろうか。一生懸命な人にけがをさせるなんて、野球の神様は酷なことをしすぎだ。それとも長いシーズン、福田にはぼちぼちやれという、神様なりのメッセージだったのか。
福田には悔しい気持ちをグッとこらえて、まずは不安がない状態にしてもらいたい。まだ4月。若手が調子よくとも、経験は乏しい。結果は乱高下するだろう。その点福田は経験がある。福田の力を必要とする場面は山ほどあるのだ。脇腹は傷めるとややこしい。痛みが再発するとも聞く。今はとにかく無理をしてほしくない。
福田が離脱したらもうレフトやセンターのポジション争いは川島慶三も含めて激化の一途だ。中村晃やグラシアルが復帰したらどうなるのだろう。主力の回復はうれしい半面、悩みどころでもある。その時福田はどんな立ち位置にいるだろうか。
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福田秀平は何もそんなに必死のパッチでバットを振らなくていいじゃないかと思う人もいるかもしれない。でも私は福田のがむしゃらな姿勢を肯定してしまう。ひょっとしたら2018年オフに戦力外通告を受けた城所龍磨のことがちらついているのかとすら思う。あれだけ若手が起用されたら焦らない方がおかしい。力を入れない方がおかしい。目一杯振らざるを得ないのだ。私は福田のフルスイングにプロ野球の恐ろしさを見た。
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