黒柴スポーツ新聞

ニュース編集者が野球を中心に、心に残るシーンやプレーヤーから生きるヒントを探ります。

回り道、成功したら近道に〜ソフトバンク藤井4年ぶりの復活勝利

ソフトバンク藤井皓哉が4年ぶりの勝利。4年ぶりと聞いて、思わず自分と重ねてしまった。私にもやりたいことができなかった3年間の空白がある。そこで失ったものと得たものは、他の誰とも共有できるものではない。きっと藤井もそうだろう。

藤井はドラフト4位で広島に入団。しかし結果が伴わず2020年に戦力外となった。転機となったのは独立リーグ高知ファイティングドッグス入りだ。かつてこのチームに、NPB復帰を目指した大物が入団したことがある。伊良部秀輝藤川球児だ。伊良部はプロ1軍の試合ではあり得ない、午前中からの試合にも投げた。ヤンキースタジアムでも投げた男が高知市営球場で暑い中投げる。そこにNPB復帰を目論む情熱を見た。ミーハーな私は即席サイン会に並んだ。「絶対プロ復帰してください!」。勝手に熱くなった私は握手してもらう時そう声を掛けていた。伊良部は照れ臭そうに「行けるかなぁ」と応えてくれた。伊良部はその後、帰らぬ人となったが、見かけとは真逆の柔らかい手の感触は忘れられない。

藤井も高知からNPB復帰を目指した。同じく赤を基調としたユニフォームでも、ファンの数は広島との比ではない。そして待遇も。藤井を支えたのはこのまま終わってたまるかという意地ではなかったか。しかしさして注目されるわけでもない環境は悪いことばかりではなかった。結果を求めてしまいがちな広島時代とは違い、自分の課題に向き合えたようだ。

「長いイニングを投げて勝負勘が培われたし、勝負球や打者を打ち取るプランを失敗しても、修正できる環境だからよかった。広島時代は結果を求められ焦って、やりたいこともできなかったのだろう。だからFDでの1年は本当に意味あったと思う」(高知新聞記事、NPB復帰!藤井皓哉(四国IL高知出身)ソフトバンク支配下に「ここからがスタート」より、吉田豊彦監督コメント)


FD(ファイティングドッグス)での1年は意味があった。そう思えるのは藤井が支配下登録という結果を残したからにほかならない。プロ野球選手としては明らかに回り道。そのまま広島にいたら高いレベルでの野球ができていたはずだ。しかし2勝目を挙げられていたかは分からない。藤井がレベルアップできたのは回り道をしたからというのも事実である。

回り道…。かくいう私は新聞社に記者として入るも、ずっとニュースに携われたわけではなかった。どんなに熱望しても部署が違えば何もできない。打席に立てない。かろうじて球場にはいられたがグラウンドには立てなかった。スタンドから選手たちを見ていた。自分もあそこにいたんだな…年月が経つにつれもう二度と戻れないのではという恐怖が現実味を帯びてくる。現実逃避と文章修行。趣味と実益を兼ねてやっていたブログをますます書きまくった。投稿本数が通算900本を超えた頃だっただろうか、私は再びグラウンドの端に立てるようになった。スタンドからプレーヤーを俯瞰したことで得られたものは、ある。今はこんなこともやっている(高校野球が大好きな方はぜひご覧ください)。

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それだけに、藤井がソフトバンクの育成契約を勝ち取った時は我がことのようにうれしかった。この年のドラフトで、高知からは森木大智という至宝が阪神に1位指名された。藤井の育成契約は森木のように大々的に報じられたわけではない。それでもオープン戦で好投を続けていることをスポーツ紙が報じ、ついには藤本監督から支配下登録の推薦とも取れるコメントが飛び出した。藤井は開幕直前に支配下登録され、再び2桁の背番号を背負うことになった。

支配下登録どころか、何と藤井は開幕カードから投げた。さすがに緊張したか、開幕2戦目で初登板を果たすも清宮幸太郎に被弾。1イニングを投げきれず、守護神・森唯斗の救援を仰いだ。さすがにシーズンとオープン戦は違うかな、まだ1軍の域には達していないかなと思ってしまったが、藤本監督はすぐ次戦にリベンジの機会を作ってくれた。とは言え1点を勝ち越されなお1死満塁の大ピンチ。「思い切ってこい」と言わんばかりの甲斐のジェスチャー。藤井は三振と内野ゴロに切ってとり、反撃ムードを演出した。

すると味方が三森大貴のタイムリー、今宮健太のショート強襲の内野ゴロで逆転。藤井は2イニング目も無失点で切り抜け、終わってみると勝ち投手になっていた。


「もう自分の想像をはるかに越えるスピードでここまで来ている。(心の)整理がついてなかった」(ソフトバンク藤井 見事火消し1390日ぶりプロ2勝目 戦力外、独立、育成経て…「初勝利のような感じ」より)

そりゃそうだろう。まるでジェットコースターのような環境の変化。独立リーグにいた男のそばには、柳田悠岐やグラシアルらそうそうたるメンバーがいる。独立リーグ選手には夢を与える一方、支配下登録を勝ち取れる選手は少ない。藤井の場合は元々広島にいたのだから、純粋な独立リーグ出身とも言えない。活躍した人はもっと少ない。藤井の後に登板した又吉は独立リーグ出身での数少ない成功例だ。藤井と又吉。今季のソフトバンク勝利の方程式は、この独立リーグ出身コンビが鍵を握りそうだ。

藤井の復活ストーリーはいま第何章なのか。ここがピークなんかじゃない。例えば交流戦。ぜひとも広島相手に投げてほしい。オープン戦では対戦していたが、かつて戦力外を突きつけた広島に倍返ししてこそだ。怨念でなくとも、今の成長した姿を見せることが藤井にとってのリベンジだ。回り道が回り道でなくなるのは、結果を残したからこそ。藤井皓哉の力投は、遠回りを余儀なくされている人たちへの無言のエールになっている。

ガルビス起死回生の満塁弾!ソフトバンク、新旧融合で白星発進

動の新庄ビッグボス、静の藤本新監督。対照的だなと思ったが、ここぞという時に動いた藤本監督に軍配が上がった。スタメン今宮健太に代えて代打ガルビス。来日初打席初安打を記録すると、次の打席は8回裏、一打逆転のビッグチャンス。ここで起死回生の逆転満塁ホームランを放った。キミはケビン・ミッチェルか?


8回の攻撃はノーアウトから松田宣浩が口火を切った。若干追っつけるようにライト前にヒット。大幅減俸で頬を紅潮させながら、翌シーズンの開幕戦スタメンを勝ち取るあたりが松田宣浩イズムを感じさせる。


続く上林誠知も今年が勝負の年。死球を二つ喰らいながらも、出塁できていることの方が大事なくらいだ。貴重な走者を進塁させる送りバントをきっちり決めたのはよかった。上林は大きい一打を打ちたいだろうが、そのためにもまずは使ってもらわないと。開幕戦では出塁&送りバントで献身的な貢献ができた。バントを一発で決めてうれしいはずだがちょっと照れ隠しの表情。そこも含めて上林の魅力か。


ここで甲斐に代えて牧原大成。牧原もかつては自分がオレがというムードが出ていたがつなぎの役割を果たせるようになってきた。フルカウントからでも積極的に手を出すタイプ(ビビって甘い球を見送るより遥かにマシだが)だがよく我慢して四球を選んだ。


先輩たちがつないだチャンスを拡大させたのは三森大貴。2022年チーム初安打はこの男だ。目標は全試合出場という三森。8回のチャンスではタイムリーが出れば最高だったがしぶとくショート左を突いて出塁。満塁となった。


新庄ビッグボスはここで杉浦を諦め西村に継投。スイッチヒッターのガルビスは初安打を放った右打席ではなく左打席に立った。この試合再三得点圏にランナーを進めるもあと一本が出ずストレスが溜まっていたソフトバンクファンだったが、ガルビスが低めの変化球を巧みにすくうと、打球はホームランテラスに吸い込まれていった。


バンザイをする藤本監督。新庄ビッグボスでお決まりのポーズだがお株を奪う歓喜のシーンだ。最終回は森唯斗が貫禄の3人斬り。7回1失点の先発千賀滉大、3者連続奪三振の中継ぎ津森宥紀と安定の投手リレーだった。


初戦から7人の投手をつぎ込んだりニューフェイスを起用する新庄ビッグボスの全員野球が取り上げられがちだが、藤本ソフトバンクも新人の野村勇を代走で起用したり、代打を送った捕手・甲斐の後を海野に任せたり。新旧融合で戦えば結果はついてくる、そんな雰囲気が感じられた。長谷川や川島慶三が抜けて代打陣が若干手薄な印象は否めないが、その穴を埋める新しい力が出てきてほしいところ。課題と期待。両方感じられた大興奮の開幕戦だった。

語り継がれる平野歩夢の偉業とサブチャンネル、featuring柳沢慎吾

今日はニュースの配信当番だった。フロアの向こうから若干にぎやかめな実況が聴こえてきた。北京オリンピック、スノボの生中継かなぁと察知。ニュース編集者たるもの、やはり「生」の臨場感は大事にせねばなとネット中継を見出した。もうキワキワだから平野歩夢はどうやらメダル確定のよう。あとは色だな…

なんて思っていたら日本語のネット中継が切れた。しかし赤い点がある画面が一つ生き残っていた。英語の実況っぽい。しかし何もないよりマシだ。フロアの遠くではうまくサブチャンネル切り替えをやり過ごした人々が同じような画面を2秒先くらいに見ている。ま、辺りが先にざわついたら金メダルだな。と、なるべく目の前の画面に集中したら、すごかった。平野歩夢の演技が。CGか!っていうレベル。磁石のようにピタリと着地決めるし。素人が見ても鳥肌立った。当然のごとく金メダル。そして生放送より遅ればせながらのレベルではあるが、お祝いがてらの速報を打たせていただいた。


Twitterではサブチャンネルが話題になっていたらしい。アラフォーアラフィフ世代ならば、サブチャンネルというよりは、甲子園中継における教育テレビ(Eテレなんておしゃれには呼ばない)とのスイッチ経験はあるはずだ。ホント、いいとこで変わったりする。しかし平野歩夢のやつはドンピシャだったようだ。それがおかしくて(楽しんで見ていた方はごめんなさい)何を思い出したかというと、柳沢慎吾のひとり甲子園。あれも一打サヨナラの場面でチャンネル変わるんだよなぁ。3年前に亡くなった中村部長の遺影がスパイシー。


平野歩夢の偉業はこれからも語り継がれるだろう。きっと、サブチャンネルという、数十年後に聞いたら何のこっちゃというキーワードと共に。

2022年ソフトバンク強力打線に期待〜気になる4番は?

3番柳田、4番外国人、5番栗原、6番中村晃。これが藤本新監督が理想とするソフトバンク打線らしい。思わずニヤけてしまった。これが機能したら破壊力バツグンじゃないか…。

2021年もこうなるはずだったんだ、と今更ながら言いたい。グラシアルが骨折してから暗雲が立ち込めた。4番を栗原が打ったり柳田が打ったりするうちに、軸が揺らいでしまった気がする。コマが一旦ぐらついたら、あっという間に立て直せなくなるのと同じだ。得意の交流戦で沈み、浮上のきっかけはつかめなかった。


ちなみに4番の外国人はグラシアルなのか、デスパイネなのか? 新しく来るガルビスは通算109本塁打だから大砲ではなさそうだが。ちなみにかつて藤本新監督が語った理想の外国人選手はバナザードらしい。懐かしい!今更ながらバナザードって両打ちだったんだな。二塁を守ったりメジャーで1000試合以上出たのはガルビスもバナザードも同じ。果たしてガルビスは令和のバナザードになれるのか?


なお、3番柳田、4番外国人、5番栗原、6番中村晃だとするならここに出てくる日本人プレイヤーは全員左打ち。グラシアルやデスパイネは右打ちだから、サウスポーをこの並びにぶつけてきても全員が難儀することはない。…ここまで書いて日付けが変わってしまったのだが、西日本新聞記事、グラシアル「全試合出る」 昨季は骨折で長期離脱、順調に回復 を見て余計に期待が高まってしまった。グラシアルの4番を見てみたい!


グラシアルは出るならレフトか。だとしたらデスパイネは併用されると指名打者。じゃあガルビスは? 今宮は? 三森は? 牧原は?…と悩ましくなってきた。でも、いつだったかけが人続出で人繰りのパズルしていたころより100倍マシ。開幕までにそれぞれ順調に調整して、もっともっと藤本監督の頭を悩ませてもらいたい。

3年契約モイネロらキューバトリオ残留〜ソフトバンクV奪回へ地固め

ソフトバンクがモイネロ、デスパイネ、グラシアルと契約を結んだ。どうも残留のようだとはファンも分かってはいたが、正式発表されるとやはりうれしい。西日本スポーツ記事にはグラサン姿の3人の写真があり、西部警察の大門のようで頼もしい。

一番うれしいのはモイネロの3年契約(スポニチによると総額9億円)。いま26歳ということは28歳のシーズンまでソフトバンクにいてくれるということ。右の中継ぎ、抑えはいるものの、左であれだけ投げられるのは貴重な存在。メジャー行きも希望していたらしいから、なぜ残留してくれたのかは知りたいところだが、もう残ってくれるのだから寝た子を起こすようなことはしなくていいか。選手として脂の乗り切った時期をソフトバンクに注ぎ込んでくれるのだから、こちらも全力応援あるのみである。

モイネロが通算226試合と知って、そんなに投げているのかと驚いた。40試合ペースで投げても5年以上かかるのだから、毎年しっかり投げてくれた証拠だ。そんなに投げた外国人投手っていたのかなと調べてみた。まず浮かんだのはサファテ。427試合も投げていた。考えてみたら通算234セーブだから、モイネロの出場試合数より多い。まさにキングである。

モイネロが9回を締めてもいいかなとも考えたが、やはり9回は特別ということで、ひとまず森唯斗がいいと思う。そして思い出した。2022年は延長が復活し、12回制だったんだ…。いずれにせよ、モイネロは森の手前のイニングである。仮に8回だとするが、やはりモイネロが抑えると反撃ムードを遅らせる、あるいはその芽を摘んでおける。8回がヘロヘロだと、9回行けるんちゃうんか説が浮上してくる。だから8回をモイネロがビシッと締めることで、ソフトバンクの勝ちを引き寄せられる。モイネロは三振を取れるのがいい。ドロンとした縦カーブにバッターは手が出ず、キャッチャーが捕る。球審がストライク、バッターアウトを宣告し終わるのを待たずにキャッチャーはおもむろに立ち上がり一塁やら三塁にボールを投げるのだ。モイネロは奪三振率が高いことでも知られている。

モイネロと言えば登場曲に瑛人の「香水」を使ったことがある。あれだけしょっちゅう流れていた「香水」だがいまや全然流れていない。2022年、モイネロは本拠地でどんな登場曲を使うのか。この曲流れたら打てんわ、やられるなぁと刷り込めるくらいにビシッと抑えてもらいたい。「またホークスでプレーできることを大変うれしく思います。皆さん、優勝しましょう!」と、スポニチ記事にモイネロのコメントが紹介されていた。モイネロと優勝を分かち合いたい。ソフトバンクファンはそう願っている。

甲斐拓也の打順は2番か下位か〜ホークス、コロナ禍でオーダーに不安も…

甲斐拓也が2番を打つ構想があるらしい。甲斐は送りバンドができるし、悪くはない。ただし三振が多い(2021年はリーグワースト142)ので、打線にリズムが出ないのでは?というのがわが黒柴スポーツ新聞ので見立てである。ちなみに2021年、甲斐拓也は1試合だけ2番で先発したことがあった。

キャッチャーは見るからに守備が大変だから、その負担を減らす意味があるのか、下位を打つ印象だ。クリーンアップを打つのはよほど打力がある場合。古くは田淵がいて、阿部慎之助も500試合以上4番を打ったようだ。

で、2番キャッチャーっていたのかなと考えてすぐ脳裏をよぎった。「2番木俣が…」。燃えよドラゴンズ!の歌詞に木俣が2番を打っていたくだりがあったような…検索したら、ありました! 燃えよドラゴンズ!V2(1975年)で「2番木俣がマサカリパンチ」。初代燃えよドラゴンズ!では2番谷木が送りバントだから、木俣はどうやら強行策のようだ。木俣は打者としても優れており、1876安打、285本塁打。今のホークスなら松田宣浩くらいの成績か。これはキャッチャーをやりながらなので余計に素晴らしい。

甲斐拓也もパンチ力はあるのだが、いかんせん打率が高くない。そこで今、右打ちの習得に取り組んでいるそうだ。お手本はヤクルトの嶋。年代やリーグが違うからなせるわざだろうが、甲斐は嶋とトレーニングしている。昔は考えられなかっただろう。そこはひとまず置いておき、かつて3割を打ったことがあるという嶋のように、右打ちを意識することで球をよく見る効果もあるそうだ。右打ちがうまくなればたとえ凡退でも進塁打にはなりそうだから、2番もアリかもしれないがどうなるか。

甲斐は強肩で日本シリーズMVP、投手陣を引っ張って東京五輪で金メダルと、結果を残してきた。気が付けば年俸は2億1000万円だ。ディフェンス面ではそれに値するが、やはり打つ方をもう少し何とかしてもらいたい。ヤクルトの中村悠平のように両方頑張れたらリーグ優勝が近づくのだから。中村は下位のつなぎ役で貢献したが、甲斐は何番を打つのか。それによりホークスの打線の意味合いが分かるというものだ。藤本監督が甲斐を何番に据えるのか。非常に興味深い。…とここまで昼間書いたのだが、その後柳田悠岐松田宣浩のコロナ陽性報道に絶句。その前に中村晃や栗原も名前が出ており…ホークス大丈夫か⁉︎

イニングごとに一口ぐびっ…野球殿堂入りの山本昌が好んだ飲み物とは?

中日ドラゴンズ山本昌野球殿堂入りした。有名な選手だから、ラジコン好きだとか、若い頃クビ寸前だったがアメリカ「留学」でスクリューボールを覚え、それが武器になったことなどのエピソードも知られている。殿堂入りのサイド記事ではもっとディープなものを…と物色したら、ありました! スポニチ記事、中村武志氏 殿堂入り山本昌氏との絆は2人で星野監督に殴られて深まった だ。

この手のものは誰が証言するかが肝なのだが、長年ドラゴンズの屋台骨を支えた中村武志なら間違いない。面白かったのは山本昌がゲン担ぎの人だったこと。同じ下着を使い続ける話は他の人でもあったが、山本昌の場合はソックスだったという。また、カレーも縁起のいい食べ物だったそうだ。カレーといえばイチローも浮かぶが、野菜もまあ少々入っているしコメも食べるしスパイス入りだから野球選手向きなのかもしれない。

山本昌はルーティンとして1イニングごとにジョージアをぐびっと一口飲んでいたとも記事に書いてあった。庶民には親近感がわく。完投したら1本半。300円もしないお守りである。ジョージアもいっぱい種類があるのでブラックなのかカフェオレなのかエメラルドマウンテンなのかなど、そこまで書いてあったら100点のエピソードだった。

なお、検索したら、チームの勝利に最も貢献した魂あふれるプレーに贈られる「第2回ジョージア魂賞」に山本昌が選ばれた、というスポニチ記事が出てきた。この時すでに山本昌は47歳。果たしてそれまでに何本ジョージアを飲んだのか。ジョージア魂賞の副賞はジョージア製品1年分(12ケース)と賞金30万円だったという。私も今度仕事で長丁場の作業があったら、ジョージアをちびちびやりながら完投を目指そうと思う。

やるか、辞めるかの前に…ソフトバンク和田毅、日米200勝まであと52勝

西日本新聞記事、「やるか、辞めるか」40歳和田、覚悟の坂道ダッシュ 長崎で自主トレ を見た。やるか、辞めるか。40歳の和田毅としたらそのくらいの心境だろう。盟友の松坂大輔からはあと52勝だとハッパをかけられたそうだ。日米通算200勝。これができたら松坂世代で初めてので名球会入りだ。

やるか、辞めるかの前に見逃せないこと。それは2021年シーズン終了後、和田毅に戦力外報道が一切なかったことだ。5勝という数字は和田自身、納得いっていないものの、球団としてはまだやれると判断したのだろう。その意味では戦力外通告された川島慶三や高谷裕亮とは違う。まあ、投手と野手の違いはあるのかもしれないが。やる、の前にできると思われている和田は素晴らしい。冒頭40歳という年齢を持ち出したが、和田のコンディションは年齢を感じさせないのかもしれない。

あと52勝と松坂はボールに書き、和田に渡した。最近は2桁勝てば上等だから、そのペースで行くと最短5年はかかるか。その時和田毅は45歳。その年代まで投げたのは工藤公康山本昌くらいか。ひょっとしたら松坂大輔は、200勝しろと言うことで1年でも長く和田毅プロ野球選手でいろ、と言いたかったのかもしれない。5年連続2桁となると千賀クラスの勝ち方をしないといけない。これは実際のところ、なかなか難しく、それは和田も分かっているだろう。

圧倒的な力と存在感で松坂世代という言葉を産んだ松坂大輔が先に引退し、和田に現役での活躍を託している。プロ野球ファンで何人がそれを予想しただろう。松坂だけでなく、藤川球児もいない。和田毅松坂世代、みんなの希望の灯になっている。

ソフトバンク栗原、捕手「卒業」は大打者への道?〜あの人もキャッチャーでした!

共同通信の記事、外野手に変更の栗原、練習を公開 が目に入った。あれ、ついに栗原はキャッチャーではなくなったんだと思った。だが1軍には甲斐拓也が鎮座しているし、栗原がキャッチャーとして出る機会は限定的。であればスパッと野手登録してよかったと思う。もちろんキャッチャーとして100%出ないというわけではなかろうが。いったんの区切りというところだろう。

ふと思った。結果を残した名バッターには元キャッチャーが何人かいるな、と。いきなりマニアックなところで言うと江藤智(広島など)。江藤の野球カードに若かりし頃のキャッチャー姿の写真が使われていて知ったのだが、江藤は三塁手のイメージだったのであら?と思った。江藤といえば月間16本などホームランの印象が強い。通算では364本打っている。


もう1人は和田一浩(西武など)。強打の捕手という触れ込みだったが西武には伊東勤がいた。それでも和田もキャッチャーとして使われ、外野手もやった。このあたりは少し栗原とも似ている。しかし結果的には打撃を生かす形となり2000本安打も達成した。ホームランも319本打っている。


さらに小笠原道大日本ハムなど)もいる。小笠原は内野手登録でキャッチャーをしたりしていたようだがその後一塁手に。フルスイングが代名詞でヒットを打ちまくった。安打は2120本、ホームランは378本。


こうしてみると、キャッチャー出身で名を成した人はヒットも打てて、一発もあるという、非常に魅力的な選手だった。栗原も勝負強さは持ち合わせており、一発の魅力がある。あとはコンスタントにヒットを打てるようになれればレジェンドたちと同じ道のりをたどることも夢ではなかろう。キャッチャー出身は配球が読めるなど何か利点はあるのだろうか。栗原は長谷川勇也コーチの背番号24を引き継いでおり、シーズン安打は長谷川の記録を超えるという目標がある。ぜひその目標を達成してホークスを引っ張っていってもらいたい。

ソフトバンクの穴は二塁手?〜三森大貴と牧原大成に期待

スポナビの記事、データで可視化 「球団別・ 長所と短所」 パ・ リーグ 野手編  勢力図を左右するのは助っ人のデキ? を見た。ズバリ、ソフトバンク二塁手が弱いらしい。詳しくは記事を読んでもらいたいが、パリーグの平均的な二塁手より貢献度が低いという。


じゃあ貢献度高いチームはというと、ロッテや楽天。そりゃそうだ。中村奨吾と浅村だもの。こちとら三森大貴がようやく1軍定着なんだから比べるのも酷である。だが三森もこのギャップを埋めていかねばならない。まずは率を求めることだ。打率、さらには出塁率。三森が高い数字を残せば必ず得点力はアップする。

貢献度と言えば2021年、個人的には牧原大成に努力賞をあげたい。けがで離脱もあったけれど、複数ポジションでよく穴を埋めてくれた。内野だけでなく外野もやるし、内野手のままのプレースタイルでフェンス近くでも平気でダイビングヘッド! 危険だから考えよと岸川勝也に解説されていた。確かに見ていてヒヤヒヤする。いつか大けがしちゃうんじゃないかと…しかし全力プレーが牧原の真骨頂。また、打撃でも目を見張るものがあると、退団した平石コーチが誉めていた。牧原か三森が常時出場してくれると打順は組みやすくなると見ている。

というわけで、確かに打つ方では中村奨吾や浅村に勝つのはなかなか難しいものの、コツコツ、ヒットを積み上げていくなら三森も牧原にもできる。守備もよく、盗塁も見込める、さしずめ本多雄一コーチのようになればソフトバンクの内野は固まるだろう。ソフトバンク二塁手は代打代走の調整役的な位置付けできたがそろそろ、レギュラーを張れる人材がほしくなってきた。結果を出して数字でも評価されるようになってもらいたい。

1点差負け克服へ「世紀のトレード」〜2022ホークスはどう対応?

2021年、リーグ4位に沈んだソフトバンク。敗因はいくつもあるが、接戦をものにできなかったことも大きい。1点差ゲームは実に8勝19敗。引き分けは何と21もあった。中には勝ちに等しい引き分けもあったかもしれないが、強いホークスなら取りこぼさなかった。あと1点はやらないし、もう1点ほしいところで取れてきた。そこが2021年はできなかった。そこは変えられるのだろうか。だとしたらどうやって変えるのか…そんなことを考えたのは、久しぶりに読んだ近藤唯之著「プロ野球 トレード光と陰」に世紀のトレードが出てきたからだった。


大毎の4番・山内一弘阪神の主力・小山正明。今では考えられないトレードだ。山内は3割打てるしホームランも打てるからソフトバンクで言えば柳田悠岐のイメージか。そういう人を出してまで大毎はピッチャーを補強したかったのはなぜか? 実は1点差負けがシーズンの31%も占め、リーグ5位に沈んだのだった。ちなみに2021年のソフトバンクも負け数62のうち1点差負けが19だから30.6%…もちろんソフトバンク柳田悠岐を出すわけないのだが、大毎のオーナー、永田雅一はそういう大胆なトレードを仕掛けた。


言う方も言う方だが受ける人がいたのもびっくり。阪神村山実がいたから小山正明を出せたのだが、阪神は打つ方が迫力不足という認識だったらしい。20勝が見込めるピッチャーをトレードに出した。お互いに弱点を補強できるから良いトレードなのだが、看板選手を出すのはめちゃくちゃダイナミック。裏を返せばそのくらいやらないと組織の体質は変わらないのかもしれない。ちなみに大毎のオーナー、永田は山内放出に際し涙を見せたらしいが、小山正明Wikipediaには小山がトレードを受諾した際に阪神球団幹部がうれしそうな顔を見せたという。ひどい話である。


で、すごいのはトレードの本人たち。山内は打率2割5分7厘ながらホームラン31本、打点94。阪神はリーグ優勝したから山内の加入は吉と出た。小山は何と前年の14勝の倍以上、30勝もした。通算320勝もしながら最多勝はたった1回なので昔のプロ野球はどれだけレベルが高いのかと思うが、小山唯一の最多勝がこの移籍初年度というところに男の意地を見た。


体質を変えるには主軸であろうと放出し、新しい血を入れる。永田雅一Wikipediaを読むだけでも一苦労するくらい波瀾万丈の人生だが、このくらいの人物でなければ世紀のトレードは実現しなかっただろう。ソフトバンクはここまでの緊急事態ではないから同じことをする必要はないが、トレードをしない(結果的に又吉入団と岩嵜放出はトレードみたいになったが)のであれば、接戦対策はどうするのか。ちょっと気になっている。

「おまいう」にならないために〜ソフトバンク今宮選手会長は覇権奪回のキーマン

今宮健太が新選手会長を務めることになった。東スポWeb記事、ソフトバンク・ 今宮 「自分のことで精いっぱい」なのに… 選手会長を引き受けたワケ には、「選手会長という肩書が付くことで行動を促されると思うんです」と、今宮が選手会長就任を受諾した理由が書かれていた。これはいい決断だと思った。なぜなら2022年のホークスのキーマンだからだ。

今宮健太は2021年12月、現状維持の年俸2.9億円でサインした。4年契約ので3年目であるし、大きく下がりはしないのだが、正直なところその年俸に値するのかと思ってしまった。あとから分かったが今宮は4年連続で規定打席に達していない。そう、打つ方でその年俸に見合うのか?という意味だ。今宮の守備の素晴らしさはプロ野球ファンなら誰でも知っている。

決して大きくはない体で目一杯のプレーをした代償だろう。今宮は1年間フルでショートを守れなかった。脚の状態が万全ではない。休ませながら使わざるを得ないのだ。そうした不安と低迷する打率。125試合で打率は.214。ホークスのショートとして許される数字ではない。打線が迫力を欠いた原因の一つが今宮であり、ホークス4位の背景と言ってもいいだろう。つまり今宮が活躍するかが覇権奪回の鍵を握るからキーマンと書いたわけだ。

で、今宮には何かきっかけがないとなと思っていたところ新選手会長就任を知ったので、これはいいなと思った次第。東スポWeb記事に書いてあるが、結果を出さないと選手会長としての発言に説得力がない。最近知った言葉で恐縮だが「おまいう」というネットスラングがあるそうだ。そう、おまえが言うな的なニュアンス。選手会長は球団と選手の橋渡し役だが、成績を伴わないと発言に重みがなくなってしまう。

選手会長になっていなくとも2022年は今宮にとって正念場だ。ドラフトでホークスはNTT西日本から野村勇を指名。野村は「ショートで勝負したい」と表明している。新人は抱負を問われるとは言え、これは今宮への挑戦状だ。今宮はどう受け止めたか。野村は野村で社会人出身だから結果を求めてくるはずだ。今宮とてうかうかできない。新外国人のガルビスも野村同様、内野の複数ポジションOK。となると今宮がショートにいるかどうかで内野の顔ぶれが決まる。やっぱり今宮はキーマンなのだ。

役が人をつくるという言葉もある。今宮の選手会長就任へ背中を押したのは中村晃。「選手会長をやることはプラス。思うような結果が出ていない時だからこそ、いいきっかけになるんじゃないかなと思うんです。そう思って薦めました」(東スポWeb記事より)。今宮がその思いに応えた時、きっとホークスはいい位置にいる。

箱根駅伝は全国大会になるべき?〜見どころの山登りは残してほしい

スポーツ文化評論家の玉木正之さんが箱根駅伝のあり方に苦言を呈したという(RKBにて放送、radiko newsより)。放映権料の行き先のオープン化など同意できる部分もあるが、二つ反対意見が浮かんだ。箱根駅伝を全国大会にすることと、山登りの必要はないという2点に対して、だ。箱根駅伝は関東近辺の大学が参加するままでいいし、山を登るからこそドラマチックなのだと思う。

玉木さんが全国化を提唱するのは、関東にばかり戦力が集まることを懸念しているためだ。確かに特定の地区だけレベルアップするより全国的に底上げされる方が日本のスポーツ発展への貢献度は高い。また、何でもかんでも東京集中というのは如何というのも納得。われわれ地方在住からして東京はそんなに偉いかと思わないこともないし、便利さの追求は東京も地方も平等であるべきとも考えている。


でも全国大会と言えばすでに全日本大学駅伝があるので、それでいいじゃんと思った。その大会をもっと盛り上げ、メジャーにしていけば玉木さんが言われるように、全体的なレベルアップにつながるし、地方大学であっても参加しやすくなるのではないか?…と考えたが、素人でも一つ課題を見つけてしまった。箱根駅伝に出ないと、出雲駅伝を含めた「三冠」にはなれない…。


もう一つの山登り不要論には真っ向反対する。玉木さんはこの高低差はマラソンではルール違反と言われるが、箱根駅伝はマラソンではない。また、選手起用の失敗はあり得るが基本的には山登りを意識して選手は選ばれるし、登りを得意と思うからこそ5区を走りたいと思うわけだ。視聴者としては単純に山登り区間を楽しんでいる。なぜなら順位変動が起こりそうだからだ。平地だと持ちタイムがそのまま結果に現れるのではとドキドキ感が少ない。しかし山登り区間は高低差、気温差、風ありと選手を苦しめる要素がある。トップを走るからと言ってセーフティーなわけでもなく、下位だからと言って諦める区間でもない。一発逆転もあり得るし、リタイアや体調不良の危険性もある。選手にリスクを負わせることを喜んで見るつもりはないのだが、安全性が担保できるならぜひ山登りや山下りはそのままでお願いしたい。


箱根駅伝は中継も含めて総合芸術と思っている。日本テレビアナウンサーの淀みない実況はまさにプロの技。事前取材の内容はどの程度盛り込めるものなのか。当日のレース展開により話す内容は変わるはずなのに、上手に紹介できるよなと感心してしまう。解説陣も安定感あるし、ゲストは結果を残したOBらなので、タレント感もなく純粋に競技性を楽しめる。サッポロビールや競馬のCMが多い印象で、そこはちょっとげんなりしてしまうが、まあ正月らしさも感じられる。CM前に昔の映像が流れるが、ランナーの近くを走る車はだいたい人がわんさか乗っており法律違反じゃないのかと思う。そんな絵巻物感、心地よいマンネリズム、そのあたりが箱根駅伝人気につながっていると分析する。ちなみにわが黒柴スポーツ新聞も、箱根駅伝期間中は通常の3倍から4倍のアクセスがある。そして明らかに駅伝記事が読まれている。


出場校の栄枯盛衰もありながら連綿と続いてきた箱根駅伝はぼちぼち100回目だという。玉木さんは改革したらと提案されているが、変わったらよい点も、残してほしいスタイルもあると思う。レース自体はまだ高速化するというハイレベルな状況で、日本の若者の能力の高さには脱帽してしまう。箱根駅伝がどうなっていくにせよ最終的には、若いランナーが思う存分実力を発揮して、視聴者が楽しめる大会であってほしいと願っている。

お土産、ネクタイ、背番号。元ソフトバンク岩嵜の中日入団会見はどう報じられたか

暇ネタと言われるフリーなネタの取材が多かったためか、記者会見に出たことはほとんどない。横一線、構えられた場での取材はいかにもつまらなそうという偏見を持っているのだが、恐らくそこにも質問の仕方や他社との駆け引きがあり、そこはそこで戦場だろうと想像する。で、各社ほぼ平等な取材条件ならどれだけ差別化できるかが腕の見せ所なのだが、ソフトバンクから中日に移籍した岩嵜翔の入団会見記事も各社いろいろと工夫してあり、読み比べが楽しめた。

読んだ中では日刊スポーツ、人的補償で中日入り 岩崎翔が青ネクタイで入団会見、 又吉の 背番 「16」継承 が面白かった。なんと岩嵜は報道陣にお土産「博多通りもん」を差し入れした。入団会見でお菓子をあげた選手、過去にいたのだろうか? このエピソードからも岩嵜の人柄が伝わる。福岡のお菓子だから、いかにもソフトバンクから来ましたがよろしくお願いしますというメッセージにも見える。岩嵜ナイスチョイスである。


このお土産については中日スポーツも【中日】岩崎翔、報道陣に「博多通りもん」配る 青色のネクタイはイオンで購入 背番号は又吉と同じ『16』 と見出しに取って報じた。が、日刊スポーツの何がよかったかというと、記事の終わりに博多通りもんについての紹介メモを付けたことだ。これは新聞記事でよくあるのだが、実はこのひと手間をやらない記者はいる。ま、分かるよね、という感覚なのだろう。しかし料理と同じでそのひと手間を惜しむと素材の良さは引き立たない。


トータルの見出しでは中日スポーツがよかった。お土産にも触れたし、岩嵜がイオンでドラゴンズカラーの青いネクタイを買ったことにも言及。岩嵜の「早く中日の一員になろう」という気持ちも伝わってくる。また、今回の移籍はFA宣言してソフトバンクが獲得した又吉の人的補償であるから、岩嵜の背番号が又吉と同じ16になったことを見出しにすることでそこも網羅している。見出しで全部言うかどうかはテクニック論になるが、一通りもれなく紹介するのはドラゴンズ与党紙、地元紙としての責務なのだろう。

ちなみにその他各社の見出しは以下の通り。

スポニチ】中日・ 岩崎  セット アッパー 名乗り  又吉の 背番号 16 継承 「立浪監督を 胴上げ したい」

東スポWeb】人的補償で 入団の 中日・ 岩崎が 会見  背番号16に 「又吉君の イメージに 負けない ように」

【スポーツ報知】ソフトバンクから 人的補償で 加入の 岩崎翔が 入団会見 「立浪監督を 胴上げ したい」 背番号は 16

時事通信】岩崎 「プレーで 恩返し」  プロ野球・ 中日

共同通信】中日の 岩崎 「監督 胴上げを」  入団会見、 背番号は 16に


見出しや記事で何とか差別化を図り、買ってもらおう読んでもらおうという意気込みはスポーツ紙やネットメディアから感じられるがわれわれ一般紙はどうなのか。確かに幅広い世代に読まれるからどの人にも満遍なく受け入れてもらえるようにと無難な表現になりがちだ。また、例えば今回の岩嵜の会見のように地元ネタではない場合は通信社記事を使わざるを得ない。通信社こそ各社どのように使うか分からないから偏った書き方にはならず、「過不足ない」表現になりがちだろう。だからそこからエンタメ性の高い見出しを付けるのは難しい。だが何とか目に触れるようキャッチーな見出しにしないとますます読者は減るのだと最近特に危惧している。ネクタイ、背番号、お土産。岩嵜の入団会見からはネタを何とか活かそうという各社の意気込みが伝わってきた。

戻ってきた人たち〜ソフトバンク2022年は4位から巻き返せるか

2022年にソフトバンクホークスはどうなるのか。2021年はリーグ4位だったからかなり負けたと思っていた。が、実は負け越しが2だけ。もちろん優勝するにはたくさん貯金が必要なので、借金2というのは良くはない。だが必要以上に落胆する必要もないのでは?と思った。

次に、あらためて気付いたのはヘッドコーチが交代したこと。藤本新監督がクローズアップされがちだが、しれっと森浩之ヘッドコーチに戻っている。あら?小久保ヘッドはどうなった?と調べてみたら2軍監督だった。この配置転換をどう見るか。正直なところ、いちホークスファンとしては、2021年の敗因の一つが選手起用や戦術と考えている。どうせ波に乗れないなら若手起用というファンの声もあったが実際は川島慶三や明石頼み。川島は開幕カードでサヨナラ打を放つなど存在感を示したがシーズンを通した活躍とはならず。代打明石に至ってはヒットが出ずTwitterでトレンド入りする始末。明石もプロとしてどうかと思った一方、そういう状態の明石を一発勝負、一か八かの場面で使い続けた首脳陣も悪いと思った。右の打者が手薄と阪神から中谷を取ったのに使わないのも疑問。新外国人も泣かず飛ばずで終わり、打線は火を吹かずに終わったと言っていい。やはり誰かが責任を取らねばならなかった。となると指揮官の工藤監督の辞任は不可避だったかもしれないが、ヘッドコーチもろともとなると、チームとしてはツートップに責任ありと見たのではないか。


個人的には藤本監督が1軍監督として初めてのシーズンなので、経験がある森ヘッドコーチの復帰は頼もしく思う。何せ森ヘッドは日本シリーズを連覇したヘッドコーチなのだから。選手が入れ替わったから前と同じことをして勝てるかというとそうではないが、柔軟性が感じられなかった小久保ヘッドでは藤本新監督を支えるのは難しそうと思う。ヘッドコーチ交代は全く注目されていないが、一つ安心材料には感じられる。


元に戻ると言えば外国人選手もそう。デスパイネとグラシアルは退団の報道もあったが結果的に契約継続。グラシアルはけがの回復がどの程度なのか不安が拭えたわけではないが、未知数の新外国人だらけになるよりはマシだろう。経験があるこの2人に加え、ガルビスという、ショートを中心に内野を守れる新外国人が加入。これは今宮や牧原、グラシアル、中村晃の負担軽減も考えられてなかなかよい補強と見た。あとはどれだけ打つか、ではあるが。投手ではマルティネス・ロスが気になるが、レイが復帰。先発ローテにはまれば心強い。


工藤監督辞任から長谷川引退、高谷と川島戦力外、平石コーチも倉野コーチもマルティネスも去るなど、なんか頼りにしていた人が次々といなくなるなぁとファンとしてはダメージを感じていたが、コーチとして残った人もいる。即戦力は厳しいかもしれないが、将来が楽しみなドラフト1位の風間も取れた。あとは昨年1軍に定着できた三森や、後半から存在感を出してきたリチャードも真価が問われる2022年。4位からの逆襲を楽しみにしている。


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