黒柴スポーツ新聞

ニュース編集者が野球を中心に、心に残るシーンやプレーヤーから生きるヒントを探ります。

ギリギリの所で踏ん張ることは重要~武田翔太と藤浪晋太郎はポテンシャルを生かしきれるのか

オープン戦で絶不調だった武田翔太が名誉挽回の好投を見せた。東浜巨が本調子でないだけに、ローテーション入りの可能性も浮上。起用方法はともかく、自信を失わなくて何よりだ。


今やオープン戦でもきっちりネットで結果が共有される時代。調整ムードがない。あと半月あるのだから丁寧に仕上げてもらいたいのだが、ちょっとでも不安があると心配してしまう。それがファン心理かもしれないが。
その点、工藤公康監督はさすがだなと思った。結果が出なければ早々に見切られるこのご時世。工藤監督は見切るどころか直接指導に乗り出した。チームにとって必要な戦力だからかもしれないが、武田翔太にしてみればうれしかったと思う。工藤監督が来てくれたこと自体が、だ。

監督がピッチャー経験者というのは大きい。きっと武田のモヤモヤが理解できるのだろう。きっかけさえあれば、ちょっとしたコツさえつかめれば。そう感じていたからこそ直接指導に乗り出したのではないか。
DVDでマスター 工藤公康のピッチング・バイブル

DVDでマスター 工藤公康のピッチング・バイブル



対照的なのが阪神藤浪晋太郎。素晴らしいポテンシャルの持ち主ながら、伸び悩んでいる。フォーム改造にも取り組んでいるが、結果が出ていない。ますます孤立していってはいないか。とうとう2軍調整が決まった。

金本知憲監督だったら投手経験者でもないし、そもそも自分で何とかしろというタイプに見えるから、直接指導もなさそう。代替わりして矢野燿大監督になったし、矢野監督はキャッチャー経験者だから直接指導があってもよさそうだしもう話し合ったりしているのかもしれない。
覚悟のすすめ (角川oneテーマ21 A 87)

覚悟のすすめ (角川oneテーマ21 A 87)



ただ、細かいコツやら技術指導やら心理的なアドバイスとなったら、やはり工藤監督と武田のように、投手同士の方が直接指導の効果は見込める。そう、やはり経験者によるアドバイスは価値がある。

経験者以外のアドバイスが生きるとしたら、本人が袋小路に迷い混んだ時だ。その時は気分転換が必要だし、環境が変わることで、見えなかったものが見えたりする。門外漢によるアドバイスは切り替えの導入部にはなり得る。

藤浪晋太郎はすでに袋小路に入った感もあるが、投手経験者からアドバイスはもらっているのだろうか。あまりに上からこうしろとフォームをいじくられては、藤浪晋太郎の良さがかすんでしまう。二桁勝っていたころの自分の良さを思い出してもらいたい。

藤浪晋太郎は2軍行きを命じられてしまった。武田翔太は信頼を裏切る寸前で立ち止まった。武田は2018年、2軍降格を機に復調したし、2軍に行くこと自体が悪いわけではない。見離されない、ということが大事だ。

一旦視界から消えると目に留まるまでが大変になる。別に首脳陣の目の前でアピールせよということではない。プロ野球選手ならやはり何とか1軍にいる間に挽回する。信頼を回復する。そうしていかないと生き残れない。


その点、武田翔太は2018年、一旦は無期限2軍調整のピンチがあったのだが、先輩の体調不良で汚名返上のチャンスが巡ってきた。そして見事期待に応えた。この辺りはもう運でしかないのだが、それをものにできるかも含めてプロ野球選手だと思う。先輩が離脱している間に定位置を奪ってしまうこともあるが、定位置にハマることができるのは才能があるからにほかならない。
tf-zan96baian-m-stones14.hatenablog.com

武田翔太は不調→好調の繰り返しが多い。ゆえに熱心なファンほど「いい加減にしろ」と思っている。もちろんそれは期待の裏返し。今回もまた汚名返上できたのだが、あまりにこれが続くと信頼感はいつまでたっても持ってもらえない。そこは要注意だ。

ホークスファンとしては武田の復調でひと安心だが、他球団ながら藤浪晋太郎が気がかりだ。何とか踏ん張った武田との違いは余りにも大きい。2軍調整が決まったが、実は志願の2軍行きとも書かれていた。

「本当は上(1軍)にしがみつきたいですし、開幕も1軍で迎えたい。ローテにも入りたい。もう1回チャンスをくださいというのも手だったかもしれないですけど、それ以上にもっとやるべきことがある」(デイリースポーツより)
これを見ると意思があっての2軍調整だからちょっと安心だが、重症の証しにも見える。あまり自分を追い込みすぎてほしくはないが……

ギリギリの所で踏ん張った武田翔太と、踏ん張れなかった流れであえていばらの道を選んだ藤浪晋太郎。たぐいまれなポテンシャルを持ちつつもそれを生かすことはそう簡単じゃないんだなと実感しつつ、二人を応援しようと思う。


あわせて読みたい武田翔太関連記事はこちら。
tf-zan96baian-m-stones14.hatenablog.com


福岡ソフトバンクホークスランキング