黒柴スポーツ新聞

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自分の評価を変えられるのは自分~5位指名の柿木蓮はドラフト1位吉田輝星に追い付けるのか

糸を引くような直球。甘いマスク。シャキーン!と効果音が聞こえてきそうな侍ポーズ。秋田県代表、金足農業のエースとして2018年夏の甲子園を沸かせた吉田輝星には、アラフォーの野球バカも胸を踊らせた。甲子園準優勝の人気選手を獲得したのはドラフト巧者の日本ハムだった。



日本ハムのドラフト1位指名は見ていて気持ちいい。当然重複必至だが、良いと思った選手はガンガン取りに行く。あれこれ考えずシンプルに行動しているように見える。ダルビッシュ有中田翔大谷翔平清宮幸太郎。話題の選手はみんな日本ハムが獲得した。はずれ1位ではあったが吉田輝星もその系譜に名を連ねた。
不可能を可能にする 大谷翔平120の思考

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だが、2018年ドラフトの指名順位を見て、日本ハムはしたたかだなとうならされた。5位で甲子園優勝投手の柿木蓮を指名したのだ。春夏連覇を成し遂げた大阪桐蔭の中心選手。額面だけで見れば吉田輝星より高い評価がもらえるはずだが、柿木蓮は吉田輝星に差を付けられている。

ドラフト1位の吉田輝星は契約金1億円、年俸1000万円で仮契約。
ドラフト5位の柿木蓮は契約金3500万円、年俸520万円で仮契約。
各球団で10人足らずのドラフト指名者の中でもきっちり差を付けている。これを、吉田輝星はともかく柿木蓮はどうとらえているだろうか。ものすごく気になる。

背番号だってそうだ。吉田輝星は18。球界ではエースナンバーとされている。先日もロッテの涌井秀章が16から18に変更。中日の松坂大輔も2018年に付けていた99から18に変わる。

日本ハムでは同じように鳴り物入りで一員になった斎藤佑樹が最初に背番号18を付けた。吉田輝星とて、斎藤佑樹のように伸び悩む可能性はある。あくまでもプロ野球に入っただけで、入団時の評価がずっと続くわけではない。
甲子園の奇跡 斎藤佑樹と早実百年物語 (講談社文庫)

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その意味では柿木蓮がどうなっていくかがすごく気になるのだ。柿木蓮の背番号は37。いかにもドラフト5位的な、シブい番号である。はっきり言えばパッとしない。スター選手が若い時に付けてました的な、修業時代の匂いがプンプンする番号である。日本ハムは徹底的に、吉田輝星と柿木蓮に差を付けているように見える。吉田輝星には開幕投手の可能性まで浮上している(策士の栗山英樹監督だから十分ありえる話)。
「最高のチーム」の作り方

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だが、柿木蓮にしてみれば大阪桐蔭時代にも同じような経験をしているのではないか。そう、打ってよし、投げてよし、守ってよしの根尾昂がいたのだ。ピッチャーの柿木蓮にしてみれば、根尾に負けられないという思いがあったに違いない。大阪桐蔭の場合は高いレベルの選手がそろっていたためバランスが取れたが、変なライバル意識だけ残ってしまっていたら、大阪桐蔭とて崩壊していたかもしれない。ライバルとはあくまでも切磋琢磨できる存在であってほしいものだ。

だがプロ野球高校野球よりはるかに個人の能力と人気が問われる。日本ハムは吉田輝星と柿木蓮の間に、2位で野村佑希(花咲徳栄高)、4位で万波中正(横浜高)を指名した。この二人は野手故に単純な比較はできないが、総合的な評価で柿木蓮は下位なのだ。吉田輝星は柿木蓮が思う以上に遠くにいるのかもしれない。
スタンダード青森・秋田 2019年1-2月号 Vol.16

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繰り返すが入団時の評価がずっと続くわけではない。あの西鉄ライオンズの鉄腕・稲尾和久だって最初は無名だった。契約金は50万円。同期入団の畑隆幸は16倍の800万円だった。契約金の話になった時、稲尾は「あんまり変わらんのう」とごまかすのがやっとだったという(出典は稲尾和久著「神様、仏様、稲尾様」日経ビジネス文庫)。
神様、仏様、稲尾様―私の履歴書 (日経ビジネス人文庫)

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そこからどうなったか。稲尾和久は初年度の昭和31年に21勝6敗で新人王と最優秀防御率(1.06)。通算では276勝137敗。シーズン42勝、連続20勝以上8シーズンなどまさに西鉄黄金期の大エースだった。一方の畑隆幸は通算56勝50敗。畑がどうこうというよりは稲尾和久がすごすぎた。

県立高校出身で、地元の仲間と甲子園で躍動した吉田輝星を応援するのは当然。私はソフトバンクファンだから、支障のないように西武戦とかで好投してもらいたいが、柿木蓮にも密かに注目したい。結局、自分の評価は自分で変えるしかないのだが、人間がはい上がる姿には心打たれるものだ。それを見越して日本ハムが柿木を5位指名していたとしたら、本当にニクい球団である。

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